対馬野生生物保護センター

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2007年2月20日:長崎県対馬における人と自然が共生するモデル林の確立を目指した舟志の森づくり

2007年2月ヤマネコニュース

長崎県対馬における人と自然が共生するモデル林の確立を目指した舟志の森づくり

投稿者:舟志の森づくり推進委員会 投稿日:2007/02/20(Tue) 15:12 No.133

<概要>
 長崎県対馬市上対馬町舟志に、住友大阪セメント株式会社が所有する約16haの森林(以下、「舟志の森」といいます。)において、ツシマヤマネコをはじめとする対馬の野生生物を保全し、人と自然が共生するモデル林を確立するため、対馬市上対馬町舟志区、ツシマヤマネコ応援団、対馬市及び住友大阪セメント株式会社の4者は「舟志の森づくり推進委員会」を平成19年2月16日に発足させ、今後、森づくりに取組んでいくこととなりましたのでお知らせします。

1.背景及び経緯
 長崎県対馬市上対馬町舟志に、住友大阪セメント株式会社が所有する舟志の森があります。舟志の森は、同社がセメントの副原料である粘土を採取する目的で平成元年に購入しましたが、セメント需要の減少やリサイクル原燃料の利用拡大等により粘土は採取されず、開発を凍結し今日に至っています。
平成18年4月に「ツシマヤマネコ応援団(事務局:対馬野生生物保護センター)」の発案で、舟志の森でツシマヤマネコを始めとする対馬の野生生物保全のための森林管理を行うことができないかという話が持ち上がり、舟志の森を管理している「上対馬町舟志区特別委員会」を通じて住友大阪セメント株式会社に申入れました。
 その後、対馬野生生物保護センター及び対馬市を加えた関係者間で調整を重ね、平成19年2月16日に「舟志の森づくり推進委員会(以下、「委員会」といいます。)」を発足させ、今後関係者が協力して森づくりを推進していくことを決めました。

2.舟志の森
 住友大阪セメント株式会社が所有する舟志の森は、総面積約16haで、そのうち約6haがスギやヒノキの植林地、残りがシイやカシの二次林となっています。植林地は細いスギやヒノキが密生しており、林床まで光が入り込まない環境となっていて、生物の多様性が低い状態となっています。

3.舟志の森づくり推進委員会
 委員会の構成員は、対馬市上対馬町舟志区、ツシマヤマネコ応援団、対馬市及び住友大阪セメント株式会社です。
 住友大阪セメント株式会社が所有する舟志の森で、委員会の構成員が協力して森林管理を推進することで、森林の質を向上させ、ツシマヤマネコをはじめとする対馬の野生生物の保全に取組み、人と自然が共生するモデル森を確立すること、また、市民、企業、行政、ボランティア団体の協働を通じて、森林保全及び野生生物保全に対する意識の向上を図ることを目的として活動していきます。

4.舟志の森づくりについて
 委員会では、舟志の森について当面5年間の管理方針を定めた「舟志の森管理計画」を作成し、それに基づいて森林管理を進めていきます。
 森林管理の概略として、スギやヒノキの人工林については、間伐を行い適切に植林地の管理を進めるとともに一部の区域では皆伐を行い、皆伐跡地に広葉樹の苗を植樹することで舟志の森の生物多様性を向上させます。
 一方、二次林のような自然度の高い森林については、現在の環境の維持・保全を図ります。

5.植樹祭開催のお知らせ
 舟志の森づくりの一環として、平成19年3月25日(日)に、舟志の森で植樹祭を行います。植樹祭が行われる場所は、舟志の森の中でも特にスギやヒノキが密生していた場所で、皆伐を行った後、ツシマヤマネコ応援団が「とらやまの森再生プロジェクト」として市民と協働して作ってきた広葉樹の苗を植樹する予定です。

<参考>
1.ツシマヤマネコとは
 ツシマヤマネコは、我が国では長崎県対馬にのみ生息し、かつては対馬島内全域にわたり広く分布していましたが、生息環境の悪化等により危機的な状況にあります。
 平成6年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称「種の保存法」)に基づく国内希少野生動植物種に指定され、平成7年に同法に基づく保護増殖事業計画(環境省及び農林水産省告示)が策定され、保護の取組が進められています。
 平成14年に環境省が公表したレッドデータブックでは、絶滅危惧IA類に分類されており、平成17年9月に発表した調査結果によれば現在野生下には80〜110頭生息していると推定されています。

2.「とらやまの森再生プロジェクト」とは
 対馬野生生物保護センターのボランティアグループ「ツシマヤマネコ応援団」の主要な活動の一つです。(「とらやま」とは、対馬で古くから呼ばれるツシマヤマネコの地方名です。)島独自の進化を遂げた対馬固有の自然を後世に残すために、森林の伐採などで失われつつある対馬の森の再生・森林生態系の改善を行います。
 また、一般の市民が広く参加できるイベントを通して、対馬の森のこれからをひとりひとりが考える場ときっかけを作り、森づくりの輪を広げる取組みを積極的に行っています。