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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2016年1月29日

2件の記事があります。

2016年01月29日大寒波!サンゴの海からSOS?!【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

124日~25日は、全国的に大寒波が到来し、

雪かきなど、みなさま急遽対応されたのではないでしょうか。

 

亜熱帯性気候の石垣島にも大寒波、やってまいりました。

 

雪は降らなかったものの、冬でも晴れると夏日になってしまう石垣島が、

24日~25日は最低気温が10度を下回り、観測史上最低気温となりました。

 

めったに着ない冬物のコートを引っ張り出し、珍しく着込んだ2日間。

人間も急な対応が必要ですが、生き物たちはどうでしょう?

 

石垣島北部の海岸線には、魚、カニ、ナマコ、ケヤリムシ等、

様々な海の生き物が打ち上がっていました。

 

温かい海で住む生き物にとって、急激な水温低下には耐えられなかったようです。

 

▲打ち上げられた生き物たち

 

また、低海水温によるサンゴの白化がないか、米原海域公園地区の巡視もしてきました。

 

造礁性のサンゴが適している水温は、18度~30度ほどと言われており、

水温が高すぎても低すぎても生きていくことができません。

今回の寒波の日は、ちょうど大潮だったため、余計にサンゴの白化が心配されました。

 

地元で長くガイドをされている方のお話では、2009年にも同じような寒波が訪れ、

今回と同じように大潮と重なり、表層付近のサンゴの白化が確認されたそうです。

 

条件としてはかなり心配な状況でしたが、

結果として米原のサンゴは白化していませんでした。

一安心です。

 

ガイドの方が2009年に白化したサンゴを案内してくれました。

まるでベルトのように一直線に死んでしまっているサンゴの上から、

また新たなサンゴが成長しています。

 

2009年に白化したサンゴ

 

海中を泳いでいると、多くのサンゴが根元から折れていました。

また、海岸には大きな丸太が漂着し、かなりの強い波だった事が分かります。

しかし、逆に考えると、この強い波のお陰で海水が上手に混ざり、低海水温から免れたのかも知れません。

 

▲根元から折れたサンゴ

 

 

地形や風向き等によって、状況は変わってくるとは思いますが、

ひとまず石垣島北部の海岸線及び米原海岸における報告でした。

 

人間も大寒波で大変でしたが、生き物や自然にも目を向けてみると、新たな発見があるかも知れませんね。

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2016年01月29日野草堆肥にチューモク!! 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

今回は阿蘇の草原と野菜のオイシイはなしを紹介したいと思います。

 

阿蘇地域にある直売所には観光客だけでなく地元の方も地域の野菜などを求めてたくさんの方が訪れています。野菜売り場では、阿蘇の野菜はおいしいかよね!甘みが強かもん!丸々太っとる!などとオイシイほめ言葉が飛びかっています。嬉しいですね♪

 

その「おいしさ」にはヒミツがあったことが、この度、判明したのです!

それが『野草堆肥(やそうたいひ)』の存在です。阿蘇地域で農業に携わる方はご存じと思いますが・・・野草堆肥は、阿蘇の草原の野草(ススキなど)を原料として作られた堆肥のことで、阿蘇地域の農家の多くは昔から野菜づくりに使っています。

 

農家の方に野草堆肥のことを聞いてみると「野草堆肥ば使うと土がフカフカする」「根の張りが違う」「ミミズが増えるとばい」「化学肥料はいらん」と教えてくれます。経験的に野草堆肥の"なにか"を感じているのです。そして、この"なにか"を科学的に裏付ける研究結果が最近発表されました!!

野草堆肥をつくっている様子

 

どんな結果かというと、野草堆肥に大量の善玉菌(拮抗菌(きっこうきん))が含まれていることが判明し、土の中で病気を抑えたり、作物にとって重要なカリウムや窒素などの成分を土中に保つ働きがあるといいます。菌は2種みつかっていて、そのうちの1種は新種の可能性もあるようです!

やっぱり、オイシイことにはヒミツがあったんだ!農家の方の自信にもなります。

野草堆肥で育ったアイコトマト

 

阿蘇の草原の重要な管理として「草刈り(採草)」があります。刈った草は家畜のエサや畜舎の敷床、野草堆肥、古くは茅葺き屋根や燃料にも使われてきました。また、草を刈り短くすることで野焼きを安全に行うことにも繋がります。いきものにとっても、地表まで太陽が届くことでたくさんの草花が咲き誇り、チョウも舞う草原になります。

しかし、時代とともに草を刈る量(使う量)は減り、今では草は刈らずに野焼きのみしか行わない草原もたくさんあり、貴重な植物も減ってきています。

 

そんな中で「善玉菌」のニュースは、野草堆肥の再評価につながり、野草の利用促進が期待されます!

野菜だけでなく、お花や果樹の栽培にもイイそうです。農家さんの畑にはもちろん、家庭菜園にも!

土づくり、野菜づくりに興味のある方はぜひのぞいてみて下さい。↓↓

【野草堆肥利用マニュアル】http://aso-sougen.com/pamphlet/index.html

 

私自身、野草堆肥を使っている農家さんと関わることが多いので、この研究結果がなんと元旦の新聞1面に掲載されていたことには嬉しい驚きでした!

野草堆肥が広がる1年になると良いなと感じています☆

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