九州地域のアイコン

沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2014年08月13日
  • その他

報道発表:平成25年度奄美大島におけるマングース防除事業の実施結果及び26年度計画について(お知らせ)

環境省 那覇自然環境事務所
所長 植田 明浩
担当: 奄美自然保護官事務所
(奄美野生生物保護センター)
自然保護官 木村 麻里子
電話: 0997-55-8620

 環境省那覇自然環境事務所は、外来生物法に基づくマングース防除事業(以下「防除事業」という。)を実施してきました。平成25年度の防除事業では、わなにより110頭を捕獲し(約248万わな日)、捕獲の効率を示すCPUE(捕獲数/1,000わな日)は0.04となりました。平成24年度に比べて捕獲数は約39%、CPUEは約44%減少しており、着実にマングースの生息密度が低下していると考えられます。また、探索犬及びハンドラーによって20頭の捕獲がありました。平成25年度のマングース捕獲総数は計130頭になります。
 平成26年度も25年度と同様に防除実施計画に基づく防除事業を行い、平成34年度までに奄美大島からの完全排除を目指します。

1 防除事業の実施内容等の概要

環境省は奄美野生生物保護センターを拠点として、平成12年度に奄美大島においてマングース駆除事業を開始しました。平成17年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施してきました。平成25年度には、平成34年度までの10年間で奄美大島からのマングースの完全排除を目標とする第2期防除実施計画を始動させています。平成25年度は47名のマングースバスターズ体制で捕獲作業等を実施しました。また、特定地域(岩崎産業(株)社有林内のマングース分布域)においては、平成20年度より別途の体制(平成25年度捕獲従事者8名体制)で捕獲作業等を実施しています。このような体制により、現在はマングース分布域の全域で捕獲作業等を実施することが可能となっています。
捕獲作業には、生け捕り式のはこわな(以下「カゴわな」という。)と筒型捕殺わな(アマミトゲネズミの混獲を防止するための延長型筒わなを含む)(以下「筒わな」という。))を使用し、アマミトゲネズミ等の在来種の分布状況に応じて、両わなを使い分けています。
平成20年度から、マングースの生息状況をより確実に把握し、効率的に捕獲するためにマングース探索犬を導入し、ハンドラーとともに訓練や探索等を実施しています。平成25年度には新たに4頭を導入し、現在は合計9頭(うち3頭が探索犬認定試験に合格済み)です。

2 捕獲作業等の実施結果

(1)
実施期間:平成25年4月1日~平成26年3月31日
(2)
実施区域:奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町
(3)
捕獲努力量・捕獲数等
表1
表2
表3
表4
図1
図2
図3
図4
図5
(4)
結果概説
わな設置地点と捕獲地点を図1に示した。
平成25年度防除事業において投入された捕獲努力量は、平成24年度よりも約10%増加し約248万わな日となり、過去最高値を記録した(表1、図2)。これは、平成24年度から新たに延長筒わなを導入しアマミトゲネズミ等の生息域において効率的な捕獲作業を進めることができたこと、また、平成25年度に奄美大島南西部へのわな設置が進んだことが大きい。
わなによるマングースの捕獲数は110頭で、平成24年度(捕獲数:179頭)よりも約39%減少し、過去最低値を記録した(表1、図2)。マングースの生息密度を相対的に反映すると考えられるCPUE(1,000わな日あたりのマングース捕獲数)は0.04で、平成24年度(CPUE:0.08)よりも44%程度減少し、防除事業開始以降減少を続け、防除事業を開始した平成17年度(CPUE:4.11)の1%程度になるまでに至った(表1)。
これまでの防除事業の成果により全島的な低密度化及び分布の断片化が一層進み、低く抑えられているマングースの生息密度が、さらに低下したものと考えられる
地域別にみると、奄美市名瀬地区(63頭)で最も捕獲数が多く、次いで大和村(31頭)、奄美市住用地区(16頭)、岩崎産業社有林(15頭)となった(表4)。平成24年度と比べていずれの地域でも捕獲数は減少し、宇検村及び瀬戸内町ではH25年度の捕獲数は0であった。
○ 
CPUEは、岩崎産業社有林(0.08)で最も高く、次いで奄美市住用地区(0.07)、大和村(0.06)となった(表4)。平成24年度と比べていずれの地域でもCPUEが減少した。これは捕獲数とほぼ同様の傾向である。
秋名・屋入エリアでは、7年にわたってわなによる捕獲がない状態が継続しているが、今後も継続的にモニタリングを実施し、根絶の成否を判断する。本茶峠エリアでも、平成23年度に6頭が捕獲されたのを最後に、マングースの捕獲は2年以上にわたって途絶えている(図1、3)。
戸口・鳩浜及び金作原エリアでは、マングースの捕獲ないし探索犬による探知地点が一定の範囲に集中する傾向が見られており、分布の断片化が進んでいると考えられる(図1、3)。
奄美大島南西部では、わなの設置が進められた事でこれまで最高の捕獲努力量の投入がなされたが、マングースの捕獲はなかった。また、自動撮影カメラ等によるマングースの確認事例もなく、南西部におけるマングースの生息密度は極めて低い可能性が高い事が示唆される(図1、3)。
探索犬がマングースを追い込み、ハンドラーが捕獲する方法で20頭を捕獲し、平成25年度のマングース捕獲数(130頭)全体の15%程度を占め、本事業における重要な捕獲ツールの一つに位置付けられるに至った。また、マングースの根絶確認作業の実施など多くの成果が得られた(図4、5)。平成25年度より新たな探索犬候補犬を4頭確保し、平成26年度も継続して訓練等を実施中である。
アマミトゲネズミ及びケナガネズミ等の在来種は、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されている。引き続き、両種の生息情報の収集等に努め、「第2期奄美大島におけるマングース防除実施計画」※に基づき、両種の生息に配慮したマングース防除事業の順応的な防除の実施を進めていく。
https://kyushu.env.go.jp/naha/wildlife/data/gairai/boujyo/130425b.html