報道発表資料
2024年06月26日
- 報道発表
やんばる国立公園におけるヤンバルテナガコガネの密猟可能性事案の発生について(お知らせ)
今般、やんばる国立公園内において、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)に基づき国内希少野生動植物種に指定されているヤンバルテナガコガネの違法捕獲が疑われる事案が発生しました。環境省沖縄奄美自然環境事務所では、本件は、種の保存法第9条に違反する可能性があるとして、名護警察署に通報のうえ、今後の対応や対策について相談を行っています。
今後、環境省では、沖縄県、やんばる3村等の関係機関と連携して林道でのパトロール等の体制をさらに強化するとともに、引き続き関係機関とやんばるの自然環境保全に努めてまいります。
今後、環境省では、沖縄県、やんばる3村等の関係機関と連携して林道でのパトロール等の体制をさらに強化するとともに、引き続き関係機関とやんばるの自然環境保全に努めてまいります。
1.事実関係
◆令和6年3月3日(日)・環境省業務において、やんばる国立公園の山中にて、既知のヤンバルテナガコガネの生息木を調査したところ、そのうちの1本において、樹洞内のフレークとともに、これまで確認されていたヤンバルテナガコガネの幼虫が消失しているのを請負業者が確認した。当該木には新しい破損個所が見られ、周辺にフレークが不自然に散乱していたことから、密猟の疑いがあるとして、やんばる自然保護官事務所に通報があった。
◆令和6年3月5日(火)
・環境省職員が現場を確認したところ、樹洞は地面からある程度の高さに位置すること、また、当該木の下部には樹洞にアクセスする際に足を掛けたと思われる木の破損が複数箇所にみられたことから、イノシシ等の野生動物による危害の可能性は低く、何者かが密猟を試みた可能性が極めて高い状況であることを確認した。
写真1:密猟の被害にあったと考えられるヤンバルテナガコガネの元生息木(左:被害前 右:被害後)
赤破線のところまでフレークがたまっていたが、消失していた。
※調査は許可を得た上で、専門家の指導のもと実施しています。
2.今後の対応
パトロールの強化を図るとともに、関係機関等と連携を図り国内希少野生動植物種の違法採取等防止に努めていくこととします。3.写真の提供について
生息木の特定につながるおそれがあるため、上記の写真1以外は提供いたしません。ご理解のほどよろしくお願いします。【参考】
◆ヤンバルテナガコガネについて
1.分類
コウチュウ目コガネムシ科
学名 Cheirotonus jambar
絶滅危惧ⅠB類(環境省第4次レッドリスト)
2.分布及び個体数
沖縄島北部のやんばる地域にのみ分布
樹洞のあるスダジイやオキナワウラジロガシの大径木が生育する自然林に生息
3.形態的特徴及び生物学的特性
昭和58年に新種として発見
体長は50~60mm程度で、日本最大の甲虫
沖縄島の固有種
4.生息を脅かす要因
生息環境である自然林(特に樹洞をもつ大径木)の減少
違法採集・販売
5.他法令等による保護の状況
文化財保護法:国の天然記念物に指定(昭和60年)、生息地の一部を与那覇岳天然保護区域に指定
写真
◆「種の保存法」抜粋
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)
(捕獲等の禁止)
第9条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第54条第2項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
第57条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第9条、第12条第1項又は第15条第1項の規定に違反した者
お問い合わせ先
環境省沖縄奄美自然環境事務所
所長 北橋 義明
係員 小田桐 睦
やんばる自然保護官事務所
国立公園保護管理企画官 成田 智史
自然保護官 椎野 風香
TEL 0980-50-1025
所長 北橋 義明
係員 小田桐 睦
やんばる自然保護官事務所
国立公園保護管理企画官 成田 智史
自然保護官 椎野 風香
TEL 0980-50-1025