対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第3号

 

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対馬野生生物センターにツシマヤマネコがやってきました


 10月9日の午後、ツシマヤマネコの飼育個体が1頭ここ対馬野生生物保護センターに移送されてきました。これは環境庁のツシマヤマネコ保護増殖事業で計画されている飼育下繁殖のために1996年12月に捕獲されたオスの個体です。

センターで飼育中のオス(1998年10月19日撮影)

隔離飼育ヤマネコNo.2

 捕獲後福岡市動物園でいろいろな健康診断を受けた結果、猫免疫不全症ウィルス(FIV)と伝染性腹膜炎を起こす可能性のある猫コロナウィルス(FCoV)の2種の感染性ウィルスの保菌個体(キャリア)であることがわかったため、飼育下繁殖に使うことはあきらめて急きょ専門の獣医師がいる鹿児島大学獣医学科に入院していたものです。
 これらのウィルスはイエネコからヤマネコにうつされたものと考えられていますが、環境庁では今後も同様の感染個体が見つかる可能性を案じて、病理検査をしたり感染を防ぎつつ飼育したりするための「検疫・隔離飼育舎」を対馬野生生物保護センターに整備しました。このほどヤマネコの隔離飼育の準備が整い、鹿児島大学で飼育されていたオスもキャリアではありますが発症もせずに元気なため、空路ふるさと対馬に帰ってくることになったのです。


 何百kmもの旅の疲れか、あるいは野生獣の用心深さか、センターの隔離飼育舎に収容された直後は移送用の箱からなかなか出て来ようとしませんでしたが、翌日からは新しい飼育ケージの中で元気に活動している様子がモニターカメラで観察されています。センターでは現在飼育個体の公開はしていませんが、個体の健康状態の様子を見ながらモ二ターによる公開を計画中です。
 このオスの捕獲以降のべ10頭以上のツシマヤマネコの病理検査をしていますが、幸いこれまでのところ同様のウィルスに感染した個体は見つかっていません。この個体が感染してしまった種類のウィルスはイエネコでは普通にみられるものですが、うつされたら現在のところ有効な治療法はないといわれています。従ってツシマヤマネコと接触する可能性があるようなイエネコの放置は、ヤマネコの絶滅の引き金にもなりかねません。ヤマネコのためにも不要な猫は山に捨てずに町役場に引き取ってもらうなど、特に対馬ではイエネコの飼い方に気をつけたいものです。


とらやまの森第3号

 

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