報道発表資料
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与那国島におけるオオヒキガエルの捕獲について
令和3(2021)年7月23日(金)21時頃、与那国町久部良集落内において、特定外来生物「オオヒキガエル」が発見・捕獲されましたのでお知らせします。本個体は、石垣島からのフェリーが停泊する久部良漁港から近い場所で発見されたことから、島外から侵入したことが想定されますが、他のオオヒキガエルも侵入している可能性があります。オオヒキガエルが定着してしまうと、捕食や競合、毒等による在来動物への悪影響が懸念されることから、環境省では、引き続き、発見された個体の除去等の対策を行うとともに、観光客や島民の皆様に広く知っていただくため、アヤミハビル館においてオオヒキガエル等外来カエル類の模型及び音声ノートを展示いたします。下記の特徴に当てはまる個体(成体だけではなくオタマジャクシも)を見たり鳴き声を聞いた際には、石垣自然保護官事務所までご連絡をお願いいたします。また、島外から搬入される資材や機器等に紛れて侵入する可能性があるため、資材搬入の際には、オオヒキガエルの成体等の付着がないか確認いただけるようお願いします。
1.オオヒキガエルについて
オオヒキガエルは中南米原産の大型のカエルで、サトウキビ害虫駆除の目的で日本を含む多くの環太平洋諸国に移入され、定着した各地で生態系に係る被害を引き起こして問題視されている侵略的外来種です。本種は、特定の食物に対する選好性がないため、多くの在来小動物に高い捕食圧を及ぼしていると考えられています。また、耳腺から強力な毒物を分泌し、幼生も毒を有していることから、カエル類を食物とするさまざまな在来捕食者への毒による悪影響が懸念されます。さらに、繁殖力が強いために在来カエル類を駆逐し生態的に置き換わってしまうおそれも指摘されています。環境省では「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(略称:外来生物法)」に基づく特定外来生物として、本種の飼育、保管及び運搬等を禁止しています。
オオヒキガエルは全長が9~15cm程度、耳腺が目立ち、背中にある一面のイボイボが特徴です。オスは「ボボボボボ・・・・」と機械音のような鳴き声で、夜間には街灯等の光に集まる虫を捕食するため、明るい場所に出没します。
2.捕獲された個体について
①捕獲日時:令和3(2021)年7月23日 21時頃
②捕獲場所:沖縄県八重山郡与那国町字与那国4022 (久部良集落内)
③捕獲経緯:町民の方から「怪しいカエルがいる」と、アヤミハビル館及び与那国町教育委員会に連絡があり、与那国町職員が現場確認を行ったところ、オオヒキガエルであったことから、個体等を捕獲し、殺処分後冷凍保存。
3.八重山諸島のオオヒキガエルの状況
サトウキビ畑の害虫駆除のため、南大東島に持ち込まれ(年代不明)、石垣島へは昭和53(1978)年に南大東から持ち込まれました。現在では石垣島の全域でよく見られます。与那国島では、平成13(2001)年、平成23(2011)年、平成25(2013)年に発見・捕獲されていますが、その後は今回の発見まで8年間確認されていません。現時点ではオオヒキガエルが与那国島で定着、繁殖している可能性は低いと考えられます。
今回、捕獲された個体は物資に紛れて侵入した一過性のものと考えていますが、このような侵入はいつでも起こりえますので、他にも侵入個体がいる可能性は十分にあります。
4.特定外来生物
外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)により外来生物の中でも海外起源で生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から選定、指定されます。石垣島には特定外来生物のオオヒキガエル及びシロアゴガエル(在来昆虫類の捕食等が懸念)等が定着しているために、石垣島からの物資や貨物などに紛れて、これらの特定外来生物のカエルが与那国島や他の離島に侵入する可能性が増大しています。
5.環境省の取り組み
環境省では平成13年度から西表島において、オオヒキガエルやシロアゴガエル等外来カエル類の侵入防止を目的としたモニタリング調査を実施しています。また、環境省では資材等の搬出元となっている石垣島においても外来カエル類のモニタリング等を行い、侵入防止や普及啓発による監視体制を構築しています。
今後、与那国島内に侵入した外来カエル類の拡散を防止するため、外来カエル類が発見された場合は個体の捕獲や卵塊の除去等を行います。また、与那国島の住民の方々に早期発見していただけるよう、普及啓発用の外来カエル類の模型及び鳴き声を確認できる展示物をアヤミアビル館に配置する予定です。
6.ご協力のお願い
与那国島でオオヒキガエルと思われるカエルを目撃または鳴き声を聞いた場合は、その場で写真を撮り、できるだけ早く石垣自然保護官事務所(TEL:0980-82-4768)まで通報をお願いします。また、道路上などで捕獲可能な場合は個体を捕獲し、ビニール袋などに入れて逃げないようにしてください。捕獲にあたっては目の後ろにあるコブ(耳腺)を強く刺激すると毒液を出す場合がありますので、十分に注意しつつ、捕獲等のために無理はしないでください。
なお、外来カエル類は資材や苗木等に紛れて侵入、広がるおそれがありますので、他の島から資材等を導入する際や、与那国島内でも資材等を運搬する際には、これらの成体・幼体や卵塊などが付着していないか、十分にご注意をお願いいたします。
外来カエル類の鳴き声や特徴などは以下のページから確認できます。
➢ 沖縄奄美自然環境事務所HP「オオヒキガエルとシロアゴガエルについて」
https://kyushu.env.go.jp/naha/wildlife/mat/m_2_2.html
➢ 沖縄奄美自然環境事務所パンフレット
「シロアゴガエル・オオヒキガエルを知っていますか」
http://kyushu..env.go.jp/naha/files/d5fa8d19335fe9816f0dac39c433ef2a.pdf
捕獲されたオオヒキガエル(与那国町教育委員会 村松氏提供)
- ■ 問い合わせ先
- 環境省沖縄奄美自然環境事務所
所長 東岡 礼治
担 当:石垣自然保護官事務所
自然保護官 西原 彰浩
電 話:0980-82-4768