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報道発表資料

那覇自然環境事務所報道発表資料>2007年度

【通知】平成18年度奄美大島におけるジャワマングース防除事業の捕獲結果と平成19年度事業の実施計画

2007.05.07 那覇自然環境事務所

環境省那覇自然環境事務所では、奄美野生生物保護センターを拠点として、平成12年度から奄美大島においてジャワマングース駆除事業を行っており、平成17年度からは、外来生物法に基づくジャワマングース防除事業(以下「防除事業」という)を実施しています。

(1) 平成18年度防除事業の実施結果について
のべわな日数:1,051,026わな日
捕獲数:2,713頭

平成18年度は、奄美マングースバスターズ30名の作業などが奏功し、のべわな日数は大きく増加し、平成13年度についで多くの個体を捕獲しました。これにより、マングースの生息密度をかなり低下させることができたと考えられます。

(2) 平成19年度防除事業の実施計画について
平成19年度は、イタチわなによる他種の混獲回避のための改良を早期に進め、奄美マングースバスターズを30名から32名に増員し、林内での捕獲作業を充実させることにより、さらに高い捕獲圧をかけることで、マングースの生息数の一層の低減化と分布域の縮小を目指していきます。

1.平成18年度防除事業について

(1) 防除の体制等

[1]一般従事者による捕獲
平成17年度まで100名を超える一般従事者が登録して捕獲作業を実施していましたが、平成18年度からは4名の一般従事者のみに防除事業捕獲従事者証を発行しました。
一般従事者に対しては、生け捕り用のカゴわなを貸し出し、マングース1頭あたりの報奨金を5,000円としました。捕獲の証拠として捕獲したマングースの尾を提出してもらいました。
また、わな設置の日・場所・個数、捕獲した個体の数・性別について、捕獲作業記録を作成し、毎月末までの結果を翌月はじめに奄美野生生物保護センターへ報告することとしました。
なお、わな設置場所については全ての設置地点について、1/5,000地形図にわなの設置地点とその番号を記入する方法としました。
[2]奄美マングースバスターズによる捕獲
分布域の外縁部や林内などでの作業の充実のために、一般従事者とは別に平成17年度からは「奄美マングースバスターズ」と称する12名の作業チームを編成し、平成18年度末までに30名体制にして、捕殺式の「イタチわな」と生け捕り式の「カゴわな」による捕獲を行いました。
また、捕獲作業の際には、すべてのわなの設置地点をGPSで取得し、1個ずつのわなを管理する体制としました。

(2) 事業内容及び捕獲結果

[1]捕獲区域
奄美市名瀬を中心とする4市町村
[2]捕獲努力(わな日:のべわな日数=わなの数×日数)
平成18年度:1,051,026わな日
平成17年度: 630,822わな日
平成16年度: 318,715わな日
[3]マングース捕獲数
平成18年度:2,713頭
平成17年度:2,591頭
平成16年度:2,524頭
[4]結果概説
  • イタチわな数の増大と奄美マングースバスターズがマングース分布域の多くの地域をカバーするようになってきたことなどにより、平成18年度の捕獲のためののべわな日数は平成16年度に比べて、3倍を超える1,051,026わな日となりました。
  • 捕獲数はここ数年間、2,500頭台を推移していましたが、平成18年度には2,713頭と平成13年度以来の高い捕獲数を記録しました。平成17年度まで多くの一般従事者が作業をしていた奄美市名瀬の地域で多くの個体が残されていたものが捕獲され、記録的な捕獲数となったと考えられます。
  • 相対密度が低い周辺部の地域は拡大し、その分奄美市名瀬の高密度地域は縮小してマングース生息域の多くで密度の低下が見られました。
  • ここ数年間、マングースの分布域はほとんど拡大していないと考えられ、地域によっては数ヶ月間捕獲できない地域が出てくるなど、一部局地的な無捕獲地帯があるものの、わなによる排除はまだ完全ではなく、分布域を削減できたといえるような地域はありませんでした。

2.平成19年度マングース防除事業の実施計画について

(1) 事業の目標

捕獲圧をさら増大して、超低密度地域を維持・拡大するとともに、マングースの分布域を縮小させることを目標とします。

(2) 防除事業の実施内容

[1]奄美マングースバスターズによる捕獲
前年度の30名から32名に増員して、イタチわなの改良による他種の混獲回避の対応が済み次第、早期に再開する予定です。それまでは、生け捕りわなによる捕獲作業を進めることとします。
[2]一般従事者による捕獲
前年度同様3〜4名の小規模で実施することとし、講習等を行い、マングース防除事業捕獲従事者証を発行し次第、順次捕獲作業に着手します。
[3]奄美マングースバスターズによる在来種モニタリング
前年度から実施しているバスターズによるルリカケス、イシカワガエル、アマミノクロウサギなどの生息状況調査を今年度も継続するとともに、モニタリング対象種を増やしていきます。また、100台を越えるセンサーカメラによる在来種とマングースの生息確認調査も併せて実施する計画です。
[4]奄美大島の地域住民への普及啓発
マングース防除体制の進捗に関する説明を含め、奄美大島でのマングース防除事業の経緯と今後の展望について、地域住民に理解と協力を求めることを目的とした普及啓発活動を実施します。
[5]新たな防除方法の探索
年度内にもニュージーランドからマングース探索犬を導入し、奄美マングースバスターズによるトレーニング技術を習得しながらの訓練を開始すること等を検討しています。
[6]数理生態学的解析による駆除事業成果の検証と将来予測
これまでの防除事業における捕獲データを検証し、マングースの個体数変動過程について検証します。また、空間構造を考慮した個体群動態モデルを開発し、マングースの根絶過程の予測を行います。

添付資料

図1 平成18年度マングース捕獲数/図2 平成18年度わな日数 [PDF 308KB]
表1 月別のマングースの捕獲状況/表2 市町村別の捕獲状況/図3 市町村別のマングース捕獲割合(%) [PDF 12KB]

連絡先

環境省 那覇自然環境事務所
所長 中島 慶二

担当:奄美自然保護官事務所
自然保護官 たたら  雅哉まさや
電話:0997-55-8620
(奄美野生生物保護センター)