ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2015年5月19日

4件の記事があります。

2015年05月19日2015年、愛鳥週間企画【西表地域】

西表石垣国立公園 西表 アクティブレンジャー 日名

5月10日から愛鳥週間がはじまりました。

愛鳥週間にあわせて、西表野生生物保護センターでは、特別展を開催しています。

【動画の上映】

「西表島の野生動物救護」と題しまして

・センター作成救護bookの展示、

・救護や世話を職員目線で撮影した動画、採餌や放鳥時の様子の動画を上映、

・間近でじっくり観察できる剥製と頭骨の展示、

・羽標本の展示、

などなど、規模は小さいですが西表島の傷病救護について展示しています。

【アカショウビン採餌】

なかでも特にオススメなのが、動画の上映です。

普段、職員がどのように傷病鳥獣を世話しているのかがわかります。

床敷きを交換、注射、強制給餌などなど、生き物の世話って大変なんです。

【ツミの採餌】

また、アカショウビンが魚を食べるときに、床に魚を打ち付けている様子は興味深いですし、オオコウモリやツミの採餌はかわいいです。

【ツミの放鳥】

放鳥の様子を見てもらえると、感動的なことは全くなく、あっさり飛び立っていくのがわかります。

お時間があれば、足を止めてぜひご覧ください。

【剥製と頭骨の展示】

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2015年05月19日祝!阿蘇草原保全活動センターオープン! =Vol.1施設紹介=

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 藤田

阿蘇の草原を知り、学ぶことができ、草原をめぐる様々な活動の拠点として、【阿蘇草原保全活動センター】が阿蘇市小里に先月オープンしました。


                     施設全体像


阿蘇地域では平成17年度から、関係機関、団体が連携して草原の維持・再生に取り組んできました。「阿蘇草原保全活動センター」を拠点施設とすることで、一般利用者に対する阿蘇草原保全・再生の普及啓発、熊本県内・阿蘇郡市内の子ども達への草原環境学習がますます推進されることを目的としています。

阿蘇草原保全活動センターは、二つの施設から構成され、「草原学習館」は、環境省が設置し、草原保全・再生・学習の機能を、「草原情報館」は阿蘇市が設置し、総合窓口として草原・観光に関する情報発信のワンストップサービスや、野焼きボランティアなどの草原保全活動や草原の利活用について繋ぐ機能を担います。


学ぶ : 阿蘇の草原を学ぼう!

「草原学習館」は、阿蘇の草原について知り、学ぶことができ、地域の子どもたちの学校教育や研修旅行などにもご利用いただけます。学習プログラムづくりの相談にも応じます。展示は、草原と水との関わりを表したジオラマや、生後まもない子牛を忠実に再現したぬいぐるみ、阿蘇の草原の成り立ちや恵み、草原を守る取り組みなどを紹介しています。

 その他にも、多目的会議室などがあり、間仕切りを外すと70~80名の収容ができ、今年の野焼き支援ボランティアの養成講座や研修会などが開かれました。


        木の香りのする広々とした館内   生後2ヶ月頃のあか牛のぬいぐるみ

楽しむ : 草原を楽しもう!

 「草原情報館」にある総合窓口では、阿蘇を訪れる観光客や地元の方々に、草原とのふれあいや農家との交流を楽しんでいただくためのサービスを提供します。

例えば、阿蘇の草原を歩くトレッキングなどの体験ができるよう適切な場所や施設、ツアー案内人などの紹介や斡旋をします。

また、情報コーナーでは、小グループの打合せや活動のPRなどにも活用いただけます。

                施設周辺での草原トレッキングの様子


守る : 草原を守る活動に参加しよう!

