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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2015年8月17日

3件の記事があります。

2015年08月17日島民参加型 森のエビフライ&クロウサギのフン探し調査!【徳之島地域】

徳之島 アクティブレンジャー 吉野

みなさん、こんにちは!

徳之島自然保護官事務所アクティブレンジャーの吉野です。

8月9日に、岡山理科大学やNPO法人徳之島虹の会などと協力し『森のエビフライ、ウサギのフン探し』と題した島民参加型のアマミノクロウサギ、ケナガネズミ全島調査イベントを実施しました。"森のエビフライ"とは、ケナガネズミ等が食べた松の実の残りがエビフライに似ていることから付けられた愛称です。その森のエビフライやアマミノクロウサギのフンを探すことで生息状況を把握しようという、徳之島では初の島民参加型の調査です。

約100名の参加者の皆さんは、天城岳(標高533m)周辺の林道に10班に分かれて調査を行いました。

また、林道のゴミ拾いや外来植物アメリカハマグルマの駆除作業もあわせて実施しました。

↑開会式での集合写真

夏休み中ということもあって多くの子ども達も参加。

私の班には、島内の方だけでなく夏休みを利用し関西から親戚のいる徳之島に来ていた小学生の兄弟二人も参加。二人はエビフライやフン探しにもすぐに慣れて大人達をリード、見つけるたびに「あった!」と大きな声をあげて一生懸命フンをカウントしてくれました。

アマミノクロウサギが生息しているのは世界中で徳之島・奄美大島だけ、ケナガネズミは徳之島・奄美大島・沖縄島だけですので、本土では得られない貴重な経験になったのではないかと思います。夏休みのいい思い出になってくれていたら嬉しいです。

↑アマミノクロウサギのフンをカウント中

↑ガードレールの下にも発見!

↑回収した森のエビフライ

今回の島民参加調査で、森のエビフライは約50箇所で発見、アマミノクロウサギのフンはなんと約14,000個もカウントされました。半日という短い時間でしたが、100名で調査するととても大きな成果になりました。

徳之島の方々でも、アマミノクロウサギやケナガネズミなどを見たことがあるという方はとても少なく、なかなか身近に感じる機会はありません。今回は、そのような方々にも徳之島の自然の素晴らしさを実感し、森の生き物たちを身近に感じてもらえたイベントになったのではないかと思います。

参加された皆さん、暑い中ほんとうにありがとうございました!

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2015年08月17日登山者の遭難防止に!インターネット版登山ルートマップの運用が始まりました。 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

長梅雨がやっと明けたら、すぐ立秋になり雲海が見られるなど、清涼感を感じる風景に変化しています。朝晩は涼みやすく時折肌寒くも感じます。お盆期間中も多くの観光客の方がお見えになり、観光地も賑わっていたようです。

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さて、阿蘇山遭難防止対策協議会が取り組んでいる毎年恒例の登山ルート『烏帽子岳・杵島岳ルート』の点検に参加しました。併せて、7月31日からスマートフォンの衛星利用測位システム(GPS)機能を利用した登山遭難防止対策の運用が始まり、その試験も行いました。

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阿蘇山で遭難した場合を想定し、熊本県のホームページ(QRコードからもアクセス可)【阿蘇山登山情報】【現在地通報システム】に入って、空メールを送ると現在の位置情報などが県警に届くようになります。

また、【登山ルートマップ】に入ると地図上で現在地が確認でき、ルートから外れていないか確認することもできます。

しかし、濃霧や雨が降るなどの悪天候時や電波の状態によっては誤差が発生することもあります。

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試験中も、場所によっては繫がらなかったり、正確な位置が確定できなかったりしました。操作も慣れていない私にはちょっと難しく、送信までできませんでした。全国初のシステムなので、正確に運用できるように、これから不具合や課題を改善していくとのことです。

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それから、スマートフォンを利用して「登山届け」も提出できるようになりました。事前に届けを出すことができ、気軽に利用できる手軽さがいいと思います。

