2015年6月10日
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2015年06月10日「国頭村奥区での鯉のぼり祭りと、ロードキル防止キャンペーン」
やんばる 藤田雄
みなさん、はじみてぃうがなびら(はじめまして)。
今年の4月からやんばる野生生物保護センターでヤンバルクイナの保護増殖事業を担当しています、藤田雄です。
ご挨拶が遅くなりましたが、今後ともよろしくお願いいたします。
早速ですが、やんばるには数多くの固有種......ここにしかいない生き物が住んでいることは、皆様ご存じのことと思います。私が担当するヤンバルクイナもその一種で、本日お伝えしたいのは、それらの生き物が、しばしば交通事故(ロードキル)に遭っているということです。
道路を移動するヤンバルクイナ
ヤンバルクイナについては5,6月には特に事故が多くなる傾向があるのですが、これは今がヤンバルクイナの繁殖期、つまり子育てのシーズンだからです。道路上に餌を採りにやってきて、車にぶつかることも多くなってしまうのです。
そのため、環境省では毎年ロードキル防止を訴えるキャンペーンを開催しています。今年は国頭村の奥区で行われた「奥ヤンバル鯉のぼり祭り」で、ロードキルについてのパネル展示やクリアファイルの配布などを行いました。反響は大きく、多くの来場者が興味を持って下さいました。何より活躍してくれたのはヤンバルクイナの「クイちゃん」です。
鯉のぼり祭りに参加したクイちゃん
クイちゃんはこのお祭りのためにやんばるの山から降りてきてくれ、3日間、舞台に上がってはお客さんに手を振って挨拶したり、自然保護官の話に相づちを打ったりと、アガチャー(ヤンバルクイナの別名。働き者、もしくは慌てん坊という意味)らしくせわしなく動き回っていました。
クイちゃんのかわいらしさのパワーか、今年のGWではなんと1件の事故も発生しませんでした。山に帰ったクイちゃんも、きっと喜んでいることでしょう。
しかし、残念なこともあります。GWでは1件の事故も発生しなかったのですが、5月の後半は事故が頻発していました。
5月を通して見ると16件のヤンバルクイナの死体が回収されました。
まだ原因が交通事故かどうか断定できない現段階でも、今年は15件の交通事故が確認されています。これではクイちゃんも悲しんでしまいます。
6月に入り、ヤンバルクイナのヒナも道路に出てくるようになります。やんばるの道を運転する際は気をつけて走行して下さい。特に国道58号線、県道2号線、70号線でヤンバルクイナの交通事故が増えています。また、昨年は東村でも初めて事故が確認されました。これまで事故が無かった地域でも、事故が発生する可能性がありますので十分注意をお願いします。
皆様、子供のために餌を集めるヤンバルクイナの親や可愛いヒナたちを、どうかそっと見守ってあげてください。よんな~(ゆっくり)安全運転でお願い致します。
それでは、やんばるから藤田でした。
2015年06月10日「ウミガメ研究の最前線」実施報告【徳之島地域】
徳之島 アクティブレンジャー 吉野
みなさん、こんにちは!
徳之島自然保護官事務所アクティブレンジャーの吉野です。
今回は「ウミガメ研究の最前線」と題して実施しましたウミガメの勉強会&観察会の報告をいたします。
奄美・琉球世界自然遺産の候補地となっている徳之島では、アマミノクロウサギなどの山の生き物にスポットライトが当たりがちですが、実は海の生き物もとても魅力的なのです!
そんな徳之島の海の生き物の代表は、なんといってもウミガメです!!
