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とらやまの森第6号

 

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ある日のツシマヤマネコ飼育日誌(4)


1999年8月×日×曜日 9:11 晴れ 外気温32度 無風

 朝、いつものように研究室のモニターでウィルス感染のため隔離飼育中のヤマネコの状態をチェックする。今日も巣箱の上でくつろいでいるようだ。その後、エサを用意して隔離飼育舎に向かう。「カチャッ」と、鍵を開けて中に入る。長靴にはきかえ、作業着に着替える。こんな暑い日は作業着を着ると蒸し暑くて着るのをためらってしまうが、それは仕方ないことだからと我慢しながら飼育室の扉を開ける。飼育室にはいるとすぐに、長靴をはいたまま消毒液の入ったプールに足を突っ込み、「ジャブジャブ」と消毒する。さっきまで巣箱の上にいたヤマネコが「フーッフーッ」と唸りながら一目散に巣箱の中に身を隠す。「何しに来たんだコノヤローッ!サッサと出ていけっコンチクショー!」と言わんばかりの恨めしそうな目でこちらをにらみつけてくる。鋭いヤマネコの視線をあびながら、チェックシートに室温・湿度・ヤマネコの状態などを記入して、ゴム手袋を装着し、それもしっかりと消毒してから、作業にとりかかる。“1に消毒、2に消毒・・・なのだ。”

 まず、昨日与えておいたエサの残りをチェックして、チェックシートに記入する。昨日たっぷりとエサを与えておいたから、今日は50g程食べ残している。普通は300gから400gくらい食べる。次に水の残りをチェックする。水は毎日600ml与えているが、だいたいいつも100ml程飲んでいる。今日は140ml飲んでいた。これも忘れずに記入。さらに、フンの量と状態、尿の量と計測していく。フンをする場所はだいたい決まっていて、水入れ容器の前にすることが多い。水入れ容器の中にフンが“ドボンとヒット”していることもある。フン量は70g、尿量は112mlだった。人間の慣れというのは恐ろしいもので、以前はフンのにおいをとても臭いと思っていたが、最近では全然平気になってしまった。あとは消毒液の入ったスプレーを「プシュッ、プシュッ」とケージ内に吹きかけて、それをきれいにふき取る作業を何回も繰り返す。気温が高い最近では、夏用の毛になっているらしく、毛がよく抜けてモッサリと落ちている。ピカピカになると掃除終了。汗がじわっとにじみでてきた。

 最後に汚れた食器類を洗い、消毒をして乾燥させる。それから、エサ・水を飼育ケージにいれ、床の掃除をして10時15分作業終了。長靴の消毒をして飼育室を出る。作業着を脱ぎ、作業着と手を消毒。そして、隔離飼育舎を脱出。しばらくモニターで観察する。人気がなくなると、「やれやれ、やっと出て行きやがったか。」と思っているかどうかは知らないが、ヤマネコはのびをしながら巣箱から出てくる。そして、食事タイム。食事が終わると、丁寧に毛づくろいをして、後は午後までひたすらZzz・・・Zzz・・・と眠るだけである。 <Mk>


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