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報道発表資料

那覇自然環境事務所報道発表資料>2007年度

【通知】平成18年度沖縄島北部地域におけるジャワマングース防除事業の捕獲結果と平成19年度事業計画

2007.05.21 那覇自然環境事務所

環境省那覇自然環境事務所では、沖縄県と連携、分担しながら、沖縄島北部地域においてマングースの捕獲作業を行っており、平成17年度から外来生物法に基づくマングースの防除事業を実施しています。平成18年度分の環境省事業分について、その成果を取りまとめましたので、お知らせします。

(1) 平成18年度事業の結果について
のべワナ日数:136,109 ワナ日、捕獲数:282頭
平成17年度に比べて捕獲地点の北上は見られないものの、当該地域におけるマングースの分布域北上と在来生物への影響が懸念され、県道2号線周辺での徹底した捕獲作業が必要となっています。
(2) 平成19年度事業の計画について
平成19年度は、沖縄県がマングース北上防止柵以北の大宜味村、東村で集中的に捕獲を行うこととし、これと連携して当事務所では国頭村域での捕獲を中心に展開し、北上の防止と押さえ込みに向けた事業を実施する予定です。

今後ともやんばる地域のマングース防除については環境省と沖縄県とが役割を分担しつつ、連携協力して事業を推進していきますので、皆様のご理解・ご協力をよろしくお願い致します。

1.背景

ジャワマングースは1910年に沖縄島の那覇郊外に持ち込まれた外来生物です。沖縄島南部に定着し、次第に生息数と分布域を拡大しながら北上し、1990年代には大宜味村塩谷と東村平良のくびれ以北のやんばる地域に侵入したようです。その後、さまざまな動物を捕食するなどして、ヤンバルクイナなど希少種の分布域や生息数の減少が明らかになっています。
沖縄県では平成12年度(2000年度)より、環境省では平成13年度より、駆除事業を行ってきました。平成17年度からは、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)に基づいて、10年間(平成26年度まで)でマングースをやんばる地域から根絶する防除実施計画を立てて、この計画に基づいて防除事業を実施しているところです。
沖縄県では、平成17〜18年度に塩屋−福地ライン(以下「SFライン」という。)においてマングース北上防止柵を設置しました。この防止柵以南の地域にはマングースが高密度に生息することが知られています。現在のやんばる地域での防除事業は、沖縄県が主に、この北上防止柵以北の大宜味村、東村地域(マングース中密度生息地)での捕獲作業を担当し、環境省では国頭村南部(マングース低密度生息地)及び県道2号線以北の国頭村北部(マングース超低密度生息地あるいは非定着地域)で捕獲作業を実施しているところです。

2.平成18年度防除事業の結果

(1) 事業実施区域

環境省の事業実施区域は、図1のとおりです。

(2) 事業内容及び捕獲結果

環境省で実施した事業全体の捕獲状況及び捕獲結果は、表1及び図2の通りで282頭のマングースを捕獲しました。なお、マングースの他に、在来生物に悪影響を及ぼすノネコ12頭も捕獲しました。

[1]国頭村におけるマングースの捕獲(5月〜3月)
沖縄県では、平成18年度までにSFラインにおいてマングース北上防止柵を設置し、マングースが高密度で生息するSFライン以南との分断化を行いました。沖縄県では中程度の密度で生息する、SFライン以北の大宜味村、東村を中心に捕獲事業を行っています。
環境省では、沖縄県事業の北側から県道2号線までの低密度ながらマングースが生息している地域を中心に、3班6名体制による「生けどりワナ」による捕獲を実施し、44頭のマングースを捕獲しました。このうち県道2号線以北では、平成16年度以前には2頭しか捕獲されていないものの、平成17年度に3頭が捕獲され、平成18年度には4頭が捕獲されました。
この4頭の捕獲場所は現在マングース分布域北限と考えている県道2号線沿いのもので、当該地域におけるマングースの分布拡大と、在来生物に対する影響が懸念され、継続的なモニタリングと、これ以上の北上を許さない県道2号線以南の対策強化が必要となっています。
[2]踏み板式ワナ等によるマングースの捕獲試験(7月〜10月)
従来の生けどりワナは、ワナの中のフックに吊したスルメなどのエサを引っ張ると入口が閉じるタイプのものです。一方、奄美大島でマングース捕獲に利用しているワナは、ワナ内の踏み板を踏むことで入口が閉じるタイプのワナです。これを含む4つのタイプのワナについて比較試験を実施しました。この結果、踏み板式のカゴワナの効率が有意に高く、小型・軽量であることなどから、今後同ワナの購入と林内での利用などについて検討していく予定です。
[3]グリッド状ワナ配置によるマングース生息密度調査(2月〜3月)
1km2ほどの一定面積にグリッド状に高密度にワナを設置し、マングースの除去と共に生息密度などもあわせて調査する調査地を、沖縄県と共同で4地域に設定し、マングースの生息密度調査を実施しました。
この結果、SFライン以南での調査地でのみ、密度推定ができる十分な数のマングースが捕獲でき、林内での生息密度は1km2当たり約26頭と推定されました。しかし、他の3地点では捕獲数が十分ではなく、密度推定ができませんでした。

3.平成19年度のマングース防除事業の計画

平成19年度は沖縄県と連携しながら、環境省ではさらに大きな捕獲圧をかけるべく、捕獲作業体制を見直し、以下の事業を行う予定です。

捕獲作業
  • 林道4班(1人/1班)・林内2班(2人/1班)体制での捕獲作業を基本とし、年間約25万ワナ日の捕獲作業を達成することを目標とします。捕獲は主に県道2号線以南の地域を中心に、マングースの中密度分布地域(SFライン以北の大宜味村、東村)から国頭村への侵入を防止するための捕獲作業を通年で行う計画です。
試験研究
  • 奄美大島のマングース対策で使用している捕殺式ワナについて、試験的導入により、その有効性と問題点について検討します。
  • 捕獲対象外の在来種の錯誤捕獲のさらなる軽減を図るため、ワナ入口への障害物の設置や、マングースに特化したエサの嗜好性の検討などの研究と実証試験に着手します。

添付資料

図1 平成18年度沖縄島北部地域マングース防除事業 実施区域 [PDF 36KB]
表1 平成18年度環境省マングース捕獲数 [PDF 40KB]
図2 平成18年度環境省マングース捕獲状況(4月〜3月) [PDF 29KB]
参考 平成18年度の環境省及びその他機関によるマングース捕獲数 [PDF 9KB]

連絡先

環境省 那覇自然環境事務所
所長 中島 慶二
担当 やんばる自然保護官事務所
自然保護官 福地 壮太
TEL:0980-50-1025 FAX:0980-50-1026