昨年は徳之島全域で約50回の上陸(徳之島ウミガメネットワーク調べ)が確認されました。
そんなウミガメをより身近に感じてもらおうと、今回は沖縄の最前線で研究に携わっている水産総合研究センター西海区水産研究所の奥山先生を講師にお招きし、ウミガメの生態や近年の研究結果などを講演していただきました。
はじめに徳之島ウミガメネットワークの池村さんより、徳之島でのウミガメの調査や保護の取り組みについてお話いただきました。
徳之島では5月上旬からウミガメの産卵上陸がはじまっていますが「上陸数が少なかった昨年に続き、今年も今のところ上陸数が伸び悩んでいる」との報告がありました。正確な上陸数把握のためにも地域の方々に上陸調査の協力や保護を呼びかけていました。
つづいて奥山先生からウミガメの生態や研究結果についてのお話がありました。
奥山先生は生物に小型のカメラやセンサーを取り付けて行動や生態を調査するバイオロギングという手法を用いてウミガメの研究をされています。
ウミガメの甲羅に取り付けられた小型カメラの映像は、まるで自分がウミガメになったかのような視点でとても興味深く、会場の注目を浴びていました。
奥山先生は「ウミガメにとって徳之島は、付近を黒潮という大海流が流れていて仔ガメの生存に適している。結果、多くの徳之島産のウミガメが生き残り産卵のために帰ってくる。産卵可能な海浜を維持していくことはとても重要」とおっしゃっていました。
講演後は島内でも屈指の上陸スポットである、会場近くの面縄海岸へ移動し、ウミガメ観察会を行いました。
残念ながら上陸を見ることはできませんでしたが、数日前に上陸していたアカウミガメの足跡を観察することができました。
ウミガメの観察を行う際には、光に敏感なカメに刺激を与えないよう赤いライトを用いることなど、ウミガメ観察の際の注意点やマナーなどもみんなで勉強しました。
命がけで海を渡り、生まれ故郷徳之島に帰ってくるウミガメたち。
そんなウミガメたちがいつでも帰ってこられるよう、美しい海と砂浜を守っていくことがわたしたち島に住む人々にとってとても大事なことであると改めて実感した勉強会でした。
私自身も今夏は、ウミガメ調査やビーチクリーンなど海浜での活動をもっと充実させていこうと思います!
2015年06月10日見つけた与那国島の生き物【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本
5月25日~26日の1泊2日で鳥獣保護区の制札を設置するために与那国島へ行ってきました。沖縄地域は梅雨に入っているため、当日の際も与那国島は曇りで、やや雨の降る天気でした。
鳥獣保護区に新たに設置した制札
与那国島は日本最西端の島です。快晴で空気が澄んだ日には西海岸から台湾の山々を望むことができますが、今回はあいにくの天気でしたので展望することができず残念でした。国境がすぐ近くにあると思うと不思議な感じがします。与那国島には、国内希少野生動植物種に指定されているヨナグニカラスバトやキンバトなどの希少な鳥類が生息しています。鳥類を保全していくために約1,040haの地域が国指定与那国鳥獣保護区に指定され、約63haが特別保護地区となっており、大規模な開発などが規制され、希少鳥類が生息しやすい環境が維持されています。
今回は、台風等で倒れ、撤去されたままだった鳥獣保護区の境界線に新たに制札を取り付けました。沖縄地域は台風が直撃することもあるため、台風後は制札の看板が飛ばされ、支柱だけ残されている被害も多くあり、定期的な巡視は欠かせません。
ナンバンギセル
与那国の林道を走っていると、ナンバンギセルという植物を発見しました。ナンバンギセルは日本各地で生息している植物で、絶滅危惧種に指定されている県もあります。開花は夏から秋にかけて見られ、自ら光合成をすることができないため、他の植物に寄生して養分を得ながら成長し、主にイネ科の植物に寄生する寄生植物です。名前の由来は、その名の通り、むかし、南蛮人がくわえていたパイプに似ていたことから「ナンバンギセル」と名付けられたようです。
上の写真をご覧ください。少しインパクトがありますが、この大きな幼虫も与那国島の生き物です。何の幼虫かわかりますか?
