対馬野生生物保護センター

ホーム >> 報告書・資料・パンフレット >> 過去のセンター活動 >> センターの活動報告(2005年) >> 2005年2月のヤマネコニュース

2005年2月:ツシマヤマネコの保護について(瀬田)

2005年2月ヤマネコニュース

ツシマヤマネコのわな(とらばさみ)による錯誤捕獲及び緊急捕獲について(お知らせ)

投稿者:大林 投稿日:2005/02/09(Wed) 00:17 No.70

3日、上県町瀬田においてヤマネコがとらばさみにかかり、その後とらばさみを付けたままその場から逃走しました。通報後すぐに捜索を開始し、4日12時45分に対馬野生生物保護センター職員が保護し、同センターに収容しました。
ヤマネコは、センターで治療を続けており、回復の経過を見て今後の対処について検討致します。

(詳細)
1.捕獲された経緯
 3日夜、上県町瀬田において、とらばさみにツシマヤマネコがかかっていると、地域住民よりツシマヤマネコを守る会の山村会長を通じてセンター職員が連絡を受けた。その後職員がすぐに現場に赴いたが、ヤマネコはとらばさみを付けたまま既に逃走していた。
 当該個体は、環境省と琉球大学が生態調査の為、発信器を付けている個体であった。そのためとらばさみにかかったその地域付近にいることが判明し、センター職員、琉球大学学生、地域住民が付近の捜索を行った。しかし夜間であることより、捜索が困難であったため、一旦捜索を打ち切った(個体の大まかな場所の把握のみ継続)。
 4日、夜明けとともに山中の捜索を始め、12時45分頃とらばさみを付けたままの個体を発見捕獲し、センターに収容した。

2.個体の情報
(1)性別 オス
(2)年齢 成獣(年齢不詳)
(3)体重 3,750g
(4)個体の状況 とらばさみに挟まれた左前肢が重傷。一本の指が壊死し、回復が望めない状態であったことから、その指の切断手術を行った。また腱に損傷が見られたためギプスで固定中。重傷のため長期治療が必要。
(5)FIV、FeLV検査 共に陰性
(FIV・・・ネコ免疫不全ウイルス  FeLV・・・ネコ白血病ウイルス)

3.今後の予定
センターで治療を続ける。またFIV、FeLV以外の感染症の検査を検査機関にて行う(結果が出るまで約1週間)。肢の回復状況及び血液検査の結果を見て、今後の取り扱いを検討する。


◎とらばさみの使用自粛について
 とらばさみは、動物に与えるダメージが非常に大きいため、今回のような事故があり得ます。また、自宅の敷地内でノネコ・ノイヌを捕獲することを目的とする場合でも、箱わな等ダメージの少ない方法を用いるようお願いいたします。鶏小屋への被害防除については、わなでなく小屋補強による自衛手段を講じていただくことが基本ですが、被害が続く場合には、必要に応じて小屋の補強のお手伝いをすることも含めて個別に相談に応じますので、対馬野生生物保護センター(0920-84-5577)までご連絡ください。
 また、万が一ヤマネコがとらばさみにかかった場合は、個体の損傷を少しでも少なくするためすぐにセンターにご連絡下さい。

※左は今回捕獲された個体ですが、首につけているのは、傷口をなめたり噛んだりするのを防止するためのもの、また左前肢はギプスで固定しております。