また、『登山届け記帳所』が、烏帽子岳・杵島岳の登山口に設置され、登山届けを提出してもらえるよう、新しいシステムの紹介と裏面には登山届けがついたチラシも作成し、記帳所に置いてあるので、登山の際には必要事項ご記入の上投函ください。

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登りやすいと言われている阿蘇山でも遭難事故は発生していますので、これくらい大丈夫と思わずにぜひ活用して、事故を未然に防ぐことにご協力お願いします。その他、気象情報や火山ガス、火山灰などの火山情報なども事前に確認して、気持ちよい登山をお楽しみください。

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2015年08月17日草原の『歴史書』、後世に引き継いでいくために・・【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

まだまだ暑いっ!と感じつつ立秋を迎えたその2日後、雲海が現れました。阿蘇では晩夏から秋にかけて雲海が見られることが多く、残暑が厳しい時期ですが季節は確実に移り変わっていることを感じます。

8/10大観峰にて。ツーリング客も小休止

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さて、今回は阿蘇草原再生に関係した業務を紹介します。

阿蘇地域の草原は面的に広ーく連なっていますが、実は160ほどの「牧野組合」がそれぞれに維持管理作業や放牧を行っています。牧野組合はおおよそ集落単位で分かれ、畜産業に関わる農家で構成されています。例えば、「町古閑牧野」「黒川牧野」「上田尻牧野」・・・のようにそれぞれに名称も異なります。

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環境省では、各牧野の野草地の現状、動植物・昆虫の生息状況、過去から現在に至る牧野の利用・管理状況の変化、牧野内の地名やその由来等を調査し、牧野維持管理の課題を整理した上で、草原環境保全の方針や保全計画を策定する「野草地環境保全計画策定検討業務」(通称、【牧野カルテ】)を平成17年度から毎年3牧野程度ずつ実施しています。

牧野毎に約6回の検討会やヒアリング、2回の現地調査を実施しますが、各回毎に牧野組合の方にも集まっていただき、地元と調査の専門家などと一緒に作り上げていきます。

ヒアリングや検討会では、昔の牧野の様子に詳しい長老などから地名、放牧状況、管理作業等について聞き取りをしますが、その内容に付随した"昔話"がとても勉強になるなぁと思って聞いています。地名も谷や崖、斜面など一つ一つに細かく名称があり、多いところでは数十もの地名があることも。

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現地調査では、実際の地形を見ながら地名や利用状況の確認とともに、動植物の専門家による調査も入ります。この場にも組合の方に同行していただき確認していきます。

現地ではさらにいろいろなお話しが聞けて、「昔はあぎゃんところ(あんな遠く)まで歩いて水汲みに行きよった」「毎年ここで山の神さん(牛馬の安全祈願)ばするもんなぁ」「わっか頃(若い頃)この土塁ばおおごつ(苦労して)して作った」「稲手(いなで)の作り方ば教えよか」「こん(この)草はうまかもんなぁ」など苦労話や草のワザ等について教えてくれます。

*いなで・・ヒモではなく稲やカヤの茎を利用して草を束ねる技術。

 

山菜やカヤの扱いについて教えてくれた牧野の方

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また、放牧や野焼きをするにあたり、作業道の確保や野焼きの障害となる小規模樹林の伐採など、作業負担を軽減できるような要望も聞き保全計画としてまとめます。

※牧野カルテ作成の次年度以降、保全計画の中から優先度の高い事業について整備を行っていきます。

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牧野組合員が高齢化する中、細かい地名や過去の牧野の状況、動植物について、若手組合員に引き継がれることが困難になっている現状があり、牧野カルテは牧野組合の『歴史書』としての意味合いもあります。牧野毎に歴史があり文化も少しずつ異なります、牧野のおじさん達の昔話とともに牧野カルテも代々引き継がれていくといいなと感じます。

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