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報道発表資料

九州地方環境事務所報道発表資料>2006年度

【通知】西表島における特定外来生物オオヒキガエルの捕獲

2006.08.09 那覇自然環境事務所

 8月7日夕方、西表島大原集落内においてオオヒキガエルのメス成体1個体が捕獲されました。西表島におけるオオヒキガエルの捕獲例(平成13年度以降)は本件で8個体目(4年ぶり)、累計の生息情報としては21件目となります。

 オオヒキガエルはもともと国内に生息していなかった外来生物で、県内では八重山地域と大東諸島で定着が見られます。在来の自然生態系に対し悪影響を及ぼすおそれがあるため、環境省では、平成13年度から西表島における監視捕獲調査をはじめとする移入種対策事業を実施しています。平成17年度には外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、石垣島と竹富町の島々における防除事業を継続実施しています。

 今後も、地元の方々の協力を得ながら、八重山地域におけるオオヒキガエルの防除事業を実施していく予定です。

オオヒキガエルとその対策の概要

 オオヒキガエルは中南米原産の大型のカエルで、サトウキビ害虫駆除の目的で石垣島を含む多くの環太平洋地域に導入され、定着した各地で生態系等に係る被害を引き起こして問題視されている侵略的外来生物である。本種は、特定の食物に対する選好性がないため、多くの在来小動物に高い捕食圧を及ぼしている。また、耳腺から強力な毒液を分泌し、幼生も毒を有していることから、カエル類を食物とする様々な在来捕食者への毒による悪影響が懸念される。さらに、繁殖力が強いために在来カエル類を駆逐し生態的に置き換わってしまうおそれも指摘されている。
 近年、西表島や近隣の島嶼においても生息情報が得られるようになっており、固有種や希少な在来種を含む八重山地域の生物多様性に対して悪影響を及ぼす可能性が高まっている。このため、環境省では、平成13年度より「西表島移入種対策事業」として本種の監視捕獲を目的とした調査を継続して実施し、一定の効果を上げてきた。また、平成17年度には「外来生物法」に基づく「特定外来生物」に指定されたため、「八重山地域オオヒキガエル防除実施計画」を策定し、各島々の特性や状況に応じた防除対策を実施しているところである。

捕獲の状況

 8月7日18時頃、竹富町西表島大原地区の大原青年会館敷地において、旧盆の獅子舞の準備をしていた大原青年会(西大桝高世会長)のメンバーが、ブロック塀の内側隅に見慣れないカエルがいるのを発見した。平成14年度に環境省が全戸配布した「識別マニュアル」を見たことがあったため、すぐにオオヒキガエルであると判別し、大原地区のオオヒキガエル監視調査員に電話連絡するとともに、逃亡されないよう大原青年会6名で捕獲した。18時15分頃、大原地区監視調査員が現場でオオヒキガエルと確認し、解剖検査等に供するため冷凍処分した。

捕獲個体の状況

性別:背面のまだら状の大きな隆起列から判断して、メスと判別された
成長段階:成体 体長:96mm 体重:85g
西表島における
生息確認情報:
のべ21例(最終確認:2005年3月 住吉)
西表島における
2001年以降の捕獲個体:
8個体(最終捕獲:2002年6月 大原)

その他

 捕獲個体は(財)自然環境研究センターにおいて解剖され、消化管内容物や内部生殖器の検査等により、西表島における生態系への影響等を調査する予定です。
 なお、西表島におけるこれまでのオオヒキガエル生息確認例(捕獲個体を含む)は、全て成体(カエル)であり、卵や幼生(オタマジャクシ)の確認例はありません。このことから、断続的に成体の侵入はあるものの、西表島においては繁殖、世代交代はしていないものと考えられます。
 今後も、高密度に定着している石垣島以外の島々で、オオヒキガエルの目撃情報があった場合は、24時間いつでも構いませんので、環境省西表野生生物保護センター(0980-85-5581)に連絡をいただきたいと思います。


オオヒキガエルを捕獲した大原青年会の方々
(ポリ袋内がオオヒキガエル捕獲個体)


捕獲個体

捕獲個体(背面)

捕獲個体(正面)

連絡先

環境省 那覇自然環境事務所
電話:098-858-5824

担当:西表自然保護官事務所 自然保護官 (たたら) 雅哉(まさや)
電話:0980-85-5581(環境省西表野生生物保護センター)