九州地域のアイコン

沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2026年07月08日
  • 報道発表

オオトラツグミの保護増殖事業完了について(お知らせ)

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種に指定されているオオトラツグミについては、同法第45条に基づく保護増殖事業計画(平成11年8月告示)の下、関係機関、関係団体、専門家等と連携し、保護増殖事業を実施してきました。
 当該種について、保護増殖事業計画(および保護増殖事業10ヶ年実施計画等)に掲げる目標を達成したことから、令和8年6月30日をもって、国のオオトラツグミ保護増殖事業について完了することとしました。
 
●オオトラツグミ Zoothera dauma major
  
 本種は奄美大島のみで繁殖するヒタキ科の鳥類で、大陸に広く分布するZ. daumaの奄美大島固有亜種です。日本に広く生息しているトラツグミとは別種であり、さえずりも異なります。林床の湿潤な照葉樹壮齢林に主に生息し、木の股や崖のくぼみなどに巣を作り繁殖します。
 

■指定・計画策定の経緯

・平成5年 国内希少野生動植物種に指定
・平成11年 保護増殖事業計画を策定(平成27年改定)
・平成26年 10か年実施計画(2014年-2024年)を策定
・令和6年 10か年実施計画(2024年度-2033年度)を策定
 

■保護増殖事業の実施状況

(1)主な実施内容
 ・生息状況の把握・モニタリング
 ・繁殖状況調査
 ・好適環境解析
 ・マングースやノネコ等の外来種対策
 ・鳥獣保護区や国立公園等における生息環境の保全
 ・個体数推定(平成28年)
 
(2)実施体制
 環境省、農林水産省、文部科学省、鹿児島県、関係市町村、研究機関、地域関係者
 
(3)保護増殖事業計画又は下位計画等における目標
 (オオトラツグミ保護増殖事業計画)
 本種が自然状態で安定的に存続できる状態とすること。
 (オオトラツグミ保護増殖事業 10 ヶ年実施計画(2024 年度-2033 年度))
 奄美大島において、外来種、開発等の減少要因が除去または緩和され、継続的に本種の安定した生息が確認できること。
 

■保護増殖事業の完了を判断した理由

 本種の分布域である奄美大島における分布・生息数は現在安定的に維持されており、繁殖も継続して確認されています。主たる減少要因である外来種、生息環境の悪化等については、関係機関の対策により一定の改善が認められています。また、関係行政機関及び関係者の連携体制が継続しており、維持・監視フェーズにおいても必要な情報収集及び対応を行うことが可能な状況です。
 以上のことから、令和7年12月に開催された奄美希少野生生物保護増殖検討会においても有識者から保護増殖事業の完了について異存ない旨の意見がありました。
 よって、本種については、増殖・回復フェーズを終え、今後は維持・監視フェーズへ移行することが妥当であるものと判断しました(これを保護増殖事業の「完了」と定義しています)。
 
         
          図1.奄美野鳥の会のさえずり調査をもとに推定されたオオトラツグミの個体数
                       
(Mizuta et al. 2017)



                                                                               図2.オオトラツグミの分布域の変化
                                                          
(令和6年度奄美希少野生生物保護増殖検討会資料より)
 
 

■今後の対応方針

 本種のモニタリングはNPO法人奄美野鳥の会が主体で行っているため、そのモニタリング調査の補助を継続していきます。そのほか、生息確認状況、分布域、繁殖状況、外来種の影響、生息環境の変化等を継続的に把握します。その結果、個体群の著しい減少、繁殖成功率の継続的低下、生息地の環境の著しい悪化、新たな脅威の顕在化等が認められた場合には、奄美希少野生生物保護増殖検討会等において有識者の意見を聴き、追加的な保全措置の要否及び当該措置を要する場合はその実施体制を検討します。
 

■添付資料

   別紙 各種の評価基準について
(3)完了を判断した理由(個体群の動向や生息・生育環境の状況等)に関する資料
 

■参考資料

Mizuta, T., Takashi, M., Torikai, H., Watanabe, T. and Fukasawa, K. (2017) Song-count surveys and population estimates reveal the recovery of the endangered Amami Thrush Zoothera dauma major, which is endemic to Amami-Oshima Island in south-western Japan. Bird Conservation International 27: 470-482.

お問い合わせ先

沖縄奄美自然環境事務所
所長 大林 圭司
野生生物課長 若松 佳紀
担当:野生生物課 高梨 七海
TEL:098-836-6400
 
奄美群島国立公園管理事務所
所長 広野 行男
担当:国立公園保護管理企画官 山本 以智人
   希少種保護増殖等専門員 鈴木 真理子
TEL:0997-55-8620