報道発表資料
【通知】平成17年度奄美大島におけるジャワマングース防除事業の捕獲結果と平成18年度事業計画
2006.05.02 那覇自然環境事務所/奄美自然保護官事務所
環境省奄美自然保護官事務所では、平成12年度から奄美大島においてジャワマングース防除事業(以下「防除事業」という)を行っており、平成17年度から外来生物法に基づくマングースの防除事業を開始したところです。
- (1)平成17年度の事業の結果について
- のべワナ日数:630,822ワナ日
- 捕獲数:2,591頭
- 平成17年度は、奄美マングースバスターズ12名の作業などが奏功し、のべワナ日数は大きく増え、密度はさらに低下しましたが、分布域を削減することはできませんでした。
- (2)平成18年度事業の計画について
- 平成18年度は前年度から活動している奄美マングースバスターズを12名から26名に増員し、林内での捕獲作業を充実させるほか、報奨金による捕獲を縮小しつつも継続することにより、さらに高い捕獲圧をかけることで生息数の一層の低減化を目指していきます。
1.平成17年度防除事業について
(1)防除の体制等
- [1]一般従事者による捕獲
- 捕獲許可を与えた一般従事者121名のうち72名が捕獲作業を実施しました。
許可を与えた一般従事者に対しては、箱ワナおよび「カゴわな」を従事者に貸し出し、マングース1頭あたりの報奨金を5,000円としました。捕獲の証拠として捕獲したマングースの尾を用いました。
また、ワナ設置の日・場所・個数、捕獲した個体の数・性別について、捕獲作業記録を作成し、毎月末までに奄美野生生物保護センターへ報告することとしました。
なお、ワナ設置場所についてはこれまでと同様、1/50,000地形図に示した3次メッシュ(約1km四方)の番号を記入する方法としました。 - [2]奄美マングースバスターズによる捕獲
- 分布域の外縁部や林内などでの作業の充実のために、一般従事者とは別途に平成17年度は奄美マングースバスターズと称する12名の作業チームを編成し、改良型イタチワナと「カゴわな」による捕獲を行いました。
また、捕獲作業の際には、すべてのワナの設置地点をGPSで取得し、1個ずつのワナを管理する体制としました。
(2)事業内容及び捕獲結果
- [1]捕獲区域
- 奄美市(旧名瀬市))を中心とする6市町村(現5市町村)
- [2]捕獲努力
- 平成17年度:630,822ワナ日(ワナの数×日数)
- 平成16年度:318,715ワナ日(ワナの数×日数)
- [3]マングース捕獲数
- 平成17年度:2,591頭
- 平成16年度:2,524頭
- [4]結果概説
-
- イタチワナ数の増大や一般従事者の方々の捕獲努力によって、捕獲のためののべワナ日数は前年度に比べて飛躍的に増加し、2倍近い630,822ワナ日となりました。
- しかし、全体的な密度の低下に伴い、平成17年度の捕獲効率は、前年度に比べて減少し、捕獲数は前年度(2,524頭)より若干多い2,591頭にとどまりました。
- 周辺部の捕獲効率は中心部に比べて低く、マングースの分布が低密度に維持されており、奄美マングースバスターズによる作業の効果がでたと考えられました。
- 平成16年度に比較して、平成17年度のマングースの分布域はほとんど拡大していないと考えられるものの、ワナによる排除がまだ完全ではなく、分布域を削減できたといえるような地域はありませんでした。
2.平成18年度のマングース防除の事業計画について
(1)事業目標
捕獲圧を増大してマングースの分布域を更に削減し、生息数を大きく低減させることを目標とします。
(2)防除事業内容
- [1]奄美マングースバスターズによる捕獲
- 前年度の12名から26名に増員して、6月1日から新体制で動き出す予定です。
- [2]一般従事者による捕獲
- 規模を縮小して個別に講習等を行い、6月1日までにジャワマングース防除事業捕獲従事者証、腕章、ワナ等の貸与を奄美野生生物保護センターにて行い、順次、捕獲作業に着手する計画です。
- [3]一般島民への普及啓発
- マングース防除体制の変更に関する説明を含め、奄美大島でのマングース防除事業の経緯と今後の展望について、一般島民に理解と協力を求めることを目的とした普及啓発活動を実施します。
- [4]新たな防除方法の探索
- 捕獲によらない防除技術の検討、防除柵などの今後導入を検討する技術について、調査・研究を実施します。また、ニュージーランドの探索犬の専門家を招聘し、沖縄島で育成してきたマングース探索犬を試験的に導入することを検討しています。
- [5]数理生態学的解析による駆除事業成果の検証と将来予測
- これまでの防除事業での捕獲データを検証し、マングースの個体数変動過程について検証する。また、空間構造を考慮した個体群動態モデルを開発し、マングースの根絶過程の予測を行います。
添付資料
図1 平成17年度マングース捕獲数/図2 平成17年度ワナ日数[PDF102KB]
表1 月別のマングースの捕獲状況/表2 市町村別の捕獲状況[PDF16KB]
参考 奄美大島におけるジャワマングース防除実施計画について[PDF13KB]
連絡先
環境省 那覇自然環境事務所
TEL 098-858-5824 FAX 098-858-5825
奄美自然保護官事務所
担当:阿部 愼太郎
TEL 0997-55-8620