九州地域のアイコン

沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2023年04月27日
  • 報道発表

カンムリワシ保全方針の策定について(お知らせ)

八重山地域のカンムリワシの保全に関係する行政機関では、連携して本種の保護の取組に活用することを目的とし、生態や生息状況、今後必要な対策等をとりまとめた「カンムリワシ保全方針」を策定しましたのでお知らせします。

1.策定主体

・沖縄奄美自然環境事務所
・沖縄森林管理署
・西表森林生態系保全センター
・沖縄県
・沖縄県教育委員会
・石垣市
・石垣市教育委員会
・竹富町
・竹富町教育委員会


2.策定の経緯と目的

沖縄奄美自然環境事務所では、令和2年(2020年)度及び3年(2021年)度にかけて、これまでの八重山地域におけるカンムリワシの生息状況調査等の結果をまとめました。
その結果を元に、有識者の助言を踏まえつつ、本種の保全に関係する行政機関と協議を行ない、本方針のとりまとめを行ないました。
本方針は、沖縄奄美自然環境事務所をはじめとする関係行政機関が連携して、カンムリワシの保護の取組みに活用することを想定して、本種の生態や生息状況、保護上の課題、今後必要な対策等について記載しています。


3.記載項目

・方針策定の目的
・本方針の適用区域
・カンムリワシの生態等
・石垣島・西表島における生息状況
・これまでの保全の取組
・保護上の課題
・今後必要な対策
・引用文献


4.カンムリワシについて

カンムリワシは、八重山諸島の固有亜種であり、繁殖個体群は石垣島及び西表島に限られます。保全カテゴリーは環境省第4次レッドリストにおいて、絶滅危惧ⅠA類(CR)として掲載されています。また、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内希少野生動植物種及び「文化財保護法」に基づく特別天然記念物に指定されています。
石垣島と西表島では、平成24年(2012年)以降、環境省により非繁殖期に低地林外に出現するカンムリワシを対象に生息状況等調査が実施され、出現個体数は石垣島で24~62個体、西表島で38~66個体の範囲で推移しています。出現個体数は、調査時の時間帯や気象(特に風速)などの影響により年による変動幅が大きいものの、この10年間では増加及び減少のどちらの傾向も認められず、生息数は維持されていると判断されています。
しかし、石垣島では年平均で7.4件(平成20年(2008年)から令和3年(2021年))、西表島では年平均で4.1件(平成24年(2012年)から令和3年(2021年))の交通事故が確認されているほか、観光客等による過度な接近、生息環境の質的・量的な変化、外来種等との生息場や餌生物をめぐる競合などが課題となっています。 

和名 …カンムリワシ
学名 …Spilornis cheela perplexus
英名 …Crested serpent eagle
方言名…マヤダン、バシントゥイ
体長…約55㎝(翼開長約110㎝)
体重…約800g
生息域…沖縄県西表島、石垣島(インド、台湾等に生息する同種の亜種とされる)
渡り区分…留鳥

昭和52年(1977年) 文化財保護法に基づく国指定特別天然記念物に指定
平成5年 (1993年) 種の保存法に基づく国内希少野生動植物に指定
平成10年(1998年) 環境省レッドリストにおいて絶滅危惧ⅠA類として掲載


5.提供写真  

                        カンムリワシの姿(左からそれぞれ成鳥、若鳥及び幼鳥) 

お問い合わせ先

環境省 沖縄奄美自然環境事務所
所長: 宇賀神 知則

担当①:沖縄奄美自然環境事務所
野生生物課 内野 祐弥
電話:098-836-6400

担当②:石垣自然保護官事務所
山本 以智人
電話:0980-82-4768

担当③:西表自然保護官事務所
石原 航
電話:0980-84-7130