対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第6号

 

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みなさんお元気ですか?
僕は今、忙しいけど充実した毎日を送っています


琉球大学理学部卒業生
大城雅俊

どんなことをしていたのか

 こんにちは!僕は去年、大学の卒業研究のためツシマヤマネコを調査していた大城雅俊です。みなさんはツシマヤマネコの調査・研究が実際にどのように行われているか知っていますか?僕の調査は複数のツシマヤマネコの間にどういう関係があるのかを知るために行いました。そのために、まずヤマネコの捕獲から行いました。特に今回の場合は複数のヤマネコの関係を知ることが目的だったので、少なくても2頭以上のヤマネコを捕獲しなくてはいけませんでした。最初の捕獲は思うようにはいかず苦労しましたが、いろいろ工夫を重ねるうちに、5頭の捕獲に成功しました。次にヤマネコがどういう場所で生活しているかを調べるために、捕獲したヤマネコに発信機をつけて再び放し、2週間前後24時間連続で1~3時間ごとにヤマネコがどこにいるかを調べました。この期間は朝から晩までずっとヤマネコを追いかけていたのですごく大変でした。こういった調査を約1年間地道に続けていきました。

何がわかったか

 捕獲した全てのヤマネコの生活している場所を知ることによってお互いの関係を知ることができました。今回は非交尾期のオス・オス間とオス・メス間の関係に焦点を当てて考えました.オス・オス間では生活する範囲が重なることが少なく、オス同士が接触することはほとんどないと考えられました。オス・メス間では生活する範囲は大きく重なっていましたが、お互いの好きな場所が別々であるため、オス・メス間でも接触することは少ないと考えられました。つまりツシマヤマネコは、交尾をしないときにはオスでもメスでも他のヤマネコとはなるべく出会わないように単独で生活していることがわかりました。

ヤマネコをよく見るようになった!!

 ヤマネコの捕獲がうまくいくようになった頃から、ヤマネコを実際に野外で見ることが多くなりました。いくらヤマネコを追いかけているからといって、あの用心深いヤマネコを野外で見ることは非常に珍しいことだと思います。よくあったのが車から降りたらヤマネコが数メートル先にいて、そのまま僕の横を通り抜けたり、しばらくじっとこっちを見て何くわぬ顔で姿を消したりすることでした。一番驚いたのが集落内の排水溝を歩いているのを見たときでした。このように多くのヤマネコを目撃するたびにヤマネコに出会えた喜びと同時に事故に遭うんじゃないかと心配になってしまいます。みなさんも運転中はヤマネコが急に出てくるかもしれないので気をつけて下さい。

対馬の人々に感謝

 今回の対馬での調査で、僕はツシマヤマネコに出会えましたが、多くの対馬の暖かい人々にも出会うことができました。調査中に声をかけてもらったり、お野菜やお魚をもらったり、タ食をごちそうしてもらったり、お風呂に入らせてもらったり、調査が終わったら一緒にお酒を飲んだり、他にも数え切れないほどの感謝したい出来事がありました。調査期間中辛くても、ふとした対馬の人々の優しさで救われたことが多くありました。この場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


とらやまの森第6号

 

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