対馬野生生物保護センター

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2006年7月16日:センター自然教室 オウゴンオニユリのお話

2006年7月の活動

 7月16日(日)センター自然教室、「オウゴンオニユリのお話」を開催しました。対馬の自然と生き物の会の國分英俊先生を講師にお迎えしての講話に、島内各地から14名の参加がありました。

 はじめに対馬特有の植物を紹介していただきました。写真のシマトウヒレンをはじめ、幻のランと言われるツシマランや、今が見頃のチョウセンカラスウリ、ハナナズナ、大陸系のチョウセンキハギ、チョウセンヤマツツジ、アレチアザミ、対馬固有のツシマノダケなどを、美しい写真と共に紹介していただきました。

 続いて、対馬特有のオニユリの話に入ります。オニユリは日本全国どこでも見られる花ですが、対馬のオニユリは本土のものとは別のようです。
 本土で見られるオニユリは食用目的で中国から輸入されたものです。種子ができずムカゴのみで増えるので、種子に栄養を取られることがなく、大きなユリ根が収穫できるそうです。

 一方対馬のオニユリは、その75%が種子で繁殖する、在来のユリなのだそうです。種子で繁殖するため、いくつか変種が生まれるそうです。写真右はその中のひとつ、無点のオニユリです。オニユリ独特の斑点模様がありません。

 こちらは花弁が無くめしべの多い奇形だそうですが、花が開く前はつぼみの色が朱と緑の2色に分かれてとても美しいそうです。

※ 今回観察用に持ってきていただいた花はすべて、國分先生がお庭で育てている、ムカゴから増やしたオニユリです。

 こちらが今回メインのオウゴンオニユリ。オニユリの変種だそうです。島内では2箇所に自生地がありますが、野生の株はほとんど見られなくなりました。島内各地の花壇に植えてあるオウゴンオニユリはムカゴから増やしたものです。

 姿を消しつつあるオウゴンオニユリの自生地保全活動についても紹介していただきました。花壇に植えられているムカゴから生えたものは、ウイルス感染をしている場合があり、安易に野生に返すべきではないそうです。野生に返せる株を作るために、ウイルス感染しないことがわかっている種子による増殖活動をおこなっているそうです。

 オウゴンオニユリの自生地が消滅しつつあるのは、人間の採集が原因だそうです。そして、現在も盗掘によりキリシマエビネをはじめとするランの仲間が絶滅の危機に瀕しているそうです。
 野草は無限ではありません。人間が採ればそれだけ減少します。いつまでも対馬の自然が残るよう、野の花は野で楽しむ観察スタイルを心がけたいですね。