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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2023年05月19日
  • 報道発表

徳之島における特定外来生物シロアゴガエルの生息確認について

 令和5年5月8日(23時45分頃)にNPO法人徳之島虹の会会員が徳之島町徳和瀬にて目撃
したカエルについて、特定外来生物「シロアゴガエル」(Polypedates leucomystax)の
可能性が高いとして、令和5年5月16日に同会事務局から環境省徳之島管理官事務所に通報が
ありました。関係者で現地を確認したところ、徳和瀬、諸田、井之川にて本種の生息を確認
しました。
 シロアゴガエルは既に沖縄諸島や宮古列島、石垣島等で定着が確認されており、奄美群島
ではこれまで与論島でのみ定着が確認されていましたが、徳之島で発見されたのは今回が
初事例となります。
 現在確認されている徳之島町徳和瀬、諸田、井之川以外の地区で本種の鳴き声を聞いたり、
木の枝やコンクリート壁面等に生み付けられる泡巣(泡状の卵塊)を発見した際には、徳之島
管理官事務所までご連絡をお願いいたします。

1. シロアゴガエルについて

 東南アジア原産のアオガエル科の一種で、1964年に沖縄県嘉手納町で初めて侵入が確認
されて以降、わずか50年あまりの間に沖縄島や宮古島、石垣島等の各地で定着、「特定
外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき特定外来
生物に指定されています。奄美群島では与論島以外未侵入でしたが、与論島では2013年に
島内3地点で生息を確認されて以降、2019年には島内全域に分布拡大していることが判明
しています。アマミアオガエルをはじめとする在来のカエル類と、餌資源や繁殖場所を巡って
競合する可能性等が懸念されています。
 体長5cm~7cm程度で、体色は茶褐色や場所によっては黄みがかった色をしています。
ほっそりとした体つきをしていて、脚が長いため、全体的に細長く感じられます。高い場所に
上ることが得意なので、壁や木の上で発見されることもあります。クリーム色の泡状の卵塊
(泡巣)を水場近くの木の枝や水桶の縁などに産み、ひとつの泡巣には200~400個程度の
卵が入っています。繁殖期は4~10月で、繁殖期間中、何度も産卵を繰り返します。
 止水環境に集まり、「ギィッ」「グェッ」という声で鳴きます。

 
シロアゴガエルの成体(左)と泡巣(右)
写真ダウンロード:シロアゴガエル成体泡巣
写真 / 沖縄奄美自然環境事務所

 

2. 発見の経緯

 令和5年5月8日(23時45分頃)にNPO法人徳之島虹の会会員が徳之島町徳和瀬にて目撃
したカエルについて、特定外来生物「シロアゴガエル」(Polypedates leucomystax)の
可能性が高いとして、令和5年5月16日に同会事務局から環境省徳之島管理官事務所に通報が
ありました。同日夜に住民発見地点周辺にて徳之島虹の会メンバーと環境省職員で目視探索を
行ったところ、4匹のシロアゴガエルが確認されました。また、同日及び後日夜に住民発見
地点周辺の別の水場にてコールバック調査(鳴き声を流して鳴き返しを調べる調査)を行った
ところ、複数地点で生息が確認されました。

 

3. 現時点での確認地点と生息状況

 諸田池及びその水系、名田川周辺の水場計8地点で目視にて計20個体程度及び卵塊20個
程度、鳴き声にて計30個体以上の侵入が確認されました。現在の生息地点の広がりなどから、
定着したのは1年以上前、かつ去年の繁殖期には徳之島で繁殖したと見られ、既に相当数の
個体が生息していると考えられます。

確認された地点(国土地理院地図より作成)

  確認されたシロアゴガエル

 

4. 皆様へのお願い

 シロアゴガエルの鳴き声は在来のカエルと異なり、「ギィッ」「ゲェッ」と鳴きます。
現在確認されている徳之島町徳和瀬、諸田、井之川以外の場所でシロアゴガエルの鳴き声が
したと思ったら、徳之島管理官事務所までご連絡ください。
 また、木の枝やコンクリート壁面等に生み付けられる泡巣(泡状の卵塊)を発見した際
には、同様に徳之島管理官事務所までご連絡ください。
 シロアゴガエルは特定外来生物に指定されています。生きたままの運搬や飼育は法律で
禁止されています。
 徳和瀬、諸田、井之川やその周辺の集落の皆様へ:シロアゴガエルはちょっとした水場
でも繁殖します。農業用等のため水について、不要なため水は容器をひっくり返すなどして
撤去をお願いします。また、資材等の運搬や車両の移動時には、シロアゴガエルの成体や
泡巣が付着していないか、しっかり確認をお願いします。

在来のカエル及びシロアゴガエルの鳴き声はこちら
(奄美野生生物保護センター 奄美のカエル鳴き声図鑑)
https://kyushu.env.go.jp/okinawa/awcc/frog-call.html

 問い合わせ先
環境省沖縄奄美自然環境事務所徳之島管理官事務所
担当:田口、吉留
電話:0997-85-2919

(参考)特定外来生物
 「特定外来生物」とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・
身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものとして、外来生物法
にて指定されたものです。指定された生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養等、
譲渡し等の禁止といった厳しい規制がかかり、規制対象は個体のみならず、卵、種子、
器官なども含まれます。
https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/index.html

お問い合わせ先

環境省沖縄奄美自然環境事務所
所長:宇賀神 知則

奄美群島国立公園管理事務所
所長:阿部 愼太郎
Tel. 0997-55-8620

担当:徳之島管理官事務所
   国立公園管理官 田口 知宏
   Tel. 0997-85-2919