 人手不足で手伝いを必要とする牧野組合と草原保全の活動をしたい人々とをつなぐ役割として、野焼き支援ボランティアなどの草原保全・再生のための活動の拠点として、ボランティアの参加や受入れの相談にも応じます。

屋外の芝生広場にて、火消し棒づくりや輪地切り支援活動の講習会などが行われます。

また、草原の四季と人との営みに合わせて、年間の活動や取り組みが予定されています。


          屋外での火消し棒づくり       野焼きボランティアに参加


開館時間:9:00~17:00

休館日 :なし(年末年始を除く)

入館料 :無料

駐車場 :乗用車105台、バス4台

駐輪場 :10台

総合窓口:0967-32-0100

ここで草原のプチ情報を仕入れて草原に出かけてみてください。きっと、草原が違って見えることでしょう!

次回は、オープン式典についてご報告します。

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2015年05月19日お隣の島、口永良部島へ【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 菊地

先月の16,17日に口永良部島へ巡視に行ってきました。

口永良部島は平成19年に全域が屋久島国立公園(当時は霧島屋久国立公園)に指定され、屋久島からのフェリーが1日1往復しています。

マグマが冷え固まった花崗岩が隆起してできた屋久島とは違い、口永良部島は10の火山体が集合してできた島と言われています。

そのうちの1つ新岳が去年の8月3日に噴火してからおよそ8ヶ月、いまだ噴火警戒レベルは3のまま、今年に入ってからも二酸化硫黄の放出量は増加傾向にあります。

6、7月にはマルバサツキでピンク色に染まる山頂付近は、遠目から見ても枯れているのが分かるぐらい茶色に染まっていました。

山頂部だけでなく、風の弱い日には火山ガスがじわりと麓まで下がってきて、農作物が焼けてしまうといった被害も出ています。

新岳火口から約2kmの立ち入り禁止は継続中ですが、山以外にも沢山魅力がある口永良部島について今回ご紹介します。

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詳しい口永良部島の火山情報については、下記のHPをご覧下さい。

○気象庁HP【新岳の火山情報】

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/509.html

▲屋久島から見た口永良部島           ▲噴煙と茶色く染まった山肌
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まずは、黒潮に囲まれた豊かな海。

口永良部島の海岸はほとんどが自然海岸のまま残されており、暖流である黒潮の影響で熱帯のサンゴや魚も生息する多様性の高い海が広がっています。

これからの時期はウミガメが産卵に来ることもあるので、シュノーケリングやダイビングで海中を泳ぐウミガメを見ることができるかもしれません。

また、民宿の夕食では島ならではの新鮮な海の幸を味わえることでしょう。

▲豊かできれいな海               ▲海の幸
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そして、島だからこその珍しい生物との出会いです。

ウミガメもそうですが、口永良部島を代表する生物といえばエラブオオコウモリです。

口永良部島とトカラ列島のみに生息するエラブオオコウモリは、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に選定されており、国指定の天然記念物です。

日没後1時間ほどが観察しやすいそうですが、この日は運良く昼間に発見し、アコウの実を食べる姿を観察することができました。

観察しているとエラブオオコウモリが口から何かをペッと吐き出していました。

オオコウモリの仲間は果実の液体分だけを飲み込んだ後、種や皮などの繊維分は吐き出します。

この吐き出したものをペリットといい、アコウの木の下には沢山のペリットが落ちていました。

器用に木を登る様子はまるでサル、鼻先が長い顔はまるでイヌのようで、行動をじっくり観察するととても面白い生物です。

▲様子を伺うエラブオオコウモリ         ▲ペリットとアコウの実
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口永良部島の自然を満喫した後は温泉で疲れを癒やしましょう。

本村温泉、西之湯、寝待温泉、湯向温泉の4つの温泉があり、どれも個性的で素晴らしく、全ての温泉に入ってみたくなります。

火山島だからこその自然の恵みをぜひ感じてみてください。

▲目の前に海がある西之湯            ▲湯の花が浮く湯向温泉
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豊かな自然と珍しい生物が見られる口永良部島ですが、小さな島の生態系は微妙なバランスで成り立っており、開発や乱獲、他地域からの生物の侵入などで簡単に破壊されてしまう危険性もあります。

