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報道発表資料

那覇自然環境事務所報道発表資料>2009年度

【お知らせ】沖縄島北部地域におけるジャワマングース防除事業の平成20年度の実施結果と平成21年度の実施計画について

2009.06.25 那覇自然環境事務所

 環境省那覇自然環境事務所と沖縄県自然保護課は、連携協力して、沖縄島北部地域において外来生物法に基づくジャワマングース(以下「マングース」という。)防除事業を行っています。この事業は、平成26年度までに塩屋湾(大宜味村)と福地ダム(東村)を結ぶ線(以下「SFライン」という。)より北の地域からマングースを根絶することを目標としています。

(1)平成20年度事業の結果
 沖縄県は大宜味村、東村のSFライン以北で、環境省は国頭村の県道2号線以南で、それぞれ重点的に捕獲を実施し、合計565頭のマングースを捕獲しました。また、軽量小型で作業効率が高い捕殺式筒わなを新たに導入するとともにその改良を行い、試験としてSFライン以南(防除地域外)で捕獲を実施し、改良わなを開発しました。
(2)平成21年度事業の計画
 平成21年度は捕獲実施地域を北に拡大し、沖縄県はSFラインから県道2号線まで、環境省は県道2号線以北の地域で捕獲を行います。合計で120万わな日の達成を目標とし、マングースの生息数の低減と分布域の縮小を目指します。
また、捕獲をより効率的に行うことを目指して、マングース探索犬を導入し、マングースの分布状況の把握に努めます。

1.背景

 マングースは1910年に沖縄島の那覇郊外に持ち込まれた外来生物です。はじめは沖縄島南部に定着し、次第に分布域を北に拡大して、1990年代には塩屋湾(大宜味村)と福地ダム(東村)を結ぶ線(SFライン)より北へ侵入したようです。マングースの分布域拡大に伴い、ヤンバルクイナなどの希少種の分布域が縮小したり、生息数が減少していることが明らかになっています。
 このため、沖縄県は平成12年度より、環境省は平成13年度より、マングースの捕獲を行ってきました。平成17年度には、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づいて、10年間(平成26年度まで)でマングースをSFライン以北から根絶する防除実施計画を立て、現在、この計画に沿って環境省と沖縄県が連携して防除事業を実施しています。

2.平成20年度防除事業の結果

(1)実施期間

環境省 平成20年4月1日から平成21年3月31日まで
沖縄県 平成20年4月30日から平成21年3月31日まで

(2)事業実施区域

環境省 国頭村(主に県道2号線以南)
沖縄県 大宜味村、東村(SFライン以北)

(3)実施体制

 平成20年度当初は環境省11名、沖縄県12名の計23名で捕獲作業等を開始しました。8月には、やんばるマングースバスターズという専任の作業チームを結成し、9月には環境省が従事者を3名増員し、計26名の体制となって事業を進めました。

(4)捕獲結果

 平成20年度の環境省と沖縄県の合計の捕獲努力量(わな日数)は900,263わな日(沖縄県601,988わな日、環境省298,275わな日)、マングースの捕獲数は565頭(沖縄県490頭、環境省75頭)でした。
 なお、捕獲作業には、従来使用してきたカゴわなに加えて、平成20年8月から捕殺式筒わな(以下「筒わな」という。)を導入しました。あわせて、筒わなの混獲を回避しながらのマングース捕獲効率向上のための改良試験として、SFライン以南において2,000わな日の捕獲試験を行い、190頭のマングースを捕獲しました。
 SFライン以北でのマングース捕獲数は、平成15年度以降毎年500〜600頭で横ばいの状態ですが、捕獲努力量は増加しているので、捕獲効率は年々低くなってきています(図2)。しかし、マングースが捕獲される地域は縮小しておらず、20年度も県道2号線付近でマングースが捕獲されていることから(図3)、今後はより北の地域でも捕獲を実施するとともに、捕獲努力量も増加させる必要があります。
 マングースの他に、在来生物に悪影響を及ぼすおそれのある外来種としてクマネズミ1417頭、ノネコ12頭も捕獲されました。この他、カゴわなではオキナワトゲネズミ4頭、ケナガネズミ16頭、ヤンバルクイナ28羽、アカヒゲ179羽などが混獲されましたが、全て捕獲地点にて放逐されました。筒わなではケナガネズミ3頭、アカヒゲ2羽の混獲がありました。

 平成20年度のマングースの捕獲効率は減少していますが、筒わなを新たに導入したことによる影響も考えられ、マングースが減少したことを示しているのかは不明です。今後引き続き筒わなとカゴわなを併用していくことで、マングース個体数の動向がより明確になると考えられます。


3.平成21年度のマングース防除事業の実施計画

 平成21年度は、さらに大きな捕獲圧をかけることを中心に、以下の事業などを行う予定です。

(1)捕獲作業

 環境省は4月1日より、沖縄県は6月22日より捕獲作業を開始しています。環境省は県道2号線以北を事業区域とし、11名のバスターズで、沖縄県はSFライン以北から県道2号線までを事業区域とし、16名のバスターズで捕獲作業を実施しています。カゴわなと改良型筒わなを使い分け、あわせて120万わな日の捕獲作業を達成することを目標とします。

(2)マングース北上防止柵のモニタリング

 沖縄県は平成17・18年度にSFラインにおいてマングース北上防止柵を設置しました。その後センサーカメラの設置や、わなを高密度に配置した捕獲などによって、継続的に柵の効果をモニタリングしています。平成21年度も継続して実施します。

(3)在来種の回復状況調査

 マングース防除の進展につれて、在来種の分布域が回復することが期待されます。沖縄県では、昨年度から実施している希少種回復実態調査(主に鳥類と両生類を対象)を継続して実施します。また、バスターズらがマングース捕獲作業中に発見した在来種の情報などを継続して収集することで、現在の分布域を確認し、回復状況を評価していきます。

(4)探索犬の導入

 環境省では、今年度からマングースやその痕跡を探索することができるマングース探索犬(図7)を導入します。ハンドラー1名と探索犬1頭体制で主に林内で探索作業を実施します。探索犬を用いることで、マングースの分布状況を把握することができるようになり、捕獲作業と連携させることで効率のよい捕獲作業が実施できると期待されます。