対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第10号

 

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福岡市動物園のツシマヤマネコ情報コーナー


 すでに皆様ご存じのように、福岡市動物園では、ツシマヤマネコ保護増殖事業の一環として飼育下において個体数の増加を目指す人工繁殖事業を実施中です。1996年から1999年にかけて、綿密な計画に基づいて対馬で捕獲された5頭の健康な成獣(個体番号No.1・No.3・No.5=オス、No.6・No.8=メス)が、動物園内の専用獣舎で飼育されています。
 また、前号の「とらやまの森」で高田伸一さん(福岡市動物園ツシマヤマネコ飼育員)に詳しく報告していただきましたように、今年4月には、No.3オスとNo.8メスとの間に待望の2世が1頭(No.9メス)が誕生し、現在まで順調に成長しています。
 そこで本誌の中に新たに「福岡市動物園のツシマヤマネコ情報コーナー」を設け、前号の「飼育下におけるツシマヤマネコの繁殖について」に引き続いて、No.9の様子を中心に飼育個体の状況を紹介していきたいと思います。
 前号で6月までのNo.9の様子が報告されていますので、今回は7月~9月の状況をお知らせします。

  • 7月になって、母ネコであるNo.8と同居しているNo.9は、獣舎内の運動場で親仔でじゃれあったり、一緒に餌を食べる姿が、しばしば観察されるようになった。
  • 7月3日 体重1,200g
  • 7月10日 体重1,400g 感染予防ワクチンの接種(6月19日に引き続き2回目)
  • 7月27日 体重1,550g
  • 8月28日 体重2,050g
  • 9月に入って、No.8がNo.9を追い払うなど、親離れを促すような行動がたびたび観察された。
    また、母ネコであるNo.8が餌の大部分を食べてしまうようになってきたため、親と仔を分けた方が良いと思われた。
  • 9月18日 生後5ヶ月目。No.8とNo.9を獣舎内の別々のパートに分けて、別居させる。

 9月に入ってからは、獣舎内に設置してある体重計になかなか乗ってくれないので、正確な体重はわかりませんが、No.9は生後5ヶ月あまりで外見上は母ネコであるNo.8とほぼ同じくらいにまで成長しています。
今後も福岡市動物園で飼育されているツシマヤマネコの様子を本コーナーでお知らせしていきたいと思います。



棹崎公園から見える異国 韓国

「国境のしま」として知られている対馬ですが、いつでもどこからでも海峡の向こうに韓国が見えるわけではありません。上県町で韓国が見える場所として有名なのは千俵蒔山の展望台ですが、センターのある棹崎公園からもばっちり見ることができます。しかし、天候や季節によってよく見える日や見えない日があります。当センターでは、韓国が見えたかどうかを毎日記録しています。そこで、1999年1月から今年8月までの見えた日数を月毎のグラフにしてみました。


 韓国が見える日は、秋から冬(10~12月)の気温が低い頃に最も多い事が分かります。この時期は乾燥して3~4月の様に春霞もかからず大気が澄んでいるため遠くまではっきりと見通すことができるのでしょう。
 韓国が最高にきれいに見えるこれからの季節。お弁当を持って、ぜひ一度、棹崎公園に足を運んでみてはいかがでしょうか。一番近い異国・韓国にきっと出会えることと思います。



人の動き

中島 絵里

 この度、私中島絵里は、所属している(財)自然環境研究センターから東京勤務を命ぜられ、9月中旬に東京へやって来ました。
 対馬野生生物保護センターで働き始めて3年余、初めて対馬の地を踏んでからは8年が経とうとしています。その間私に何が出来たのか分かりませんが、対馬野生生物保護センターのオープン前からの3年間を対馬で過ごせたことは、私にとって大変な誇りです。対馬を離れなければならなかったのは大変残念ですが、幸いこちらでもツシマヤマネコの仕事に携わっていけるので、今度は東京からツシマヤマネコの将来を考えていきたいと思います。
 仕事の上だけでなく生活の全てにわたり、ツシマヤマネコの関係者の方々、対馬の住民の方々、またこの「とらやまの森」の読者の方々には大変にお世話になり、支えて頂きました。これまでご支援いただいた皆様に心より厚く感謝し、この場をお借りして御礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。
 「とらやまの森」も第10号を迎えました。読者の皆様には引き続き対馬野生生物保護センターを応援して下さいますようよろしくお願いいたします。  <E>

三谷 奈保

 中島絵里さんと交代で、対馬野生生物保護センターに来ました三谷奈保です。対馬には2年前に出張で数週間滞在したことがあります。海ぎわの漁村の家屋と広い海、山間の田畑と青い空の対比の美しさが印象的でした。これまでザワザワした街中で生活してきたので、対馬に来ることになったとき、あの動物や植物など自然の豊かな風景の中で生活するんだなと楽しみにしていました。
 学生の頃からシカやカモシカに興味があって携わってきましたが、今度は、今なんとかしなければ将来が危惧されるツシマヤマネコのために、お役に立てるようにしたいと思っています。残念なことに、ツシマヤマネコを目撃する機会に、まだ恵まれていません。交通事故個体には、もう会いたくありませんが、剥製や写真ではない、元気に動くツシマヤマネコに早くお会いしたいものです。ずっとツシマヤマネコに関わっていた中島絵里さんの後ということで、頼りない部分もあると思いますが、よろしくお願いいたします。  <MIT>


とらやまの森第10号

 

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