対馬野生生物保護センター

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2003年12月:ツシマヤマネコの一般公開セレモニー式辞

2003年12月の活動

 平成15年12月9日、対馬野生生物保護センターでツシマヤマネコの一般公開が始まり、前日の8日には来賓・関係者を招いての一般公開セレモニーが行われました。

九州地区自然保護事務所の新井所長

まずは九州地区自然保護事務所の新井所長の挨拶から。
九州地区自然保護事務所は環境省自然環境局の出先機関として設置されている11の自然保護事務所のうちのひとつで、九州地方を統括・担当しています。

 ツシマヤマネコ一般公開セレモニーを開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日はお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。また、ツシマヤマネコの保護に常日頃からご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、ご承知のとおり、ツシマヤマネコは、かつて対馬全島にわたり生息していましたが、平成9年の調査では70頭〜90頭に減少したと推測されており、また、近年、下島では生息情報がほとんど得られないなど、日本で最も絶滅のおそれのある野生動物の一つとなっています。
 そのような状況の中、ツシマヤマネコの保護のためには、地域のみならず、全国の方々の理解と協力が不可欠ですが、対馬の島民でもツシマヤマネコを見たことがある人は少なく、ヤマネコの問題を身近に感じることが難しい状況にあると思われます。
 そこで、ツシマヤマネコの実物を見ることによって、よりツシマヤマネコへの関心や保護意識が高まり、地域の方々と共に保護活動をさらに進めることを目的に、一般公開を開始することといたしました。
 この度整備いたしました施設は、お手元の資料にもありますようにツシマヤマネコを5頭収容するもので、そのうち1頭を一般公開用ケージ、4頭を保護収容、野生復帰・リハビリのためのケージとしています。公開用ケージは、公開するツシマヤマネコにできるだけストレスを与えないように、観察室を暗くしガラス越しに観察する方法とし、当センター職員がついてツシマヤマネコの解説案内をすることとしています。 
 ここで少しツシマヤマネコ保護の取り組みを振り返ってみたいと思います。
 環境省では、ここ対馬野生生物保護センターを平成9年に開設し、以来このセンターを拠点に、ツシマヤマネコの保護のための様々な活動を実施してまいりました。最近の取り組みとしましては、生息環境の改善に向けた木庭作づくり、地域との連携を図るための「共生と循環の地域社会づくり」の検討、普及啓発のための活動として自然教室・ヤマネコ博士養成講座などを行っています。
 また、福岡市動物園で進めていただいております飼育下繁殖事業も、これまでに9頭が生まれ育っています。
 さらに、林野庁による御岳国有林でヤマネコのための森づくり、ツシマヤマネコを守る会の行政の取り組みに先駆けての保護活動、九州獣医師連合会によるヤマネコへの感染症対策、そして佐護小中学校における総合学習としてのヤマネコ保護の取り組みなどが行われています。こうしてみますと、実に多くの方々がツシマヤマネコの保護に取り組まれておられます。
 しかしながら、今現在もツシマヤマネコの置かれている厳しい状況に変わりありません。ツシマヤマネコの保護を図るためには生息状況の把握、生息環境の維持・改善、飼育下での繁殖、事故防止対策等多くの課題がありますが、その最終目標は再導入を含めた野外個体群の回復と考えております。環境省では、先月ツシマヤマネコ再導入基本構想分科会を設置し、再導入に向けた方向性の検討を開始したところです。
 ツシマヤマネコは、イリオモテヤマネコに比べて全国的な知名度が低いと言われていますが、この一般公開を機に全国的にも関心が高まり、地域の方々はもとより、全国の多くの方々の理解と協力を得て、ツシマヤマネコの保護、再導入に向けた取り組みを進めて行きたいと考えます。
 今日お集まりいただいた佐護小中学校の生徒さんが大人になった時、少しでも絶滅のおそれがなくなるよう祈念しましてごあいさつといたします。
 ありがとうございました。

