報道発表資料
2023年09月04日
- 報道発表
令和4年度奄美大島におけるマングース防除事業の実施結果について(お知らせ)
環境省沖縄奄美自然環境事務所は、外来生物法に基づくマングース防除事業(以下「防除事業」という。)を平成17(2005)年度から実施してきました。令和3(2021)年度からは、新たな計画「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」※に基づく防除事業を行い、引き続き、奄美大島からのマングース根絶を目指しています。
令和4(2022)年度の防除事業では、わな、探索犬による探索ともにマングースの捕獲はありませんでした。平成30(2018)年4月に捕獲があって以降、約5年に亘り捕獲のない状態が続くため、継続的にマングースが減少しており、奄美大島における現在の生息数はきわめて少ない状態又は根絶できている状態になっていると考えられます。
引き続き、島内にお住いの皆さんからのマングース目撃情報の提供をお願いいたします。
令和4(2022)年度の防除事業では、わな、探索犬による探索ともにマングースの捕獲はありませんでした。平成30(2018)年4月に捕獲があって以降、約5年に亘り捕獲のない状態が続くため、継続的にマングースが減少しており、奄美大島における現在の生息数はきわめて少ない状態又は根絶できている状態になっていると考えられます。
引き続き、島内にお住いの皆さんからのマングース目撃情報の提供をお願いいたします。
※「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」: https://kyushu.env.go.jp/okinawa/pre_2021/post_145.html
1.防除事業の実施内容等の概要
環境省は奄美大島に生息するアマミノクロウサギやアマミヤマシギ等の在来種を含む奄美大島固有の生態系を保全することを目的に、奄美野生生物保護センターを拠点として、平成12(2000)年度に奄美大島においてマングース駆除事業を開始しました。平成17(2005)年度からは外来生物法に基づく防除事業を開始し「奄美マングースバスターズ」を結成するなど、防除の強化を図ってきました。令和3年度からは奄美大島におけるマングースの根絶の確認と防除完了の過程を適切に進めることを目指す「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」に基づいて防除作業を進めています。令和4(2022)年度は奄美マングースバスターズ28名の体制で捕獲作業等を実施しました。
捕獲作業には、筒型捕殺わな(以下「筒わな」という。)及び延長筒わな(アマミトゲネズミの混獲を低減させる改良筒わな)を使用し、アマミトゲネズミ等の在来種の分布状況に応じて、両わなを使い分けています。
平成20(2008)年度からは、マングースの生息状況をより確実に把握し、効率的に捕獲するためにマングース探索犬を導入し、ハンドラーとともに訓練や探索等を実施しています。
マングース根絶の課題となっていた、わなや探索犬による捕獲が困難な場所に残存した個体の防除を図るため、平成29(2017)年度には、化学物質を用いた防除試験を実施し、マングース防除の新たな手法として化学的防除の実施方針を作成しました。
事業の目的である在来種の回復状況を確認するため、捕獲作業と並行してセンサーカメラ、わな点検時などの情報を元に在来種のモニタリングを実施しています。
これらの取組みの結果、マングースの防除が順調に進んだことから、当初令和4(2022)年度までを予定していた第2期防除実施計画を2年短縮して令和2年度で終了とし、令和3(2021)年度からは奄美大島におけるマングースの根絶の確認と防除完了の過程を適切に進めることを目指す「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」に基づく防除作業を実施しています。
2.捕獲作業等の実施結果
(1)実施期間:令和4(2022)年4月1日~令和5(2023)年3月31日
(2)実施区域:奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町
(3)捕獲努力量・捕獲数等:表1~5、図1~2のとおり
(4)結果概説
○ 令和4年度の防除では、マングースの根絶を科学的に評価するために必要な、3次メッシュあたりの年間の捕獲努力量を2,000わな日程度にすることを目安として、一部過密だったわなラインを削減しました。この結果、年度当初、奄美大島全体に22,614基のわなが設置されていましたが、968基のわなを撤去し、令和4年度末時点では21,633基でした(図1)。
○ 投入された捕獲努力量は、令和3年度よりも約7%減少した約139万わな日でした(表1、表2)。
○ わなではマングースの捕獲はありませんでした。全島的な低密度化が進んだものと考えられます(図2、表2)。
○ マングース探索犬(生体探索犬、糞探索犬)については、全域で440ペア日、探索ルート延長は全体で1,230㎞に達しましたが、マングースの確認・捕獲はありませんでした。
○ 奄美大島島内548地点にセンサーカメラを設置し、合計131,801カメラ日の撮影努力量を投入しましたが、マングースは撮影されませんでした。平成30(2018)年度以降マングースは撮影されておらず、マングースがきわめて少ない、あるいは生息していない状況が示唆されました(表3)。
○ 島民らから寄せられたマングース目撃情報は7件ありました。すべての情報について、情報取得後に聞き取り調査などを実施し、聞き取り調査から確実にマングースではないと判断できない場合は、センサーカメラの設置や探索犬による探索等の対応を実施しましたが、マングースの生息は確認されませんでした。
○ アマミトゲネズミ及びケナガネズミ、アマミイシカワガエル等の在来種は、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されています。
3.令和5年度の防除事業について
令和4年度までの事業の結果、捕獲やセンサーカメラによるマングースの生息確認は約5年間されておらず、全島からの根絶に向け大きく前進したと考えられます。しかし、その上で残存個体群が生息している可能性も否定できません。令和5年度の防除事業では、令和4年度から運用している奄美大島におけるマングースの根絶の確認と防除完了の過程を適切に進めることを目指す「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」に基づき、引き続き、わな、探索犬、センサーカメラ等によるモニタリングを継続していきます。また、島民からの目撃情報収集を継続していく予定です。
根絶確率算出モデルについては、環境研究総合推進費2020年度開始課題4-2006(城ヶ原貴通代表)「侵略的外来哺乳類の防除政策決定プロセスのための対策技術の高度化」によって令和4(2022)年度に根絶確率の評価モデルは完成しており、過年度までのモニタリング結果などを入れた根絶確率を評価していく上で、引き続き捕獲作業計画や探索犬の運用等により必要なデータを集積していきます。
加えて、奄美マングースバスターズが各種在来種のモニタリングを行いながら広域的な防除体制を維持し、引き続き奄美大島からの根絶を目指していきます。
図1. 令和4(2022)年度末時点 奄美大島におけるマングースのわな設置地点
図2.奄美大島におけるマングース捕獲頭数とわな日の経年変化
表1.捕獲数・捕獲努力量・CPUEの経年推移
表2.令和4(2022)年度 月別のわなによるマングース捕獲状況
*1 わな日: のべわな日数=わなの数×わな有効日数
*2 CPUE:わなによるマングース捕獲数/1,000わな日
表3. 平成19(2007)年度から令和4(2022)年度までのマングース撮影枚数および撮影率
※ 平成28年度、平成29年度、平成30年度は化学的防除試験の関連で
集中的に設置していた大和村嶺山地区のデータを除く結果
お問い合わせ先
環境省 沖縄奄美自然環境事務所
所長 北橋 義明
担当:奄美群島国立公園管理事務所(奄美野生生物保護センター)
所長 阿部 愼太郎
電話:0997-55-8620