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投稿者:佐々木 投稿日:2006/09/29(Fri) 16:27 No.107
■概要
ツシマヤマネコの保護増殖の取組の一環として、環境省は福岡市動物園と連携し、飼育下繁殖について取り組んできたところです。これまでに20頭が福岡市動物園で誕生し、飼育下繁殖事業は順調に進んでいると考えています。
この度、飼育下個体群の危険分散等を目的として、新たに「井の頭自然文化園」(東京都)及び「よこはま動物園」(横浜市)に御協力いただき、両園にツシマヤマネコを2頭ずつ移動させ、飼育していただくことになりましたのでお知らせします。
また、福岡市動物園から、昨年度及び今年度生まれた個体のうち3頭を対馬に里帰り(移送)させます。
さらに、今年度の飼育下における繁殖は、飼育下個体群の遺伝的多様性を高める目的で、対馬で保護された2頭を福岡市動物園に移動させ、繁殖を試みます。
1.ツシマヤマネコとは
ツシマヤマネコは、我が国では長崎県対馬にのみ生息し、かつては対馬島内全域にわたり広く分布していましたが、生息環境の悪化等により、その生存が危機的な状況にあります。
平成6年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称「種の保存法」)に基づく国内希少野生動植物種に指定され、平成7年に同法に基づく保護増殖事業計画(環境省及び農林水産省告示)を策定し、保護の取組を進めています。
なお、平成14年に当省が公表したレッドデータブックでは、絶滅危惧IA類に分類されており、昨年9月に発表した調査結果によれば、現在野生下には80~110頭が生息していると推定されています。
2.飼育下繁殖の経緯
平成5年に「ツシマヤマネコ人工繁殖基本計画策定調査」を実施、平成8年より野生個体の確保を開始し、5頭の個体を確保しました。平成11年より福岡市動物園の御協力を得て飼育下繁殖事業を開始しました。
平成12年4月に初めて繁殖に成功し、その後も福岡市動物園関係者の多大な御努力により、これまで20頭が福岡市動物園で誕生しています。
現在、飼育下繁殖の為に捕獲した個体も含め福岡市動物園で17頭、対馬野生生物保護センターで8頭の、併せて25頭を飼育下個体群として飼養しています。
3.分散飼育の目的
飼育下の個体を、対馬野生生物保護センター及び福岡市動物園のみで飼育し続けた場合、感染症の発生、災害等により多くの飼育下の個体が失われるとともに、遺伝的多様性が失われてしまうおそれがあります。このため、飼育個体を分散させ、危険の分散を図り、非常事態に備えることを目的としています。
4.分散飼育協力動物園及び分散飼育の内容
環境省は分散飼育について、専門家等の意見を踏まえつつ、社団法人日本動物園水族館協会と連携して、動物園との調整を進め、この度、「井の頭自然文化園」及び「よこはま動物園」にツシマヤマネコの個体を移動させ、分散飼育を開始することとしました。
両園にはオスとメスの各1頭、計2頭をそれぞれ移動させます。なお、両園で飼育する個体は、人慣れを防止するため原則として非公開とさせていただきます。
5.福岡市動物園からの対馬への里帰り(移送)及び今年度の繁殖計画
飼育頭数が上限に達している福岡市動物園より、今年度生まれ及び昨年度生まれの個体から、遺伝的な系統を配慮して個体を選定し、合計3頭を対馬野生生物保護センターに里帰り(移送)させます。この個体は、人慣れを防止するため、原則として非公開とさせていただきます。
また、今年度は、対馬で保護され、野生復帰が困難であると判断される2頭を、対馬野生生物保護センターから福岡市動物園に移動させ、飼育下個体群の遺伝的多様性を高める目的で導入し、繁殖を試みます。