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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2026年03月10日
  • 報道発表

沖縄県における特定外来生物ハヤトゲフシアリの根絶について -産学官連携の取組により成功-

 2020(令和2年)年2月から、那覇市の数か所で確認された特定外来生物ハヤトゲフシアリについて産学官連携により防除に取り組み、すべての定着確認エリアにおいて2年間連続して検出ゼロを確認し沖縄県内からの本種の根絶に成功しました。今回の成果は、外来種対策における早期発見と早期対応および、様々な組織の横断的な協働の重要性を示しています。
 2026(令和8)年3月12日(木)10時00分より、漫湖水鳥湿地センターにて、関係者が集まり、根絶宣言を実施いたします。当日取材をご希望される場合は、取材申込書を3月11日12時までに下記4.取材情報の担当者までご一報ください。

1.背景

 ハヤトゲフシアリ(図1)は南ヨーロッパが原産とされる黒いアリで、本来沖縄に生息しない外来種です。人を直接刺すなどといった被害はないものの、生態系への被害が懸念されています(QRコード参照)。日本国内では2017年に名古屋市で定着が初めて確認されて以降、国内数箇所で確認され、2020年に外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。
 沖縄県内では2020(令和2)年2月に那覇港湾施設(那覇軍港)に隣接する国道331、332号の歩道(海側)約2kmにわたって県内で初めて定着が確認され、その後那覇軍港内および那覇港新港ふ頭地区コンテナヤードフェンス沿いでも定着が確認されました。
 ハヤトゲフシアリはひとつのコロニーに多数の女王アリを含み、わずかな刺激で簡単に巣を移動してしまうこと、餌の好みが安定せず、市販のアリ用ベイト剤にもあまり誘引されないこと、県内には外見が酷似したアリ類が生息すること、そして当該地域の歩道の地下深くに広がるとみられる巣に対しては巣口からの液剤散布処理の効率性が高くないことなど、防除や生息状況調査にあたり多くの課題がありました。
 

2.根絶への取組と成果

 2020(令和2)年に県内において本種の定着が初めて確認された直後から、県内のヒアリ監視体制の構築経験を活かした情報共有体制のもと、役割分担に基づく協働体制を整備し、根絶を目指す方針を共有しました(図2)。まずは沖縄科学技術大学院大学(OIST)と琉球大学昆虫学研究室が協力し、住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社から昆虫成長制御剤の提供を受けて、環境負荷が少ない新たな防除技術を開発しました。同年8月からは、那覇市も参加して国道沿いで防除作戦と効果測定モニタリングが開始され、2ヶ月ほどで大幅な生息エリア縮小に成功しました。那覇港新港ふ頭地区では2021(令和3)年8月に検出ゼロを達成しました。
 2021(令和3)年の春から夏にかけて国道沿いでは気温上昇に伴い一時的な増加が見られましたが、そのピーク後は再び低密度化を実現し、国道では2022(令和4)年3月に検出ゼロを達成し、その後、国道沿いおよび那覇港新港ふ頭地区双方でハヤトゲフシアリの検出はありません(図3)。
 外来アリモニタリングについては、国道2kmエリアおよびコンテナヤードを含む港湾・空港地域は環境省が、国道2kmエリア・港湾・空港周辺地域は沖縄県が、そして国際コンテナヤード内の監視は那覇港管理組合が実施しており、こちらでも検出ゼロが継続したことを確認しています。
 さらに、国道での防除開始に歩調を合わせて約8ヶ月後の2021(令和3)年4月から始まった在沖米陸軍による那覇軍港内の防除でも、順調にその検出数を減少させ、2023(令和5)年12月より検出ゼロとなり、全ての地点での検出ゼロが2年間継続したことで根絶が達成されたと判断しました(図4)。なお、沖縄県内で本種の確認事例は他にないことから、県内での根絶が達成されたことになります。今回、国道沿いでの防除の期間中には、人為的な二次拡散を防止するため、南部国道事務所による注意喚起看板の設置や植栽事業調整、同事務所および沖縄県下水道事務所、那覇市上下水道局による植物残渣や残土の殺虫処理等の措置が実施されたことも根絶に大きな役割を果たしました。
 

3.今後のモニタリング等について

 今後は、環境省および那覇港管理組合が那覇港内で、沖縄県が那覇港周辺地域で、在沖米陸軍が那覇軍港内で定期監視モニタリングを実施します。また、県内で新たにハヤトゲフシアリが発見された場合に備えて防除マニュアルを作成し、迅速な対応がとれるよう体制を維持します。
 

4.根絶宣言および取材申込について

○根絶宣言について

日時:2026(令和8)年3月12日 10時00分より開始(集合時間:9時45分)

場所:漫湖水鳥・湿地センター 2階 会議室
    〒901-0241 沖縄県豊見城市字豊見城982

参加者:環境省沖縄奄美自然環境事務所、沖縄総合事務局、沖縄県、那覇市、在日米陸軍、沖縄基地管理本部、琉球大学(オンライン)、沖縄科学技術大学院大学(オンライン)、Ryukyu Nature Positive、沖縄県環境科学センター

[取材ご希望の場合、【別紙 取材申込書】を3月11日(水)12時までに送付してください]

参考:ハヤトゲフシアリ。英名Browsing antと呼ばれる、働きアリの体長2.5~4mmの黒いアリ。原産は南ヨーロッパとされるが、オーストラリア、グアム、台湾などへの人為的侵入が知られている。オーストラリアでは、日本同様に環境に与える悪影響の大きい外来種として防除対象になっている。
 

 図1.ハヤトゲフシアリLepisiota frauenfeldi
 
画像提供:OIST OKEON美ら森プロジェクト
 
 

図2.国道沿いハヤトゲフシアリ防除における、組織横断的な協働体制。那覇新港の場合には、那覇港管理組合および環境省、沖縄県がコンテナヤード内とその周辺の調査を担当。



図3.国道沿い防除エリア内の各種アリ類の出現頻度の推移。2020年8月より防除用ベイト設置開始。赤線がハヤトゲフシアリの出現頻度​



図4.在沖米陸軍実施の那覇軍港内防除事業における、ハヤトゲフシアリ防除地点数の推移。2023年11月を最後に確認されていない。

お問い合わせ先

環境省 沖縄奄美自然環境事務所
所長:大林 圭司
担当:丸山 久美
Tel: 098-836-6400
沖縄総合事務局 
道路管理課
南部国道事務所
沖縄県 環境部
自然保護課
那覇市 環境保全課 在沖米陸軍
琉球大学 沖縄科学技術大学院大学
(OIST)
那覇港湾管理組合 Ryukyu Nature Positive
(琉球ネイチャーポジティブ)
住化エンバイロメンタル
サイエンス株式会社