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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2026年05月13日
  • 報道発表

2025年奄美大島・徳之島における希少哺乳類の死因解明について

 環境省では、希少な野生動物の生息に影響を及ぼす要因の把握や保護対策への活用のため、野生動物の死体や傷病救護の情報を収集し、データの整理・分析を行っています。今般、奄美大島と徳之島で収集されたアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミについて2025年(1~12月)の死体確認件数とその死因内訳を整理しましたのでお知らせします。
 奄美大島のアマミノクロウサギ・ケナガネズミでは交通事故による死因が多く、アマミノクロウサギでは過去最多件数となりました。徳之島のアマミノクロウサギではイヌネコによる死因が過去最多となりました。
 夜間に運転される方には、道路への野生動物の飛び出し等に十分ご注意いただくとともに、ペットを飼われている方には、室内飼養を徹底していただきたくお願いします。

1.2025年に回収された死体の確認件数と死因内訳

 2025年の1年間に奄美大島と徳之島で回収されたアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミの死体確認件数と死因内訳を整理しました(図1、2-1、2-2、2-3)。アマミノクロウサギの死体確認数は284件(奄美大島213件と徳之島71件の合計)、ケナガネズミの死体確認数は94件(奄美大島81件、徳之島13件)、アマミトゲネズミの死体確認数は3件、トクノシマトゲネズミの死体確認数は2件となりました。
 トゲネズミ類を除く各種では、交通事故死が最も多くなりましたが、生息状況の回復に伴う増加と、他の要因と比べて死体が目に付きやすい道路上で回収されたことによるものと考えられます。また、徳之島ではイヌやネコによる捕殺が原因と思われる死体の占める割合が高い傾向にあります。
 
図1.奄美大島と徳之島において回収された希少種の死因内訳(2025年)
 
図2-1.アマミノクロウサギの死因内訳の経年変化(2000~2025年)

 
図2-2.ケナガネズミの死因内訳の経年変化(2000~2025年)

 
図2-3.トゲネズミ類の死因内訳の経年変化(2000~2025年)


 

2-1.交通事故件数について

 2025年の交通事故の確認件数(生存含む)は、奄美大島ではアマミノクロウサギ160件(死体150件、救護のち死亡7件、救護のち放野2件、治療中1件)、ケナガネズミ43件(全て死体)、徳之島ではアマミノクロウサギ29件(死体27件、救護のち死亡1件、救護のち放野1件)、ケナガネズミ5件(全て死体)となりました。
 アマミノクロウサギの交通事故が多発している道路は、奄美大島では国道58号線(役勝~網野子、三太郎トンネル前後、朝戸~和瀬)、県道85号線(赤土山~新村)、県道79号線(大金久~戸円)で多く発生し、また名瀬周辺(根瀬部、大熊、朝戸)での事故の増加も確認されています。徳之島では県道629号線(与名間~金見)、県道618号線(松原轟)です(図3-1~3-4)。
 ケナガネズミでは、奄美大島では県道79号線大浜と知名瀬の間で多発しており、そのほかの地点も名瀬周辺に集中しています。
図3-1.アマミノクロウサギの交通事故地点(2025年・奄美大島)

 

図3―2.ケナガネズミの交通事故地点(2025年・奄美大島)

 
図3-3.アマミノクロウサギ(左)とケナガネズミ(右)の交通事故地点(2025年・徳之島)
 

2-2.交通事故防止の対策と協力のお願い

 アマミノクロウサギを含む多くの希少野生動物で交通事故が近年確認されています。交通事故はスピードの出やすい国道・県道を中心にさまざまな道路で発生しており、交通事故が多発している地点には警戒標識などが設置されています。標識のある場所付近では特に、夜間の運転における野生動物の急な飛び出しなどに注意をお願いします。
 
 

