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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2024年02月22日
  • 報道発表

カンムリワシの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書の締結について(お知らせ)

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律における国内希少野生動植物種であり、国の特別天然記念物でもあるカンムリワシの傷病救護及び生体を活用した普及啓発活動を、関係組織間での連携のもと進めてきたところです。一方で、現状の救護体制や普及啓発活動に関する体制に関して明文化されたものが無いため、今般、各組織の役割分担や個体の所有権及び占有権の取り扱いを明文化するとともに、連携を継続して確保することを目的として「カンムリワシの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書」を令和6年2月21日に締結しましたのでお知らせいたします。

1.協定書締結者

・環境省沖縄奄美自然環境事務所
・石垣市
・沖縄市
・竹富町
・たまよせ動物病院
・特定非営利活動法人どうぶつたちの病院沖縄
・石垣やいま村(あやぱに株式会社)
・公益財団法人沖縄こどもの国

 

2.カンムリワシについて

 カンムリワシは、八重山諸島の固有亜種であり、繁殖個体群は石垣島及び西表島に限られます。保全カテゴリーは環境省第4次レッドリストにおいて、絶滅危惧ⅠA類(CR)として掲載されています。また、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内希少野生動植物種及び「文化財保護法」に基づく特別天然記念物に指定されています。
 石垣島と西表島では、平成24年(2012年)以降、環境省により非繁殖期に低地林外に出現するカンムリワシを対象に生息状況等調査が実施され、出現個体数は石垣島で24~62個体、西表島で38~66個体の範囲で推移しています。出現個体数は、調査時の時間帯や気象(特に風速)などの影響により年による変動幅が大きいものの、この10年間では増加及び減少のどちらの傾向も認められず、生息数は維持されていると判断されています。
 しかし、石垣島では年平均で7.4件(平成20年(2008年)から令和3年(2021年))、西表島では年平均で4.1件(平成24年(2012年)から令和3年(2021年))の交通事故が確認されているほか、観光客等による過度な接近、生息環境の質的・量的な変化、外来種等との生息場や餌生物をめぐる競合などが課題となっています。

和名 …カンムリワシ
学名 …Spilornis cheela perplexus
英名 …Crested serpent eagle
方言名…マヤダン、バシントゥイ
体長…約55㎝(翼開長約110㎝)
体重…約800g
生息域…沖縄県西表島、石垣島(インド、台湾等に生息する同種の亜種とされる)
渡り区分…留鳥
昭和52年(1977年) 文化財保護法に基づく国指定特別天然記念物に指定
平成5年 (1993年) 種の保存法に基づく国内希少野生動植物に指定
平成10年(1998年) 環境省レッドリストにおいて絶滅危惧ⅠA類として掲載

 

3.カンムリワシの傷病救護について

 カンムリワシの傷病救護(死体回収含む)の実績については以下の通りです。

        図1 カンムリワシの傷病救護(死体回収含む)実績について
 

            図2 傷病救護(死体回収含む)原因の割合
                ※左:石垣島、右:西表島
 

4. 生体展示の状況について

 石垣やいま村及び沖縄こどもの国において、本種の生態に加え、現状の生息状況や傷病救護の実態等を広く認識・ご理解いただくために、生体展示を実施しています。生体展示個体は、傷病救護したものの、怪我の状態から野生に帰すことができないと判断された個体になりますが、生体展示を通じて交通事故防止等のための普及啓発の面で活躍しています。

              図3 生体展示個体の写真
       ※左:石垣やいま村飼育個体(よんなー)、右:沖縄こどもの国


カンムリワシの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書(PDF)

お問い合わせ先

環境省 沖縄奄美自然環境事務所
所長 北橋 義明

担当①:沖縄奄美自然環境事務所
    野生生物課 内野 祐弥
電話:098-836-6400

担当②:石垣自然保護官事務所
    山本 以智人
電話:0980-82-4768

担当③:西表自然保護官事務所
    石原 航
電話:0980-84-7130