報道発表資料
【通知】与那国島での特定外来生物シロアゴガエルの捕獲について
2008.08.01 那覇自然環境事務所
7月25日夜、与那国島で特定外来生物に指定されているシロアゴガエルのオスを捕獲しました。与那国島におけるシロアゴガエルの捕獲は初めてです。現在のところ与那国島で他個体の生息情報はなく、未だ定着していない可能性が高いと考えられますが、引き続き監視を続けていく必要があります。そのためには与那国島の皆さんの協力が不可欠です。見慣れないカエルや聞き慣れない鳴き声を確認したら、アヤミハビル館への連絡をお願いいたします。
1.シロアゴガエルと八重山諸島における対策
シロアゴガエルは東南アジア原産の中型のカエルで、日本では1964年に沖縄本島の嘉手納で初めて発見されました。本種は、輸送物資にまぎれて、県内で急速にその分布を広げており、移入先ではすぐに高密度で生息するようになります。現在、沖縄諸島、宮古諸島の多くの島では定着・蔓延してしまっています。他のカエル類との競争や捕食・被食による影響、さらに外来性の寄生虫の伝播などが懸念されており、固有種や希少な在来種を含む生物多様性に対して悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。このため、平成18年に「外来生物法」に基づいて「特定外来生物」に指定しています。
昨年7月、八重山諸島では初めて石垣島で定着していることが確認され、それにより今後さらに周辺の離島への侵入のおそれがあるため、環境省では昨年度より、石垣島でのシロアゴガエルの防除対策を実施しているところです。
2.与那国島での捕獲の状況
5月26-28日に琉球大学熱帯生物圏研究センターの機関研究員より、与那国島の久部良集落近くの満田原水田付近でシロアゴガエル1個体の鳴き声を聞いたという情報がありました。それを受け、7月23日から25日に環境省石垣自然保護官事務所職員が与那国島での調査を行いました。その結果、7月24日夜、情報のあった地点から500mほど離れた場所で1個体の鳴き声を確認しました。翌25日21時頃、前日と同じの場所から鳴き声を確認し、アヤミハビル館の村松氏と共に捕獲しました。捕獲した個体は冷凍処分したのち、ホルマリンで固定しました。
その他の一部地域については、コールバック調査など鳴き声による調査を実施したものの生息は確認できておらず、現在のところ、定着初期の個体を除去できたと考えています。
【捕獲個体の状況】
- 性別:
- オス鳴いている個体だったこと、及び体サイズからオスと判別。
- 頭胴長:
- 50.9mm
3.与那国島の皆さんへ監視と協力のお願い
与那国島はヨナグニサンなどを含む固有の生物が多く、独自の生態系を形成しています。加えてカエル類はサキシマヌマガエル1種しかいなため、シロアゴガエルが侵入した場合、生態系に多大な影響を与えるおそれがあります。
今回のオス個体の捕獲は、与那国島に侵入したごく初期の個体であると考えていますが、他に侵入していないとは言えませんし、今後も侵入のおそれは少なくありません。与那国島の生態系を保護するためにも島に住んでいる方々の協力が不可欠です。石垣自然保護官事務所では、アヤミハビル館の協力を得て、与那国島での監視を継続していきますので、与那国島にお住まいの多くの方や与那国島を訪問される方のご協力をお願いいたします。
今後、八重山諸島においてシロアゴガエルの鳴き声や目撃情報があった場合は、与那国島ではアヤミハビル館(0980-87-2440)に、西表島は環境省西表野生生物保護センター(0980-85-5581)に、西表島以外については環境省石垣自然保護官事務所(0980-82-4768)にご連絡ください。
シロアゴガエルが生息していれば、4〜10月の繁殖期に池や水田などの止水でオスの「ギー、グイッ」という鳴き声が確認できます。なお、シロアゴガエルの成体や卵、オタマジャクシ、鳴き声の特徴については、那覇自然環境事務所のホームページで確認することができます。
http://kyushu.env.go.jp/naha/wildlife/mat/m_2_2.html
連絡先
環境省 那覇自然環境事務所
所長 奥田 直久
担当:石垣自然保護官事務所
自然保護官 竹永 泰雄
電話:0980−82−4768