対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第6号

 

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ツシマヤマネコQ&A


 来館者の方々から、ツシマヤマネコとその周辺に関する質問をたくさんいただいています。その中から、対馬野生生物保護センターの方でいくつかをピックアップして答えるコーナーです。

Q. センターで飼育しているヤマネコはなぜ直接見ることができないのですか?

A. これまでにも述べてきたように、センターで隔離飼育されているオスのツシマヤマネコは、FIV(通称ネコエイズウィルス)などのウィルスに感染しています。これらのウィルスによる病気は残念ながら有効な治療方法がありません。現在のところ症状は出ていませんので、見た目には大変元気ですが、今後も発症しないようにするには、ストレスを与えないように細心の注意を払いながら飼育しなければなりません。不特定多数の人々に直接見られることは、野生動物にとって大きなストレスになると思われますので、モニターカメラを通して観察していただくことにしています。

Q. ヤマネコが持っているウィルスの感染源について教えて下さい。

A. ツシマヤマネコは未解明のものを含めて多種多様なウィルスを保持していると思われますが、現在問題になっているFIV等のウィルスは、その遺伝子型を調べてみたところ、九州や対馬のイエネコ(飼い猫や野良猫)に見られるウィルスと同じ型でした。したがって隔離飼育中のツシマヤマネコは、対馬に持ち込まれたイエネコが感染源となり、イエネコに直接(けんか等)あるいは間接的(フン等)に接触して、各種のウィルスに感染した可能性が高いと考えられます。

Q. なぜ飼い描の放し飼いがいけないのでしょうか?

A. 猫を飼う際に、飼い犬のように鎖やひもで繋ぐ人はあまりいません。飼い猫の放し飼い自体がいけないというより、管理が行き届かなくなって見捨てられてしまうイエネコの数を減らさなければならないということです。不妊化手術をしていないで増えてしまった仔ネコを面倒見切れないからと捨てネコにしてしまった話をときどき聞きます。捨てネコの一部は野良猫になってしまいます。もともと生息していなかった場所に移入された動物は、もともと生息している野生生物に予想もつかない深刻な悪影響を与えてしまうことがあります。北海道のアライグマや小笠原のヤギ、奄美のマングースが問題になっていますが、ツシマヤマネコにイエネコ由来のウィルスが感染してしまったのもその例だといえます。対馬ではツシマヤマネコのためにもイエネコ自身のためにも、野良猫が増えないように猫の飼い方に気を付けるべきだと思います。 <AB・T2>


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