上県町の廣田貞勝町長

続いて、対馬野生生物保護センターが設置されている対馬・上県町の廣田貞勝町長からご挨拶をいただきました。

おはようございます。今日は待ちに待ったヤマネコの飼育舎ができたということで、ここにセレモニー、また明日からは一般に公開できるということになったわけですが、この施設ができるまでに、本当に皆さんにご足労いただいたなという感をいたしておるわけでございます。
前をたどってみますと、対馬にできる前に福岡で一般公開されるということでわが町 また対馬島挙げていろいろと陳情、お願いしながらやってきたところですが、当施設の皆さん方、また環境省の努力によって、対馬をまず一般公開しようことのお話をいただき少しは安堵し、できたことによって本当に安心をいたしたわけでございます。重ねてお礼を申し上げたいと思います。この問題については、とくにわが議会も一所懸命になって福岡、長崎、東京へとお願いに行ったところでございます。近々議会も開催するわけですが、議会の皆さんも一つ安心をされて、これから対馬のために議会活動をされるんじゃないかなという期待も持っておるところでございます。今日はここにわが議会の議長もお出でいただいております。18日から開催される予定の議会でも多分報告があろうかと思いますが、この問題についてあらためて議会ともどもお礼を申し上げる次第でございます。
 このヤマネコ施設ができることにおいて、それでは今後わが町、対馬が何をしなければならないかという問題になろうかと思います。先ほど話がありましたように、やはりヤマネコというものは、私も今まで見たことはないわけで、見れるのを楽しみにいたしておるわけですが、このヤマネコを見ることにおいて私ども人間が何をすればよいかということになってくるかと思います。今、わが町、対馬の合併の中でも自然のなかで、物事、お客さん、人と人とのふれあい、人との癒しの場所、そういったものを見つけなければならないという中に、ひとつ取り組んでいることに、志多留と田ノ浜地域の圃場整備がございます。この圃場整備についても県の事業でございますけれども、地元上げて自然とヤマネコとが人間とが共生ができるような圃場整備をやろうじゃないかということで、いろいろなお偉い方々から努力をいただいております。これもやがては進んでいくんじゃないかという気がしますけれども、そういったいろいろなものを上県町は、自然の中で、すべてのものをやれるような状況をやろうじゃないかということの流れになっているわけでございます。このヤマネコを頭にして、千俵蒔の風力(発電)にしても然りでございますけれど(自然の)力を利用したエネルギー、目保呂ダムにある馬とばせの問題にしても然りでございます。このような形で自然を愛しながらわが町はやろうということで、これは対馬の中でもこの問題があがっておるわけでございます。そういった流れの中で、これができることによって本当に対馬の活力源となって、お客さんがお出でになり、そのお客さんをどうしてお招きしなければならないかということも考えていかなければならないなという気持ちもいたしております。
当施設の所長さんの努力で、田ノ浜のほうにはボランティアでサツマイモを作りながら、野性のネズミの餌を作りながら、ネコの餌として増やしていこうという努力もなされているところでございます。いろいろな形でこのヤマネコの問題については、本当に各方面、全国からもヤマネコの会として努力もいただいているわけでございます。とくにわが町には山村さんというヤマネコ、自然を本当に愛された方がおられて、この点があってこそこういった問題もできてきたんじゃないかなという気もいたしておるわけでございます。このできるまでには長年の努力がここに実られたということであらためてお礼を申し上げる次第でございます今日は対馬支庁長もお出ででございます。後ほど話をいただくわけですが、いずれにしても県のいろいろな努力もあり、本当に県、環境省の方々にはあらためてお礼を申し上げます。  
どうか、こういった施設ができたことにおいて今後はお互い人間とヤマネコ、また自然の中にいろいろな動物、貴重なものがあるわけでございますが、やはり自然を活かした対馬として対馬にお出でになる方はその自然の中でヤマネコが見れる、自然の品が見れるというような状況の中で今後は取り組んでまいりたいなと思っておるところでございます。
対馬はあと2ヶ月後は合併するわけでございますけれども、今後は対馬挙げてこの問題に取り組んでいきながら、各6町の分担というものはあるわけで、その中でまた、細かいことについては努力をしてまいらなければならないということも考えておるわけでございます。
また、今日は佐護の生徒も(来ておりますが、)学校にいる間に、こういった自然環境の中で出会いをしながら、大きくなってからもヤマネコ、自然を愛してほしいなという気持ちも考えておるところでございます。
今日はこの施設ができるにあたり、遠くから、またいろいろな方々がお出でいただいておりますけれど、あらためてお礼を申しあげ、またこれができたことによって対馬の活力源になることを期待しながらご挨拶に代えさせていただきます。本日はおめでとうございました。ありがとうございました。

