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●範囲:
「やんばる(山原)」とは「山々が連なり、鬱蒼とした森が広がる地域」という意味を持ち、具体的には沖縄島北部を示す言葉ですが、しだいに「やんばる」と呼べる範囲が狭まり、現在では名護市以北がやんばる地域の概念となっています。 希少動物の集中する「やんばるの森」は、大宜味村の塩屋湾と東村の平良湾を結んだライン以北にひろがっています。 |
●位置:
やんばる地域がある沖縄島は、鹿児島から台湾に延びる琉球列島の中央に位置する亜熱帯の島で、東京からは約1,600km、同距離を南へのばすとフィリピンがあります。
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●地形・地質: 沖縄島は南北110Km東西10Kmの細長い島です。島の中南部は石灰岩段丘と小さな起伏丘陵で200m以下の平らな地形ですが、やんばる地域を含む北部周辺は、与那覇岳(503.0m)など標高400m以上の山地が北東から南西方向に沿って島の中央部に発達した脊梁山地となっています。 |
●気候:
亜熱帯海洋性気候の沖縄島は、夏は蒸し暑く晴れた日が多く、冬は時折小雨を交えた曇りがちの日が多いのが特徴です。やんばる地域では、那覇などの沖縄島南部に比べて降水量が多く、気温が低いのが特徴です。また、森林地帯では更に降水量が多く、沖縄島最高峰の与那覇岳では年3,000mm以上あります。
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●水系: 沖縄島にある二級河川37水系57河川のうち9水系18河川がやんばる地域にあります。そのため中南部の水瓶として多目的ダムや取水場が建設されています。 |
●生物の多様性: 琉球列島は固有種が多いことが知られていますが、特に豊かな森林が広がるやんばる地域には多くの固有種が生息しています。(ノグチゲラ:久高将和氏撮影) |
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●貴重動植物: やんばる地域には、環境省のレッドデータリストで絶滅危惧種に指定されている動物(哺乳類、鳥類、両生爬虫類、昆虫類)が22種類おり、そのうち6種はやんばるだけの固有種、または固有亜種です。(ヤンバルクイナ:久高将和氏撮影) |
●自然資源・文化観光資源:
やんばる地域には多くの自然資源、文化観光資源があり、これらが一体となってやんばる独特の環境を作り出しています。
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●人口・土地利用:
やんばる3村の人口合計は、県全体の1%未満の11,380千人(平成13年3月末日現在)で、65歳以上の人口の割合は、県(13.9%)の約2倍の27.3%です(H13版全国市町村要覧)。 (右図:平成4年の森林区域・国土地理院2万5千分の1地形図を参考に作成) |
●交通・産業:
沖縄島へは航空機、フェリーが利用できます。島内の移動は鉄道がありませんので自動車利用になります。那覇市から名護市まで沖縄自動車道が利用できます。やんばる地域は那覇から約75kmあります。
産業別就業人口は1次産業(農業が主体)が34%(県平均7.5%)と多く、3次産業では建設業が多く含まれています。基幹産業は農業で、主要作物は、さとうきび、パイナップルで、養豚も盛んです。 |
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●集落の特性と共同店:
やんばるの集落の多くは少ない平坦地を求めて海に近い小河川が刻んだ谷沿いに立地します。 また、昭和初期頃、集落では集落単位の団結による生産物の共同販売、日用品の共同購入を主な目的とした共同店を誕生させました。現在でも殆どの集落で見ることができます。 |
●祭りと行事:
各集落では1年中各種の伝統行事が保存されています。過疎化の進行で若者が減少しているため、簡素化したり、踊りの踊り手が高齢化したりしながらも集落の伝統として存続しています。
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●自然素材を用いた文化: やんばる地域では、染織、紙づくり、焼き物、木工など、自然の素材を用いた伝統工芸が行われています。また、自然の素材でおもちゃを作り、自然と格闘して遊んだ「昔の子供達」は今もやんばる地域に健在です。 |
●やんばる暦:
やんばる地域では、地域の基盤をなす動植物や気候、潮の干満等の自然の上に人々の生活が営まれ、信仰や文化が築かれてきました。自然が一年を周期として移ろいながら繰り返すのに合わせて、人々の暮らしもまた繰り返され、その中で自然と人との密な関わりが生まれてきたといえます。
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●やんばる地域への観光客の分布:
沖縄県への県外観光客は1999年には年間456万人を超えており、観光収入は400億円を超えています。一方で、やんばる地域への観光客の入り込み数は県内外合わせて年間約90万人であり、また、これらの観光客の訪問先は、辺戸岬に7割以上が集中しています。 |
●やんばるの観光の特色・問題点:
観光客は特定の観光施設に集中しており、やんばる地域の価値ある自然環境が観光資源として有効に活かされていません。また、通過型、日帰り型で地元にとっての経済的恩恵が薄く、ゴミの不法投棄による環境悪化や捨て犬・猫による野生生物に対する悪影響も懸念されています。
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