九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
1件の記事があります。
みなさん、こんにちは!
屋久島アクティブレンジャーの菊地です。
あっという間に1年間が過ぎ、今年度から2年目になります。
世界自然遺産である屋久島の自然を守る一員として仕事ができることに誇りを持って、2年目もよりいっそう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
.
さて、みなさんは日本全国で何種類の生物がみられるかご存じですか?
その数、9万種類以上の生物が確認されており、まだ名前のついていない生物や未知の新種を含めると30万種を超えると推定されています。
私たちが住んでいる九州地方にも沢山の種類の生物がみられ、日頃よく目にする生物から、特定の環境や地域でしかみられない生物まで様々です。
それぞれの生物について詳しく調べてみると、地域毎に呼び名が違ったり、人間の生活と深い関わりがあったりと、新たな発見や生物をとおして地域の魅力や暮らしが見えてくるかもしれません。
そこで今年度、九州いきものリレーと題して、九州地方に勤務する10人のアクティブレンジャーが各地域でみられる生物を毎月リレー形式でご紹介します。
第1回となる今回、ご紹介する生物はこちらです!
イボアナゴ【ミミガイ科 分布:伊豆大島、紀伊半島以南】
▲殻には5、6個の穴があり、内側は真珠のように美しい
アワビを小さくしたような巻貝で、大きな足で岩の穴にくっついて生息しています。
主に海藻を食べ、食事の時にだけ穴の中から出てきて、食事が終わればまた元の穴に戻っていきます。
▲夜に活動することが多い ▲顔には少し愛嬌があり、きもかわいい
屋久島では、イボアナゴをはじめ、磯の魚介類を総称して"いそもん"と呼ぶことが多く、昔から春の大潮の干潮時には磯に出て、いそもん採りをする習慣があります。
いそもんの中でもイボアナゴは特に人気の貝ですが、採るのには少しコツがいります。
まず、イボアナゴの貝殻は周囲の岩と同化して見つけにくいうえに、穴の奥にいることが多い為、怪しい穴はひとつひとつ覗いていかなくてはなりません。
▲このような岩場の穴は要チェック ▲穴がイボアナゴにとっての家
そして、見つけたとしても岩にピッタリと強力に張り付いている為、素手で採ることはほぼ不可能です。
そこで"くし"といわれる専用の道具を使い、イボアナゴを岩から剥がして、引っ張り出します。
この"くし"は片側がかぎ状で、片側がマイナスドライバーのようになっているものがほとんどで、売っていることもありますが、自分で鉄の棒を曲げて作る人もいます。
場所も大事で、楽に行ける場所は先客に採られてしまい、小さなイボアナゴしか残っていない場合があります。
イボアナゴを求めて、断崖絶壁を降りたり、遠くの瀬まで泳いでいったり、命がけのいそもん採りをする猛者もいます。
▲年季の入った"くし"を持つ地元民 ▲身はまさに小型のアワビ
そこまでしてイボアナゴを採る理由...それは、美味しいから。
焼いて醤油をたらす、バター焼き、味噌漬け、煮付け、などなど様々な調理法で美味しく頂け、居酒屋でもメニューに載っていることが多いです。
今月の大潮でも、沢山の人がいそもん採りに出かけたことでしょう。
屋久島に来た際は地元に愛される海の幸、イボアナゴをぜひ食べてみて下さい。
次回はくじゅうの田中さん、よろしくお願いします!
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
みなさん、こんにちは!
屋久島アクティブレンジャーの菊地です。
あっという間に1年間が過ぎ、今年度から2年目になります。
世界自然遺産である屋久島の自然を守る一員として仕事ができることに誇りを持って、2年目もよりいっそう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
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さて、みなさんは日本全国で何種類の生物がみられるかご存じですか?
その数、9万種類以上の生物が確認されており、まだ名前のついていない生物や未知の新種を含めると30万種を超えると推定されています。
私たちが住んでいる九州地方にも沢山の種類の生物がみられ、日頃よく目にする生物から、特定の環境や地域でしかみられない生物まで様々です。
それぞれの生物について詳しく調べてみると、地域毎に呼び名が違ったり、人間の生活と深い関わりがあったりと、新たな発見や生物をとおして地域の魅力や暮らしが見えてくるかもしれません。
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そこで今年度、九州いきものリレーと題して、九州地方に勤務する10人のアクティブレンジャーが各地域でみられる生物を毎月リレー形式でご紹介します。
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第1回となる今回、ご紹介する生物はこちらです!
イボアナゴ【ミミガイ科 分布:伊豆大島、紀伊半島以南】
▲殻には5、6個の穴があり、内側は真珠のように美しい
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アワビを小さくしたような巻貝で、大きな足で岩の穴にくっついて生息しています。
主に海藻を食べ、食事の時にだけ穴の中から出てきて、食事が終わればまた元の穴に戻っていきます。
▲夜に活動することが多い ▲顔には少し愛嬌があり、きもかわいい
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屋久島では、イボアナゴをはじめ、磯の魚介類を総称して"いそもん"と呼ぶことが多く、昔から春の大潮の干潮時には磯に出て、いそもん採りをする習慣があります。
いそもんの中でもイボアナゴは特に人気の貝ですが、採るのには少しコツがいります。
まず、イボアナゴの貝殻は周囲の岩と同化して見つけにくいうえに、穴の奥にいることが多い為、怪しい穴はひとつひとつ覗いていかなくてはなりません。
▲このような岩場の穴は要チェック ▲穴がイボアナゴにとっての家
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そして、見つけたとしても岩にピッタリと強力に張り付いている為、素手で採ることはほぼ不可能です。
そこで"くし"といわれる専用の道具を使い、イボアナゴを岩から剥がして、引っ張り出します。
この"くし"は片側がかぎ状で、片側がマイナスドライバーのようになっているものがほとんどで、売っていることもありますが、自分で鉄の棒を曲げて作る人もいます。
場所も大事で、楽に行ける場所は先客に採られてしまい、小さなイボアナゴしか残っていない場合があります。
イボアナゴを求めて、断崖絶壁を降りたり、遠くの瀬まで泳いでいったり、命がけのいそもん採りをする猛者もいます。
▲年季の入った"くし"を持つ地元民 ▲身はまさに小型のアワビ
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そこまでしてイボアナゴを採る理由...それは、美味しいから。
焼いて醤油をたらす、バター焼き、味噌漬け、煮付け、などなど様々な調理法で美味しく頂け、居酒屋でもメニューに載っていることが多いです。
今月の大潮でも、沢山の人がいそもん採りに出かけたことでしょう。
屋久島に来た際は地元に愛される海の幸、イボアナゴをぜひ食べてみて下さい。
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次回はくじゅうの田中さん、よろしくお願いします!