なかでも、必要以上の捕獲や採取は生物を絶滅まで追い込む原因の一つであり、島の生態系に大きなダメージを与えます。

また、国立公園内では動植物の捕獲、採取、工作物の新築などの行為が自然公園法により規制されています。

珍しい動植物を見つけても捕獲、採取するのではなく、観察に留めるようにお願いします。

▲島内各所に掲示している捕獲採取規制ポスター

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2015年05月19日自然に親しむ集い「オオキンケイギクの除去」を実施しました!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

5月10日に自然に親しむ集い「特定外来生物を知ろう!~オオキンケイギクの除去~」を実施しました。

 

みなさんはオオキンケイギクをご存知ですか?

5月~7月頃にかけて日本各地の道端や河原に鮮やかな黄色のコスモスに似た花を咲かせるキク科の多年草です。北米原産で、寒さや暑さに強く、かつて法面緑化用、観賞用として国内に導入されました。

鹿児島県では「特攻花」とも呼ばれ、昔から県民に親しまれていたようです。

 

屋久島の道路脇に咲くオオキンケイギク

屋久島の道路脇に咲くオオキンケイギク。

 

しかし、あまりの強靱さのために、いったん定着すると、もともといた野草の生育場所を奪い、周りの景観を一変させてしまう性質をもっています。

そして、これ以上人の手で拡げないよう、平成18年に外来生物法に基づく【特定外来生物】に指定されました。

 

【特定外来生物】とは...

外来生物法により、生態系などに被害を及ぼすものとして指定された生物。

植物13種、動物 100種が指定されています(2015年3月現在)。

飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことなどが原則禁止されており、違反すると罰則があります。

 

そこで今回は、オオキンケイギクを通して外来生物について知ってもらおうと、島民の方々とオオキンケイギクの除去活動を実施しました!

屋久島国立公園パークボランティアのみなさんの協力参加もあり、総勢40名ほどで、屋久島でも特にオオキンケイギクの生育が目立つ小瀬田集落周辺を除去しました。

 

オオキンケイギクを抜く参加者

オオキンケイギクを抜く参加者。

 

集落内と県道沿いのオオキンケイギクを除去する参加者

集落内や県道沿いなど、2時間除去作業を行いました。

 

オオキンケイギクの除去前と除去後の様子

写真を見て分かるとおり、いったん定着すると辺り一面を占有してしまうほどの繁殖力です。

 

外来生物が引き起こす問題は、「生態系への影響」だけではありません。

毒を持っている外来生物にかまれる、刺されるといった「人の生命・身体への影響」。

畑を荒らしたり、漁業の対象となる生き物を食べたり危害を加えるといった「農林水産業への影響」。

このように、外来生物の問題は、私たちの日常生活に密着した問題です。

 

しかし、このような問題が起きるのは、外来生物が悪いからではありません。

彼らは本来の生息地があって、そこではごく普通に生活していた生き物たちです。

日本に来たくて来たわけではないのに、人間の都合で持ち込まれたために問題を引き起こし、場合によっては駆除されなければなりません。

 

このような外来生物問題をこれ以上引き起こさないためには、一人一人の理解と協力が必要です。下記の三原則を心にとめておきましょう!!

 

【外来生物被害予防三原則】

①入れない(悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない)

②捨てない(飼っている外来生物を野外に捨てない)

③拡げない(野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない)

 

作業後の集合写真

今回の活動で、軽トラの荷台2台分、総重量400㎏のオオキンケイギクを除去しました!!

 

しかし、これはほんの一部で、屋久島にはまだまだたくさん生育しています。

そして、綺麗でかわいらしい花であること、自分たちの暮らしにまだ直接的な影響が出ていないことから、「なんで引っこ抜いちゃうの?」と言う島民の方も多いです。

 

外来生物について知ってもらい、地域の将来のために必要な活動なんだと住民の方に理解・納得してもらえるように、今後もこうした活動を続けることが大事だなと感じる一日でした。

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