正解は・・・ヨナグニサンの幼虫です。
日本最大の蛾として知られ、沖縄県の天然記念物に指定されているヨナグニサンの幼虫。ヨナグニサンは、与那国島の方言で「アヤミハビル」と呼ばれ、「模様のある蝶」という意味があります。むかしは、標本用に乱獲される等、生息数が危機的な状況まで減少しましたが、現在では、地元の皆さんの保護活動のおかげで、たいぶ生息数が増えてきているようです。5・6月はヨナグニサンの幼虫の時期で、最初に幼虫を見た際は、すごく大きくて、驚きました。ぜひ、与那国島にお越しの際は、観察して頂きたい生き物の1つです。
2015年06月10日西表島干潟観察会【西表地域】
西表石垣国立公園 西表 関東準之助
みなさま こんにちは。
5月31日に西表島干潟観察会~民謡のカニ「やぐじゃーま」へ会いに行こう~を開催しました。西表島の古見集落には「やくじゃーま節」という民謡が伝わっており、歌詞には数種類のカニが登場します。今回はこのカニたちを見に行く観察会です。
まずは、事前学習として八重山に伝わる民謡「やぐじゃーま節」を聞きました。この民謡は制作当時の人たちの苦しい生活を干潟にすむカニになぞらえて歌っているものです。八重山に伝わっている歌と西表島古見集落に伝わる「やくじゃーま節」とは少し歌詞が違っています。
次に干潟へ移動して、実際にカニやその他の生き物を探しました。少し歩けば、いろいろな生き物が見つかるため、なかなか前に進みません。それでは、発見したカニをいくつか紹介します。
カノコセビロガニ(背面と腹面)
よく似たカニでも種類が違います。(左:ミナミアシハラガニ・右:フジテガニ)
シオマネキの仲間も4種いました。(左:オキナワハクセンシオマネキ・右:ヒメシオマネキ)
写真で紹介したほかにもミナミコメツキガニの集団、ミナミトビハゼやシレナシジミなどさまざな生き物を観察することができました。
いよいよ、今回の目玉「やぐじゃーま」の生息地に到着しました。日中は岩の下などに隠れているため、これをひっくり返して探します。大きな岩をひっくり返しながら10匹以上を確認しました。
これが、やぐじゃーま(クマドリオウギガニ)です。クマドリオウギガニは、肉食性でほかのカニを襲って食べます。周囲の環境を見てみるとマングローブの落ち葉が堆積しており、これを食べる小型のカニが何種類も居ました。
やぐじゃーまの威嚇のスタイルは、歌舞伎役者のよう。でも、カニの威嚇スタイルってみんなこんな感じだったような気が・・・・。メスのおなかには卵も。満月が近かったので、ほかの種類のカニたちも同じように卵を抱えていました。
梅雨時期でしたが、よい天気に恵まれました。(翌日の西表は豪雨でした)
2015年06月10日ツシマヤマネコ野生順化ステーションNews!
対馬 アクティブレンジャー 山口(貴)
ヤマツシマヤマネコが野生に帰るための訓練において、重要となるものの1つは餌です。
そこで、順化ステーションにヤマネコの餌となるネズミなどの生き物を
呼びよせるため、順化ケージ内にお米の苗を植えました。
地元の方に苗をわけていただき、土の準備から植え方まで
丁寧に教えていただきました。本当に感謝です!!
順化ケージの中の池ではアカガエルがたくさん孵って、たくさん泳いでいます。
そのカエルを食べにオシドリなどもやってきています。
順化ケージの中に生き物が着実に増えてきています!
今後も移り変わる順化ケージの様子をお伝えしていきたいと思います(^^)
はいたい!(こんにちは!)
梅雨の中休み?慶良間は真夏のようなお天気に恵まれています。
6月の慶良間の島々に咲く花々を紹介します。
☆ハマゴウ☆ クマツヅラ科
方言で「ホーガーギー」
砂浜に生える落葉小低木。本州・四国・九州からアジア東南部から南大西洋、オーストラリアにも分布している。夏に美しい花を咲かせる。果皮がコルク質で、海流に運ばれて分布する。慶良間ではビーチで見ることが出来る。
果実を陰干しにして乾燥させたものは生薬(しょうやく)で、蔓荊子(まんけいし)といい、漢方では滋養強壮、解熱、消炎などの目的で用いられる。
☆クサトベラ☆ クサトベラ科
方言で「スーキ」「ギシギシバ」
海岸の砂浜や隆起珊瑚礁上に生える常緑低木。
日本では薩南諸島以南の南西諸島・小笠原諸島に分布する。
ハワイには海に咲くこの花はビーチ・ナウパカと呼ばれ、花弁が下半分しかなく、同様に花弁が半分しかないマウンテン・ナウパカの花と合わせてはじめて完全な花になるという伝説があり、これは、恋人のいる若者に恋をした火の神ペレがその想いを果たせず、嫉妬して二人を引き裂いてしまったというお話。
慶良間では道沿いに多く見る事が出来る。
グンバイヒルガオ☆ ヒルガオ科
方言で「アミフィーバナ」「ハマカンダー」
日本では鹿児島県から沖縄県の海岸と、大分県佐伯市の海岸に生育する。それ以北の日本には分布しない。この種はハマヒルガオとは異なりサツマイモ属に含まれ、アリモドキゾウムシの宿主植物となることから、四国・本州以北への植物体の持ち込みは検疫によって禁止されている。
慶良間ではビーチに生えています。踏みつけたり、引き抜いたりしないで下さいね。