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対馬野生生物保護センター

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愛してニワトリ 愛してヤマネコ

人と鶏とツシマヤマネコ

 時刻を告げる一番、二番、三番鶏。正月の『けんか鶏』。家族・親族みんなで過ごすとき、客人をもてなすときに囲んで食べる『いりやき』。 そして、大みそ日の『運そば』(年越しそば)や『雑煮の出汁』、肥料等々、鶏はいろんな場面で活躍し、昔から対馬の人の生活とともにあり、人の心と独自の文化を育んできました。
 一方、ツシマヤマネコやテン、イタチなどの動物が、鶏小屋に入り鶏を襲うことがあります。『對馬嶋誌』(對馬教育會、1928年)に、「人家近く出て鶏舎を襲ふことあり。 害獣少なき本島に在ては悪しむべき獣類の第一なり」と書かれているように、ツシマヤマネコなど動物による被害が昔から起こってきました。

[写真:「いりやき」で客人をもてなす(1966年)]

ツシマヤマネコにせまる危機

 1997年、対馬野生生物保護センターが開所して以来、ツシマヤマネコが鶏を襲おうとして罠(とらばさみや箱わな)にかかったり、鶏を襲って小屋から出られなくなって保護されたことが19件ありました。 そのうち7件はとらばさみに誤ってかかったもので、ツシマヤマネコに重大な怪我を負わせたこともありました。
 ツシマヤマネコは、かつて対馬全域にわたり広く分布していましたが、生息環境の変化や交通事故などによって次第にその数を減らし、現在の生息数は80〜110頭と推定されています。
 野生動物の世界では、生息頭数が100頭を下回ると絶滅の危険性が極めて高くなると言われています。今、ツシマヤマネコ1頭1頭の命が貴重であり、その姿を地球上から消さないためには、もう1頭も減らすことはできません。
 人も鶏もツシマヤマネコも共に安心して暮らしていく方法はないのでしょうか?

[写真:2001年12月、とらばさみにかかり、前足を切断したヤマネコ]

[写真:とらばさみにはさまれると、足が腫れあがり、命を落とす事もある。]

※お願い
万一誤って捕獲しても、故意でない限り罰せられることはありませんので、対馬野生生物保護センターにご連絡いただきますようよろしくお願いします。

人と鶏とツシマヤマネコの付き合い方

 大事に大事に育てられてきた鶏。その鶏が襲われれば、飼い主のみなさんがそれを守ろうとするのは当然のことです。 しかし、襲った動物を捕まえても、まわりにいるツシマテンやノラネコ、ノライヌ等他の動物が被害を引き起こす可能性は消えません。 また、罠を仕掛けても、鶏小屋を襲った動物だけがかかるとは限りません。
 大事な鶏が襲われることなく、人も野生動物も安心して暮らせるようになるには、罠による駆除ではなく、鶏小屋の補強や工夫がより効果的です。 また、野生動物が人の鶏を餌として頼ることは、本来の野生動物の生き方(食性や行動)を乱してしまうおそれもあり、そのためにも、鶏被害を防ぐことが大切です。

お孫さんにご自慢の鶏を見せてあげる。こんな光景がいつまでも続いてほしいですね。

鶏被害と小屋の実態

 そこで、対馬野生生物保護センターでは、鶏被害を防ぐ効果的な対策を考えるため、佐護地区で鶏を飼われている方々にご協力いただき、被害の状況や小屋の造り、周囲の環境について調査を行いました。
 調査の結果、被害の特徴として以下のことが分かりました。

10月から3月頃までの寒い時期に被害が集中。これは、肉食の野生 動物の餌となる動物が寒くなると少なくなるためだと考えられます。
動物が主に金網(特にビニールで覆われた1mm以下の金網)を咬み 破ったり、戸のすき間から侵入して鶏を襲っている。
小屋の下(地面から50cm程度)がトタンや板で補強されていない、 あるいは高床式の小屋でない場合に、金網を咬み破られやすい。

 また、被害にあった小屋・あわなかった小屋の造りや工夫の違いを把握することができました。 さらに、鶏を飼われている方々が持っておられる被害対策の知恵やアイデアを学び取ることができました。 その結果をまとめたものが以下の絵になります。

鶏小屋調査&調査票

被害にあいやすい小屋

被害にあいにくい小屋

もう一度確認を!(鶏小屋自己診断)

 いくつチェックが付きましたか? 一つでもあると、被害にあうおそれがあります。 日頃からこまめに小屋の手入れをされている方でも、これらが原因で被害にあわれています。 特に、寒い季節は被害が起こりやすいため、小屋の点検と補修・補強が大切です。 鶏のためにも、動物のためにも、そして卵ご飯を喜ぶお子さんやお孫さんたちのためにも、小屋の再点検をお願いします。

 鶏が動物に襲われた場合、また被害が続く場合は、対馬野生生物保護センターにご連絡ください。小屋補強のお手伝いも含め、相談に応じます。
 このリーフレットは、佐護地区の鶏小屋調査結果をもとに作成しました。鶏の飼主のみなさま、調査へのご協力、誠にありがとうございました。
 リーフレットご希望の方は、センターまでお気軽にご連絡ください。

連絡先

対馬野生生物保護センター
〒817-1603 長崎県対馬市上県町棹崎公園
TEL : 0920-84-5577 FAX : 0920-84-5578
URL : http://kyushu.env.go.jp/twcc/

イラスト:Ask