やんばるの集落の多くは、少ない平坦地を求めて海に近く、小河川が刻んだ谷沿いに立地します。長い間集落ごとに独立した生業が営まれてきたため、集落単位でのまとまりが強い傾向があります。それぞれの集落が独自性とまとまりを持ちながら地域社会を形成してきたことがやんばる地域の大きな特徴といえます。
やんばるの集落は、脊梁山地から流れ出る水脈の一つ一つに立地していて、分水界から浜までの短冊状の範囲がそのまま字界になっています。
このような地理的条件以外に、海の向こうの原郷、「ニライカナイ」の信仰と祖先崇拝とが大きな影響を与えていて、家「イエ」、集落「シマ」の空間構成は、海からの神や海の幸を迎え入れるように方格地割されています。
集落の観念的な中心は草分け家(ニーヤー「根屋」)や神女(ノロ)殿内で、その西と南に家が配置されています。ニーヤーの近くが集落の中央部となります。ここが共同店など集落生活の中心になっています。
信仰の対象となる御獄や拝井泉などを大きく包み込む集落の後背林は、腰宛の森(クサテヌムイ)として良く保存され、集落を包む森を構成しています。
また、集落を中心とした同心円状に以下のような段階的な土地利用が行われていました。