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報道発表資料

九州地方環境事務所報道発表資料>2010年度

【お知らせ】「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」に対する環境省意見について

2010.06.24 九州地方環境事務所

 環境省では、計画検討段階における環境配慮を行う仕組みである戦略的環境アセスメント(SEA)について、第三次環境基本計画に基づき、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」を平成19年4月に取りまとめ、その取組を進めているところである。
 「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」については、国土交通省において、同省が策定した「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」に基づき、検討が進められているところであるが、この検討は、戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものと位置付けられている。
 このため環境省は、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」(環境省)に基づき、本日付けで国土交通省九州地方整備局に対して、意見を述べたところである。
 なお、本件は、埋立事業を対象として同ガイドラインに基づきSEAが実施された第1号案件である。

1.「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」の概要及び検討経緯

 国土交通省九州地方整備局は、国際航路等として重要な関門航路や、関西方面などへのフェリー基地などがある北九州港新門司地区と関門航路を結ぶ新門司航路において、通航する船舶の安全性の向上や、より大型の船舶を通航可能とするため航路浚渫(しゅんせつ)を行っている。浚渫により発生する土砂について、現在の土砂処分場の受入容量が限界に近づいていることから、「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」として、新たな土砂処分場計画についての検討を本年3月に開始している。
 本計画の検討は、国土交通省が策定した「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」に基づき進められており、初めに必要性の検討及び海域の選定を行い、次に位置、形状の選定を行うという2段階で進められている。現在、第一段階(ステップ1)として、新たな土砂処分場の設置の可能性のある複数の海域を抽出し、土砂処分場を設置しない案も含めてそれらを比較評価して、候補海域を絞り込む検討が行われている。6月1日~6月30日の間は、このステップ1の検討についてパブリックコメントを募集しており、今後、パブリックコメントの結果も踏まえて、土砂処分場の設置海域を選定することとされている。

2.環境省意見について

 「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」の検討は、環境省が取りまとめた「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づく戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものとして行われている。このため、環境省は、これらのガイドラインを踏まえ、環境の保全の見地から、本計画の実施主体である国土交通省九州地方整備局に対して別紙のとおり意見を述べた。
 なお、本件は、埋立事業を対象として同ガイドラインに基づきSEAが実施された第1号案件であり、他の事業を含めても2件目の案件である。

[環境省意見の概要]

1.土砂処分場を設置しない案の検討について

  • 土砂処分場を設置する案の候補海域は、3案いずれも瀬戸内海の海面内に位置しており、埋立てを伴う土砂処分場の設置は、瀬戸内海環境保全特別措置法の規定の運用に関する基本方針に沿って厳に抑制すべきであることから、土砂処分場を設置しない案について可能性を排除することなく検討すること。

2.土砂処分場の設置海域を選定する際の配慮事項について

(1)
曽根干潟にはクロツラヘラサギ、ズグロカモメ、カブトガニ等、環境省レッドリストに掲載されている種を含め多くの種が生息していることから、それらを含む多様な野生動植物の生息・生育環境に十分配慮すること。(共通事項)
(2)各候補海域個別の特性として、以下の点に留意すること。
<ゾーンI>
  • 埋立てによる潮流の変化が、貴重な種が生息・生育する今津干潟や曽根干潟、これらの干潟の周辺海域の水質や堆砂環境等に影響を与えるおそれがあること。
  • 埋立ての位置、形状によっては曽根干潟周辺海域の閉鎖性を高めること。
  • 現在計画されている新門司南地区公有水面埋立事業との位置関係、事業実施のタイミングによっては、環境への影響が増幅されるおそれがあること。
<ゾーンII>
  • 埋立てによる潮流の変化が曽根干潟、干潟の周辺海域の水質や堆砂環境等に影響を与えるおそれがあること。
  • 現在計画されている新門司南地区公有水面埋立事業との位置関係、事業実施のタイミングによっては、環境への影響が増幅されるおそれがあること。
<ゾーンIII>
  • 埋立てによる潮流の変化が曽根干潟や人と自然とのふれあい活動の場である簑島干潟・筑豊県立自然公園、これらの周辺海域の水質や堆砂環境等に影響を与えるおそれがあること。
  • 埋立ての位置、形状によっては曽根干潟周辺海域の閉鎖性を高めるおそれがあること。

3.パブリックコメントの集約及び公表について

  • パブリックコメントの集約に当たっては、当初の7案からパブリックコメントの対象とした4案を選定した経緯並びに環境影響に関係する調査、予測及び評価の内容について可能な限り詳細に公表すること。
  • 土砂処分場を設置しない案を検討した経緯についても、併せて詳細に公表すること。
  • 土砂処分場を設置する案の前提となる航路浚渫についても、その実施による関門航路や新門司航路、これらの周辺海域への環境影響について、明らかにすること。

4.瀬戸内海海域における埋立処分の抑制について

  • 浚渫土砂の他事業における有効活用等により、可能な限り埋立処分量を削減し、瀬戸内海における埋立規模を縮小するよう検討するとともに、土砂処分場の設置に当たっては環境変化を最小限にとどめるよう最大限配慮すること。
  • 長期的、総合的な観点から浚渫土砂量の低減又は有効活用等について具体的に検討し、将来にわたり埋立処分量を可能な限り削減するよう努めること。

3.今後の予定

 現在募集中のパブリックコメントの結果、技術専門委員会の助言、本環境省意見を踏まえつつ、国土交通省九州地方整備局が地方公共団体とも連絡調整しつつ海域を選定することとなる。その後ステップ2として、選定した海域の具体的な設置位置等について、現地調査の結果等を踏まえ検討を行うこととなる。

添付資料
別紙:
「関門航路周辺海域における土砂処分場計画」に対する環境省意見 [PDF 11KB]
参考:
パブリックコメントの対象とした4案について [PDF 253KB]
参考:
戦略的環境アセスメントについて [PDF 68KB]
関連するホームページ
関門航路周辺海域における土砂処分場計画について(北九州港湾・空港整備事務所HP)
http://www.pa.qsr.mlit.go.jp/kitakyusyu/pro_PI/index.html