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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2019年07月12日
  • その他

保護増殖事業オオトラツグミ傷病個体の展示について

「絶滅の恐れのある野生動植物種の保存に関する法律」に基づく保護増殖事業の一環として、国内希少種オオトラツグミの傷病個体を鹿児島市平川動物公園にて公開展示することになりましたのでお知らせします。今回の生体展示は野生復帰は困難であるものの順調に回復し、個体の状態が安定していることから、普及啓発や環境教育への活用を目的として行うもので、オオトラツグミの生体展示は初めての試みとなります。

<平川動物園同時発表>

1.経緯

 オオトラツグミは奄美大島のみで繁殖する固有亜種で、平成5年に種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定され、平成11年に同法に基づく保護増殖事業計画が策定されました。

 環境省では保護増殖事業の一環として、関係機関の協力のもと、傷病個体の保護に取り組んでおり、野生復帰が困難な個体については生態・生理等の情報収集や普及啓発に活用することを検討してまいりました。 

今回生体展示を行う個体は、平成30年8月に奄美大島内の路上で衰弱しているところを保護されました。全身の受傷状態から交通事故が疑われ、奄美大島内の動物病院で治療を行った結果順調に回復しましたが、右目を損傷しており、骨折により飛翔能力が不完全であることから野生復帰は困難であると判断されました。

 平成31年3月に終生飼養を目的として、当該個体を平川動物公園に移送しました。移送後は個体へのストレス等を考慮し、非公開のスペースで飼育をしていましたが、個体の状態が安定していることから、公開展示を行うこととなりました。

2.生体展示の目的

 今回の展示は生体展示と併せて、パネル展示によるオオトラツグミの生態や保護の取り組みについて普及啓発を行う予定です。普段見ることのできないオオトラツグミの生体展示をきっかけに、オオトラツグミをはじめとする奄美大島の野生動植物種の保全の取組や、奄美大島の豊かな自然の貴重さについて普及啓発を推進し、広く国民の理解を深める機会となることを目的としています。

 また、奄美大島では野生動物の交通事故被害が頻発しており、当該個体も交通事故にあったと考えられます。交通事故にあった個体の様子を見ていただくことで、奄美大島における野生動物の交通事故対策の重要性を知っていただき、交通事故対策が進むことが期待されます。

3.展示の詳細について

公開日:2019年7月19日(金)

展示場所:平川動物公園どうぶつ学習館

留意事項:ストロボ撮影は禁止です。動物の体調等によって展示を中止することがありますのでご了承ください。

鹿児島市平川動物公園HP:http://hirakawazoo.jp/

<参考>

オオトラツグミ 絶滅危惧Ⅱ類(環境省第4次レッドリスト)

学 名:Zoothera dauma major

形 態:翼長160-173mm(n=5)。体重およそ180g(春)。くすんだ黄褐色ないしはオリーブ色で、羽軸周辺が白く、先端の黒い羽毛の斑点模様に全身おおわれている。腹部は淡色、尾羽は黒っぽい。尾羽がすべての正常個体で12枚。(亜種トラツグミは14枚)

分布域:奄美大島の中~南部。

生息環境:主に樹冠の閉鎖した、おそらくミミズの多い、照葉樹林。樹冠がよく閉鎖し、風当りが少なく林床湿度が高い照葉樹天然林で、繁殖期の生息が確認されている。

(レッドデータブック2014より抜粋).

オオトラツグミ保護増殖事業

https://www..env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/otoratsugumi.html

■ 問い合わせ先
環境省沖縄奄美自然環境事務所
所長 東岡 礼治
奄美群島国立公園管理事務所
(奄美野生生物保護センター)
国立公園管理官 早瀬 穂奈実
電話:0997-55-8620
FAX:0997-55-8621

鹿児島市平川動物公園
園長 石堂 昭憲
飼育展示課
課長 福守 朗
電話:099-261-2326
FAX:099-261-2328