那覇自然環境事務所

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報道発表資料

那覇自然環境事務所報道発表資料>2008年度

【通知】ノネコによるアマミノクロウサギの捕食について(お知らせ)

2008.08.04 那覇自然環境事務所

アマミノクロウサギの幼獣の生息状況等をモニタリングするために実施しているセンサーカメラによる自動撮影調査において、ノネコがアマミノクロウサギの幼獣を捕食している場面が撮影されました。

 不適正な飼養や遺棄により、野生化した犬やねこの一部は、野生生物を捕食するようになり、今回のような重大な事態をもたらす結果となってしまいます。
 犬やねこを飼育されている方々は、ペットのためにも、野生動物のためにも、マイクロチップの装着等によって身元を明らかにし、最後まで責任を持って飼養していただきますようよろしくお願いします。

ノネコによるアマミノクロウサギの捕食
平成20年6月27日23:11 宇検村赤房林道付近において自動撮影

1.写真撮影の経緯

 環境省那覇自然環境事務所が、アマミノクロウサギ保護増殖事業の一環で実施している生息状況等モニタリング調査の中で、2週間に1度の頻度で、赤房林道、奄美中央林道、瀬戸内中央林道等において設定したルート上の幼獣のフンをカウントし、幼獣の出現状況等をモニタリングしている
 このときに設置したセンサーカメラで撮影されたもの。

4月30日

赤房林道(宇検村)の今回の撮影現場付近で幼獣のフンを確認。
以降、6月25日までの約2カ月、ほぼ同一箇所で幼獣フンを継続して確認。
※この間、フン粒の長径が増加していることから、幼獣が順調に成長していることが推察された。

5月28日

幼獣を確認するため、フンの確認地点にセンサーカメラを設置。

6月3日〜

アマミノクロウサギの撮影に成功 (写真[1]〜[4])。

6月25日

※小さめの体格、丸みを帯びた体型等から幼獣と判断。

7月9日

センサーカメラの撮影状況を確認したところ、6月27日深夜から6月28日早朝にかけて、ノネコがアマミノクロウサギ幼獣の頸部を咬んで運んでいる様子が撮影されていた (写真[5]、[6])。
センサーカメラ設置地点から3mほど離れた林内で、ほとんど骨と毛皮のみになったアマミノクロウサギの死体を発見した (写真[7]、[8])。
計測可能だった死体の頭骨長及び後足長から、幼獣と判断された。

これらの状況から、発見された死体は、6月27日にノネコにくわえられている場面が撮影された幼獣である可能性が高いと考えられた。

その後の状況:
  • 6月28日未明に、ノネコが単独で撮影されたのを最後に、同地点ではアマミノクロウサギ、ノネコとも撮影されていない。
  • 撮影されたノネコを収容するために、同地点周辺域6箇所に捕獲器を設置し、7月13日〜18日にかけて生け捕り捕獲を試みたが、捕獲されなかった。

2.今後の対応

<マイクロチップや普及啓発による適正飼養の推進>
 アマミノクロウサギ保護のうえで、ノネコやノイヌによる捕食が深刻な問題であることはこれまでも指摘されており、ノネコやノイヌの消化管内容物からアマミノクロウサギの断片が確認されたり、捕食現場が観察される事例があったが、今回のセンサーカメラによる撮影画像でも、このことが裏付けられた。
 環境省では、奄美の希少野生生物の保護と犬やねこなどのペットの適正飼養を図る観点から、鹿児島県や地元市町村等と連携・協力して、マイクロチップ普及のモデル事業や普及啓発活動を実施し、所有明示措置の推進や終生飼養の徹底などペットの適正飼養に関する取組を推進していく。
 犬やねこを飼育されている方々は、ペットのためにも野生生物のためにも、マイクロチップの装着等によって身元を明らかにし、家族の一員として最後まで責任を持って面倒を見ていただくよう、くれぐれもよろしくお願いします。
<ノネコが生態系に与える影響の把握>
 環境省では、奄美大島の中で生態系の保護上重要な地域等において、ノネコの食性分析を行い、ノネコが生態系に与える影響の把握を行っている。引き続き状況の把握に努めていく。

[1]平成20年6月3日撮影
[1]平成20年6月3日撮影

[2]平成20年6月7日撮影
[2]平成20年6月7日撮影

[3]平成20年6月13日撮影
[3]平成20年6月13日撮影

[4]平成20年6月23日撮影
[4]平成20年6月23日撮影

[5]平成20年6月27日撮影
[5]平成20年6月27日撮影

[6]平成20年6月28日撮影
[6]平成20年6月28日撮影

[7]平成20年7月9日撮影
[7]平成20年7月9日撮影

[8]平成20年7月9日撮影
[8]平成20年7月9日撮影

今回配布した自動撮影調査によるデジタル写真のファイル提供を希望される社は、デジタルファイルの受信希望アドレスから、以下のアドレスにメールを送信してください。
masaya_tatara@env.go.jp
または(できれば両方に)、
taku_sakoda@env.go.jp
なお、写真を利用される際には、「環境省那覇自然環境事務所 提供」等のクレジットを入れて下さい。