3-1.イヌやネコによる捕殺事例の確認について

 2025年においては、奄美大島でアマミノクロウサギ7件(全て死体)、ケナガネズミ4件(死体2件、救護のち死亡1件、治療中1件)が、徳之島でアマミノクロウサギ19件(全て死体)、ケナガネズミ2件(全て死体)が、イヌやネコによる捕殺死体もしくは救護個体として確認されました。
 イヌやネコによる捕殺の確認数については、車道を中心とした発見と回収に限られていることや、死体回収や死因判定が難しいことなどから、必ずしも捕殺の多寡を示すものではなく、実際のイヌやネコによる捕殺頭数のごく一部を示したものに過ぎないと考えられます。しかしながら、徳之島では例年奄美大島よりも高い割合でイヌやネコによる死体が回収されており、より深刻な問題であると想像できます。
 
 

3-2.ノネコ対策への協力及びペットの適正飼養等のお願い

 現在、奄美大島と徳之島では、森林域に生息するノネコの捕獲事業を行っています。捕獲されたノネコの糞からは、多くの希少種が検出されています。また、自動撮影カメラによるモニタリングでも、希少種を咥えたネコが多数確認されています。徳之島では今年度中に「徳之島における生態系保全のためのネコ管理計画」を定め、地域全体での取組を強化していく予定です。希少種保全のため、事業への理解と協力をお願いします。
 イヌやネコを飼うときは、狂犬病予防法や各市町村の飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例に基づいて、必ずお住まいの市町村役場で登録を行ってください。また、迷子防止のためマイクロチップを装着して所有者明示のうえ、不妊・去勢手術をすること、感染症の防止のため室内飼育を徹底し放し飼いや遺棄をしないこと、ノラネコやノライヌにみだりに餌を与えないこと等を守っていただくようお願いします。
 
 

4.希少ネズミ類の生息個体数の増加に伴う住居への迷い込みや錯誤捕獲等について

 生息個体数の増加に伴い、希少ネズミ類が住居等の建造物へ迷い込む事例やクマネズミ用の捕獲器等に錯誤捕獲される事例がみられています。
 希少なネズミ類を捕獲器等で錯誤捕獲した場合は、傷の有無にかかわらず環境省奄美群島国立公園管理事務所に必ず連絡をお願いします。例えばケナガネズミは法令で保護されている種ですが、法令規制対象外の他のネズミ類を捕獲する目的で設置した捕獲器等に当該種が捕獲された場合や、殺鼠剤等を用い誤って死亡させてしまった場合などは、故意によるものでなければ罪に問われることはありませんので速やかに通報をお願いします。
 
 

5.情報提供のお願い

 環境省奄美群島国立公園管理事務所(奄美野生生物保護センター)、徳之島管理官事務所では、アマミノクロウサギなど希少種の死体情報を集めています。傷ついたり、死んでいる個体を見つけたら次の連絡先まで連絡をお願いします。集められた傷病に関する情報は、今後の交通事故防止対策を始めとする希少種の保全策に活用します。
 また、傷病状態の場合、早めの救護対応を行うことにより、生存できる可能性が高まります。
 
 

*死因について

 死体の状態や発見現場、死体解剖の結果から推測しています。死体確認件数は情報が寄せられ把握ができた数であり、自然界での実際の死亡頭数とは異なります。また、死体は人目に付きやすい道路上で発見されるものが多いため、交通事故による死体が多く発見される傾向にあります。発見、回収が遅く死体の腐敗や劣化が激しい、死体の一部のみが回収された、剖検しても異常所見が認められなかった、などの理由で死因が特定できなかったものは不明としています。

<情報提供先>
奄美大島:環境省奄美群島国立公園管理事務所  TEL:0997-55-8620
     (奄美野生生物保護センター)
     https://kyushu.env.go.jp/okinawa/awcc/trouble.html
        ※奄美大島については、死体発見情報をWebで投稿できるようになりました!
徳之島 :環境省徳之島管理官事務所  TEL:0997-85-2919

お問い合わせ先

環境省 沖縄奄美自然環境事務所 奄美群島国立公園管理事務所
所 長  広野 行男
担当:国立公園保護管理企画官 山本 以智人
電話:0997-55-8620