中村法道対馬支庁長

長崎県の出先機関である対馬支庁の中村法道対馬支庁長からもご挨拶をいただきました。

皆さんおはようございます。今日はツシマヤマネコ一般公開の記念セレモニーが関係の皆様方のご出席のもと、開催されますこと心からお祝いを申し上げます。また、いよいよ明日から一般公開が始まるわけでございますけれども、この間、環境省九州地区の自然保護事務所新井所長さん、そしてまた地元上県町の廣田町長さんはじめ関係皆様方のご尽力のもと晴れてこの日を迎えられましたことに対しまして心から敬意を表しますとともに厚くお礼を申し上げる次第でございます。
皆さま既にご承知のとおり、対馬は非常に豊かな自然に恵まれておりまして、ツシマヤマネコとかツシマテン、ヒトツバタゴとか或いはゲンカイツツジといった他の地域には例を見ないような大変貴重な動植物が生息をしております。その中でもこのツシマヤマネコは、近年その生息数が徐々に減ってきておりまして、絶滅の危機に瀕している状況にございます。そういうことからその保護のためにいろんな啓発活動を展開されますとともに、また生息数の調査等も進めてきていただいたところでございます。そういういろんな取り組みの中で、ツシマヤマネコに対する関心は徐々に高まっておりましたけれども、先ほど町長さんのお話にもありましたように、なかなかこのツシマヤマネコの実物を見たことのある人が少ない、島内でもごく僅かな方々に限られております。そういう中で是非ツシマヤマネコの本物を見てみたいと言うような声が島外からも日増しに強まっていたところでございます。
そういった声を受けて今回、環境省のほうで飼育舎をここに整備していただいて一般公開の運びとなったわけでございますけれども、そのことはまた、これからツシマヤマネコに対する関心を益々高めていただき、また自然保護意識を高めていただく大きなきっかけになるものと、大変意義深いことだと私どもも喜んでいるところでございます。
一方また福岡市の動物園におかれましては、平成12年に繁殖に成功されて以来徐々に個体数が増えつつあるというお話をお聞きしておりまして大変嬉しく存じております。そういう中でいよいよまたこの繁殖によって増えたツシマヤマネコを対馬の自然に戻そうという試みも検討されているということでございまして、1日も早い実現を期待しているところでございます。こうした一般公開や或いはツシマヤマネコを自然に戻す試みといったものが、今後島内外の多くの方々の関心を高めて、自然保護意識の高まり、そしてまた、対馬を訪れていただく観光客が増えてくるよう期待しているところでございます。
いよいよ対馬も来年3月には対馬市となります。私ども対馬支庁といたしましても新市の発展のために引き続き皆様方と手を携えながら新たな魅力溢れる地域づくりに取り組んでまいりたいと思いますので、どうか皆様方のお力添えを賜りますようお願いを申し上げます。最後になりますがこのツシマヤマネコの一般公開が順調に進んでまいりますように、そしてまた当対馬野生生物保護センターの今後益々のご発展、並びにご列席の皆様方のご健勝ご多幸を心からお祈りを申し上げましてお祝いの言葉とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。