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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2021年04月30日
  • その他

交通事故のアマミノクロウサギ保護個体の野生復帰のお知らせ

令和3年4月14日に、宇検村の県道79号線上で保護されたアマミノクロウサギが、交通事故で負傷し保護されました。大きなけがはなく、野生復帰が可能な状態に回復したため、4月21日に保護場所近くの森林内に放獣しました。夜間の道路上にはアマミノクロウサギやケナガネズミなどの動物が出てきています。野生動物の交通事故防止のためにも、特に夜間の山道での運転は、野生動物の飛び出しに注意をして、スピードを控える等のご協力をお願いします。

1.保護及び野生復帰の経緯

 アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島に生息する古い形質を残したウサギで、「絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定されています。

 令和3年4月14日、宇検村湯湾と部連の間の県道79号線上で交通事故があり、負傷したアマミノクロウサギ(オス、成獣)が保護されました。保護された個体は大きな外傷や骨折はなく、奄美いんまや動物病院で伊藤圭子獣医師により治療と経過を観察しました。頭部打撲によると思われる神経症状が見られましたが、投薬などにより一過性で改善されました。4月19日に奄美野生生物保護センターに移送して二晩、少し広い屋外ケージで自動撮影カメラを利用して行動を観察しました。運動能力についても問題ないと判断し、4月21日夕方に保護場所近くの山中に放獣しました。放獣場所は再度道路に出現することがないよう、県道からやや離れた森林内を選定しました。

 放獣時はキャリーケースの中で動かずじっとしていましたが、体の向きを変えて周囲が見られるようになると、すばやく走って森林内に帰っていきました。

2.皆さまへのお願い

 奄美大島ではアマミノクロウサギやケナガネズミ等野生動物の交通事故が多発しています。今回のケースのように比較的、軽傷で保護されることは希ですが、国道など大きな道路でも野生動物の事故が発生しています。奄美大島では、どんな道路でも生きものが出てくる可能性があるということを知っていただき、特に夜間は生きものにも優しいゆとりを持った運転をお願いします。

 また、今回のように負傷している場合もすぐに治療に当たることで、回復し、野生に戻すことができる場合もあります。怪我をしていたり、死んでしまっている場合であっても、希少種を見つけた場合はすぐに奄美野生生物保護センターにご連絡をお願いします。

 奄美大島の貴重な動物たちの交通事故をなくすため、みなさまのご協力をお願いします。

参考:アマミノクロウサギ交通事故等件数

保護個体と放獣時の写真

■ 問い合わせ先
環境省 奄美野生生物保護センター(0997-55-8620)田口、晝間