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九州地方環境事務所

報道発表資料

2018年05月28日
  • 報道発表

【報道発表】カワウソの調査結果について

平成30年5月28日(月)

環境省

・九州地方環境事務所野生生物課

課長 鑪 雅哉

・対馬自然保護官事務所

(対馬野生生物保護センター)

上席自然保護官 山本 以智人

℡0920-84-5577

・厳原事務室

自然保護官 永野 雄大

平成29年に長崎県対馬において生息が確認されたカワウソについて、環境省による調査の結果、少なくともユーラシアカワウソのオス2個体、メス1個体が生息していることが示唆されましたので、お知らせします。

1.経緯

・平成29年2月に、長崎県対馬において琉球大学が設置したセンサーカメラによりカワウソと思われる動物が撮影され、8月17日に同大学の伊澤雅子教授のグループが報道発表を行いました。

・環境省では、平成29年7月11日から18日に対馬島内にて痕跡調査(糞、毛、足跡、食痕等を捜索する調査)を筑紫女学園大学の佐々木浩教授に依頼して実施し(緊急調査)、採取した糞2個について九州大学医学研究院の関口猛助教に依頼してDNA分析を実施した結果、ユーラシアカワウソ(Lutra lutra)のDNAが検出されました。

・しかし、7月の調査では調査範囲も狭く限られた人員で実施したため、採取したサンプル数が少なく、詳細を把握することはできませんでした。そこで、個体識別や生息数推定を行うため、8月28日から9月2日にかけて対馬全域を対象とした痕跡調査(調査代表者:筑紫女学園大学 佐々木浩教授)を実施し(全島調査)、採取した糞4個からユーラシアカワウソのDNAが検出されました。

・これらの結果を踏まえ、対馬では少数の個体が河川や海岸を利用しながら生息していることが明らかになり、同年10月12日に環境省において調査結果の報道発表を行いました。

・その後、特に痕跡が多く確認された地域を中心に現地調査を継続し、採取した糞についてDNA分析を実施するとともに、これまで採取した糞と併せて計10個の糞について、DNA分析(個体識別及び性判別)を実施しました。

・その結果を踏まえて、対馬で発見されたカワウソの今後の対応について、有識者からの意見も踏まえ方針をまとめました。

2.今回明らかになった点

・平成29年10月までに解析を実施した糞6個及び同年11月以降に新たに取得した糞4個の計10個の糞について、個体識別及び性判別を実施しました。

・上県町佐護と上対馬町富浦で発見された糞からオス1個体(①)、佐護と上県町仁田で発見された糞からオス1個体(②)、佐護で発見された糞からメス1個体(③)の少なくとも3個体が対馬に生息していることが示唆されました。

・②と③については、遺伝子型が類似しており、親子、兄弟姉妹のような関係か、遺伝子の多様性がかなり失われた隔離された同一個体群出身である可能性が高いものと考えられました。

表.DNA分析結果

ID

発見日時

採取場所

性判定

推定個体番号

2017/7/14

佐護

オス

2017/8/31

佐護

不明

2017/8/31

富浦

オス

2017/9/1

佐護

オス

2017/9/12

佐護

オス

2017/10/4

佐護

不明

2017/12/24

仁田

オス

2017/11/26

佐護

メス

2018/1/12

佐護

不明

10

2018/1/12

佐護

オス

3.今後の予定

平成30年度は、以下の事業を実施する予定です。

・痕跡調査による個体数及び分布状況の調査の継続

・普及啓発の推進

4.お願い

カワウソやツシマヤマネコ等の生息に影響を与えるおそれがあるので、以下の4点について、ご協力をお願いします。

① 捕獲の禁止

② 生息地にむやみに立ち入らない(環境省が関わらない生態調査や報道目的も含めた写真撮影を含む)

③ 餌やりの禁止

④ 交通事故防止のための安全運転等

添付資料

対馬で発見されたカワウソに関する今後の対応の方針(115KB)

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