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▽フェノロジーカレンダー
やんばる地域の暦


 やんばる地域では、地域の基盤をなす動植物や気候、潮の干満等の自然の上に人々の生活が営まれ、信仰や文化が築かれてきました。自然が一年を周期として移ろいながら繰り返すのに合わせて、人々の暮らしもまた繰り返され、その中で自然と人との密な関わりが生まれてきたといえます。「やんばる3村のフェノロジーカレンダー」は、国頭村、大宜味村、東村の年間の暦を季節、気候、行事、生業、動植物等に分けてまとめたものです。

 フェノロジーとは生物季節学または花暦学という意味で、自然を中心とする年間暦のことです。一年間の自然と生活の流れをつかむことは、時間軸を考慮して地域を立体的に理解し、資源の利活用の在り方を検討していく上で重要な手がかりとなります。

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フクギの花
イトバショウ
奥海岸

ナキヤモリ

 

やんばるの1年
内    容
1月 沖縄では旧暦12月8日にムーチー(鬼餅)を仏前に供えて厄払いする風習があります。ちょうどこの頃から最も寒い時期に入るので、ムーチービーサ(鬼餅寒さ)と言います。
2月 1年で最も寒い月。最低気温は国頭村奥で10度以下に下がることもあります。また、ニングワチカジマーイ(2月風回り)と言って、この時期は天気が急に変わる事があります。
3月 山裾から始まった新緑は、下旬頃には山全体を覆い、萌葱色に包まれます。サシバが北へ渡りはじめ、クロバイが開花し、昆虫たちの活動が活発になります。
4月 旧暦の3月3日、海辺では潮に手足を浸して不浄を清め、健康を祈願して楽しく遊ぶ浜下りの行事が見られます。また、各地の墓地では旧暦3月の清明節に行うシーミー(清明祭)という祖先供養の行事が見られます。
5月 上旬には梅雨入り(6月下旬まで)しますが、梅雨の晴れ間には真っ青な夏の青空が広がることもあります。夏鳥のさえずりがいっそうにぎやかに。海岸ではアカウミガメの産卵が始まります。
6月 梅雨の終盤には大雨が降ることも。下旬頃には長い梅雨が明け、夏型の安定した晴天が続き、蒸し暑くなります。満月から2、3日後過ぎた夜の満潮時にはイシサンゴ類がいっせいに産卵します(7月まで)。
7月 夏真っ盛り。真っ青な空と真っ白な雲のコントラストが鮮やか。セミの声が山々にこだまします。海ではアオウミガメの産卵が始まると共に、アカウミガメの卵が孵り始めます。
8月 ヒグラシの仲間・オオシマゼミが「カン、カン、カン」という独特の鳴き声で鳴き始めます。旧暦の7月は安田のシヌグや塩屋のウンガミなどの伝統的な年中行事が各地で行われます。
9月 厳しい残暑が続きます。台風が接近、直撃し、大雨が降ることもしばしば。下旬過ぎには暑さも幾分和らいできます。この頃になると南の越冬地に向かうアカハラダカの南下が見られるようになります。
10月 夏の南風に変わってひんやりとしたミーニシ(新北風)が吹くと、沖縄も秋。空気が乾燥してさわやかな季節になります。この頃、サシバの南下が見られ、山にはイタジイの実がなります。
11月 やんばるの森は一年中緑に覆われていますが、その中で唯一紅葉するのがハゼノキ。周りの緑に囲まれてそこだけ紅色が浮かび上がっています。サキシマフヨウの花が咲き、シロハラが飛来します。
12月 南国沖縄とはいえ、12月ともなると冷え込んできます。夏の間北太平洋で過ごしたザトウクジラの群の一部は、冬の間繁殖するために慶良間諸島へやってくるが、やんばるの東海岸沖にも回遊してくることがあります。
(出典:亜熱帯エコツーリズムガイドブック・やんばるの歩き方)