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報道発表資料

九州地方環境事務所報道発表資料>2010年度

【お知らせ】「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」に対する環境省意見について

2010.12.16 九州地方環境事務所

 環境省では、計画検討段階における環境配慮を行う仕組みである戦略的環境アセスメント(SEA)について、第三次環境基本計画に基づき、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」を平成19年4月に取りまとめ、その取組を進めているところである。
 「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」については、国土交通省において、同省が策定した「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」に基づき、検討が進められているところであるが、この検討は、戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものと位置付けられている。
 このため環境省は、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づき、本日付けで国土交通省九州地方整備局に対して、意見を述べたところである。
 なお、本案件については設置海域の選定を検討した第一段階(ステップ1)において、意見提出を行っている。今回は第二段階(ステップ2)として設置位置等の選定を行っており、改めて意見提出を行うものである。

1.「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」の概要及び検討経緯

 国土交通省九州地方整備局は、国際航路等として重要な関門航路や、関西方面などへのフェリー基地などがある北九州港新門司地区と関門航路を結ぶ新門司航路において、通航する船舶の安全性の向上や、より大型の船舶を通航可能とするため航路浚渫(しゅんせつ)を行っている。浚渫により発生する土砂について、現在の土砂処分場の受入容量が限界に近づいていることから、「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」として、新たな土砂処分場計画についての検討を本年3月に開始している。
 本計画の検討は、国土交通省が策定した「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」に基づき進められており、はじめに必要性の検討及び海域の選定を行い、次に位置、形状の選定を行うという2段階で進められている。第一段階(ステップ1)で新たな土砂処分場の設置の可能性のある複数の海域から設置海域を絞り込む検討が行われ、新門司沖土砂処分場周辺海域(ゾーン<2>)が選定された。第二段階(ステップ2)で土砂処分場設置位置等の検討が行われており、11月18日~12月17日の間に、このステップ2の検討についてパブリックコメントが募集されている。今後、パブリックコメントの結果も踏まえて、土砂処分場の位置等を選定することとされている。

2.環境省意見について

 「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」の検討は、環境省が取りまとめた「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づく戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものとして行われている。このため、環境省は、これらのガイドラインを踏まえ、ステップ1において、環境の保全の見地から、本計画の実施主体である国土交通省九州地方整備局に対して6月24日に意見を述べた。今回、ステップ2においても、同様の趣旨で国土交通省九州地方整備局に対して別紙のとおり意見を述べたものである。

[環境省意見の概要]

計画の早期から、SEAガイドラインに沿った手続が段階的に行われており、環境の視点も考慮していることから、環境の保全の観点から望ましい事例である。
土砂処分場の形状については、単一案(900m×2000mの矩形)のみ提示されているが、設置位置と同様に複数案を設定し、環境影響を含めた比較及び検討を十分に行うこと。
土砂処分場の位置等を選定する際の配慮事項
土砂処分場の配置案について、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針に示された内容の評価及び比較を行い、その結果に配慮すること。
土砂処分場の設置により消失等の影響を受ける生態系調査地点を配置案ごとに抽出し、当該地点の調査から生息・生育が確認された種及びその内の重要種の種類数、個体数を整理した上で各配置案の評価及び比較を行い、その結果に配慮すること。
事業に伴う曽根干潟前面海域における潮流変化による底質変化について、各配置案の比較結果を明らかにした上で、その結果に配慮すること。
シミュレーションの妥当性について検証し、その結果を公表すること。
設置位置等の選定に当たっては、それぞれの案が曽根干潟に与える影響についての比較結果を留意し、曽根干潟への影響の回避・低減に最大限努めること。
本環境省意見を含む関係機関の意見及びパブリックコメントの結果と、それらに対する事業者の見解を明らかにした上で、技術専門委員会において専門家の意見聴取を行い、計画に反映させること。
環境影響評価段階における配慮事項
曽根干潟の多様な野生動植物の生息・生育環境について、多角的・定量的な予測及び評価を行うこと。
水質変化の予測及び評価に当たっては、底質変化に伴う水質変化についても考慮すること。
瀬戸内海における埋立てを必要最小限なものとするための検討状況を明らかにすること。
長期的、総合的な視点から、浚渫土砂量の低減、有効活用及びそれらの技術開発の促進を具体的に検討し、瀬戸内海における新たな埋立てを可能な限り回避するとともに、将来にわたり埋立処分量を削減するよう努めること。

3.今後の予定

 現在募集中のパブリックコメントの結果、技術専門委員会の助言、本環境省意見を踏まえつつ、国土交通省九州地方整備局が地方公共団体とも連絡調整しつつ土砂処分場の設置位置等を決定することとなる。

添付資料

別紙:
「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」に対する環境省意見 [PDF 12KB]
参考:
パブリックコメントの対象とした5案について [PDF 255KB]
参考:
戦略的環境アセスメントについて [PDF 68KB]

関連するホームページ

関門航路周辺海域における土砂処分場計画について(北九州港湾・空港整備事務所HP)
http://www.pa.qsr.mlit.go.jp/kitakyusyu/pro_PI/index.html