九州地方環境事務所

ここからメニュー ジャンプして本文へ

ここから本文 ジャンプしてメニューへ

報道発表資料

九州地方環境事務所報道発表資料>2009年度

【お知らせ】ツシマヤマネコの保護(厳原・上対馬)について(お知らせ)

2010.01.04 九州地方環境事務所

 平成21年12月28日(月)に対馬市厳原町小浦において、ツシマヤマネコを保護したとの連絡があり、対馬野生生物保護センター(以下、「センター」といいます。)に保護・収容しました。
 また、平成22年1月2日(土)に対馬市上対馬町河内において、ツシマヤマネコを保護したとの連絡があり、センターに保護・収容しましたのでお知らせします。

I.ツシマヤマネコとは

 ツシマヤマネコは、我が国では長崎県対馬にのみ分布しており、レッドデータブックでは最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧IA類に分類されている。
 平成6年に絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(「種の保存法」)の国内希少野生動植物種に指定され、平成7年に保護増殖事業計画を策定している。
 平成17年9月公表の環境省の生息状況調査では、その生息数は80~110頭と推定され、また1980年代以降ツシマヤマネコの生息頭数が減少傾向にあることが示唆されている。
 我が国において、野生下における絶滅が最も強く危惧されている哺乳類の一つであることから、野生個体の保護、生息調査や生息地の改善等を推進するとともに福岡市動物園、井の頭自然文化園、よこはま動物園ズーラシア、富山市ファミリーパークにおいて繁殖事業を進めており、今後は、飼育下における繁殖個体の野生復帰にも取り組む予定である。

II.厳原で保護された個体について

1.保護の経緯

 12月28日(月)14時30分頃に厳原町小浦において、ツシマヤマネコを保護したとの情報が地域住民から対馬市役所を通じてセンターに連絡があり、その後、対馬市職員が保護し同日17時頃センターに収容した。

2.個体の情報

(1)性別
 オス
(2)年齢
 亜成獣(平成21年春生まれ)
(3)体重
 1,130g
(4)個体の状況
 外傷はなく、痩せている
(5)FIV、FeLV検査 共に陰性
(FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

3.今後の予定

 ツシマヤマネコの下島における生体の保護は、数十年(少なくとも25年以上)ぶりとなる。
 今回保護収容されたツシマヤマネコについては、保護時にはやや衰弱していたが、治療・看護の結果1月4日までに状態は安定し、体重も1330g(1月2日計測)まで増加した。FIV/FeLV簡易検査の結果は陰性であったが、その他の感染症の有無は1月4日以降に調査する予定である。
 下島では、痕跡調査を継続してきたが、これまで、ツシマヤマネコの生息情報は非常に限られており、下島における生息状況は依然として厳しい状況であると推測されている。
 今回の個体の取扱いについては、専門家の意見を踏まえて、検討する予定である。また、保護された地点周辺については重点的に痕跡調査を行う予定である。

下島においては、ヤマネコのものと思われる糞等の痕跡は、1990年代まで確認されていたが、平成17年度公表の生息状況調査では、確実な生息情報を得ることができなかった。2007年3月に下島において自動撮影カメラ調査によって1984年以来23年ぶりに確実な生息が確認されてからの確実なヤマネコの生息情報は以下の通りとなっている。
日付 確認場所 情報
2007年3月2日 内山周辺 自動撮影カメラ1台で1個体を撮影
2007年5月23日 内山周辺
3/2確認場所付近
DNA分析でツシマヤマネコとツシマテン両方に反応する糞を1個採取。
2007年8月7日 内山周辺
3/2確認場所付近
自動撮影カメラ2台で1個体を撮影。
2008年7月29日 内山周辺 DNA分析にてツシマヤマネコに反応する糞を1個採取。

III.上対馬町で保護された個体について

1.保護の経緯

 1月2日(土)15時頃に上対馬町河内において、イエネコに襲われていたツシマヤマネコを保護したと地域住民からセンターに連絡があり、その後、15時30分頃にセンター職員が保護し、センターに収容した。

2.個体の情報

(1)性別
 メス
(2)年齢
 亜成獣(平成21年春生まれ)
(3)体重
 1,250g
(4)個体の状況
 脱水、栄養不良、咬傷、神経症状(瞬膜突出、ふらつきなど)
(5)FIV、FeLV検査 共に陰性
(FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

3.今後の予定

 個体の回復状況、感染症などの状況をみて、個体の取扱いを検討する予定である。

IV.個体の写真

1.厳原町で保護された個体の写真

2.上対馬町で保護された個体の写真

※写真の電子情報が必要な場合は、下記連絡先までメールを頂くか、ファックスでメールアドレスをお知らせ下さい。
〈連絡先〉
 対馬野生生物保護センター(担当:水﨑)
 メールアドレス:shinsuke_mizusaki@env.go.jp FAX番号:0920-84-5578