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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2020年9月30日

2件の記事があります。

2020年09月30日地域の希少植物を知ってもらうために~【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

 こんにちは、阿蘇地域では稲刈りや刈り干し切りなどが始まり、朝晩ひんやりして秋の風を感じます。夜はマツムシなど虫の合唱も聞こえてきます。

  さて、阿蘇地域には約1,600種類の植物が生育していると言われています。これは、熊本県内に分布する種の約2割にあたります。そのうち草原に生育するのが約600種類と言われています。しかし、環境の変化などで絶滅の危機にさらされている種もあります。種の保存法では、国内に生息・生育し、絶滅のおそれのある野生生物を「国内希少野生動植物種(以下、希少種)」に指定し、その採取・譲渡等を禁止しています。

 令和2年2月に、以前から希少種に指定されていた「ハナシノブ」に加え、阿蘇地域に生育する主な種として、以下の5種が指定されました。

※特定第一種国内希少野生動植物種とは

 国内希少野生動植物のうち、商業的に個体の繁殖をさせることが可能な種。

◆ タマボウキ (特定第一種) 

※写真のタマボウキはオス。オスメス両方が規制対象

◆ アソサイシン (特定第一種)

◆ ハナカズラ (特定第一種)

◆ ハナシノブ (特定第一種)

◆ ・ヒナヒゴタイ

地元の方に周知するために、この度、環境省でチラシを作成し、

阿蘇郡市内の全戸に、約22,000部を配布しました。

国内希少種チラシ(阿蘇地域)✔.pdf

私たちも見たことがない草花もあり、本当に希少だと改めて感じました。

この普及啓発が、生育地を守り、盗掘の防止などにつながることを、切に願っています。

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2020年09月30日駆除活動をするわけ 【くじゅう地域】

阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 神代拓馬

こんにちは。

今回は「ある植物」が環境省の所管地内に生えていることを今年初めて確認したため、駆除を行った話をします。

▼その植物があった場所です▼

事務所全員で早急に「その植物」の駆除に行きました。

その植物はこれです。

答えは、オオハンゴンソウです。

皆さんは、オオハンゴンソウという植物を知っていますか?

オオハンゴンソウは、7月~9月頃大きな黄色い花を咲かせます。

北アメリカ原産の植物で、外来生物法により特定外来生物に指定されています。

生命力は非常に強く、一株当たり1000個以上の種をつけ、主根が2グラム残るだけでそこから再生可能と言われています。

そのため、草刈り機での切り取りだけでは駆除は難しく、手作業でスコップなどでの抜き取り作業で根から取り除かなければなりません。

この時の作業では、約2300㎡の中に7本見つかりました。

少ない...と思われたかもしれません。

でも、たった7株のうちに対処した、ということが大切です。これを「初期防除」と言います。

ところで、今回用意した道具はこちらです。

抜根するためのスコップ、長靴、オオハンゴンソウをいれるためのゴミ袋などありますが...

何故、ざるとバケツがあるのか?それは後にお話しします。

タデ原周辺では、オオハンゴンソウ駆除活動が毎年行われています。

駆除したオオハンゴンソウを袋に入れる際は、花と根を切り取って袋に入れます。

▼今年行われたオオハンゴンソウ駆除活動▼

花摘み担当と抜根担当とに分かれて駆除を行います。

      8/9の駆除量               8/30の駆除量

皆さんの協力のおかげで8/9は17袋、8/30は13袋になりました。

帰る際は注意が必要です。

帰る前にしっかりと道具や長靴についた泥を洗い落とします。

この理由は、物に付いた種子や根を落とさずに歩き回ると、オオハンゴンソウが広がってしまう恐れがあるからです。

これが先程のざるとバケツの使い道になります。

タデ原はラムサール条約に登録されている世界的にも重要な湿地です。

しかし、このオオハンゴンソウが湿原の中に入ってしまうと、将来的に希少植物がいなくなり、オオハンゴンソウの花畑が広がってしまうかもしれません。

それを防ぐためにもこの活動は続けられています。

そのため、今まで報告がなかった所にオオハンゴンソウが咲いていたので、早急に駆除を行いました。

オオハンゴンソウの駆除では、駆除して減らすこと以外に、広げさせないことも重要です。

タデ原湿原、くじゅう地域の自然を残していくためにも、継続して活動を行っていこうと思います。

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