報道発表資料

2016年09月01日

平成27年度奄美大島におけるマングース防除事業の実施結果及び28年度計画について(お知らせ)

 環境省那覇自然環境事務所は、外来生物法に基づくマングース防除事業(以下「防除事業」という。)を平成17年度から実施してきました。平成27年度の防除事業では、わなにより22頭を捕獲し(約272万わな日)、捕獲の効率を示すCPUE(捕獲数/1,000わな日)は0.008となりました。平成26年度に比べて捕獲数は約44%、CPUEは約47%減少しており、着実にマングースの生息密度が低下していると考えられます。また、探索犬及びハンドラーによって18頭の捕獲がありました。平成27年度のマングース捕獲総数は計40頭になります。
 平成28年度も27年度と同様に防除実施計画に基づく防除事業を行い、平成34年度までに奄美大島からの完全排除を目指します

1.防除事業の実施内容等の概要

 環境省は奄美野生生物保護センターを拠点として、平成12年度に奄美大島においてマングース駆除事業を開始しました。平成17年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施してきました。平成25年度には、平成34年度までの10年間で奄美大島からのマングースの完全排除を目標とする「第2期奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」(以下「第2期計画」という。)を始動させています。平成27年度は44名のマングースバスターズ体制で捕獲作業等を実施しました。また、特定地域(岩崎産業(株)社有林内のマングース分布域)においては、平成20年度より別途の体制(平成27年度捕獲従事者8名体制)で捕獲作業等を実施しています。このような体制により、現在はマングース分布域の全域で捕獲作業等を実施することが可能となっています。

 捕獲作業には、生け捕り式のはこわな(以下「カゴわな」という。)と筒型捕殺わな(アマミトゲネズミの混獲を防止するための延長型筒わなを含む)(以下「筒わな」という。)を使用し、アマミトゲネズミ等の在来種の分布状況に応じて、両わなを使い分けています。

平成20年度から、マングースの生息状況をより確実に把握し、効率的に捕獲するためにマングース探索犬を導入し、ハンドラーとともに訓練や探索等を実施しています。平成27年度は9頭の探索犬及び7名のハンドラーによる体制で実施しました。

※第2期計画: http://kyushu.env.go.jp/naha/wildlife/data/gairai/boujyo/130425b.html

2.捕獲作業等の実施結果

(1)実施期間: 平成27年4月1日~平成28年3月31日

(2)実施区域: 奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町

(3)捕獲努力量・捕獲数等: 表1~4、図1~5のとおり

図1.平成27年度 奄美大島におけるマングースのわな設置地点と捕獲地点

図2.奄美大島におけるマングースのわなによる捕獲頭数及び捕獲努力の経年変化

(注)探索犬及びハンドラーによる捕獲数は含まない

図3.マングース捕獲メッシュの経年変化

(注)探索犬及びハンドラーによる捕獲数を含む

図4.探索犬とハンドラーによるマングース捕獲数の経年変化

図5.平成27年度のマングース捕獲方法内訳

図6.作業区域区分図

(4)結果概説

○ わな設置地点と捕獲地点を図1に示した。

○ 平成27年度防除事業において投入された捕獲努力量、平成26年度よりも約5%増加し約272万わな日となり、過去最高値を記録した(表1、図2)。これは、平成24年度から新たに延長筒わなを導入しアマミトゲネズミ等の生息域において効率的な捕獲作業を進めることができたこと、また、平成25年度に奄美大島南西部へのわな設置が進んだこと、平成26年度に特定地域(岩崎産業(株)社有林内)において延長筒わなの導入が進んだことが大きい。

○ わなによるマングースの捕獲数は22頭で、平成26年度(捕獲数:39頭)よりも約44%減少し、過去最低値を記録した(表1、図2)。マングースの生息密度を相対的に反映すると考えられるCPUE(1,000わな日あたりのマングース捕獲数)は0.008で、平成26年度(CPUE:0.015)よりも47%程度減少し、防除事業開始以降減少を続け、防除事業を開始した平成17年度(CPUE:4.107)の0. 19%程度になるまでに至った(表1)。これまでの防除事業の成果により全島的な低密度化及び分布の断片化が一層進み、低く抑えられているマングースの生息密度が、さらに低下したものと考えられる

○ 地域別にみると、奄美市名瀬地区(9頭)で最も捕獲数が多く、次いで奄美市住用(5頭)、大和村(6頭)、岩崎産業社有林(2頭)となった(表4)。平成26年度と比べていずれの地域でも捕獲数は減少し、龍郷町、宇検村及び瀬戸内町ではH26年度に引き続き捕獲数は0であった。

○ CPUEは、奄美市住用(0.015)で最も高く、次いで大和村(0.014)、岩崎産業社有林(0.004)となった(表4)。平成26年度と比べていずれの地域でもCPUEが減少した。これは捕獲数とほぼ同様の傾向である。

○ 秋名・屋入エリア(図6)は、モニタリング区域となってから4年7ヶ月が経過しているが、マングースの生息は確認されておらず、本茶峠エリア(図6)も平成24年度以降捕獲がない状態が継続しているため、両エリアは局所的な排除が達成された可能性が高まっていると考えられる(図1、3)。

○ 戸口・鳩浜エリア(図6)では、マングースの捕獲ないし探索犬による探知地点が一定の範囲に集中する傾向が見られているため、引き続き残存個体の捕獲に努める(図1、3)。

○ 重点区域である金作原エリアと和瀬エリア(図6)では、捕獲地点の分断化が進み、両エリアとも局所的な排除に向けて大きく前進した。金作原エリアについては、モニタリング区域への移行基準を満たしており、H28年度にモニタリング区域に移行する。

○ 奄美大島南西部では、3年連続でマングースの生息が確認されておらず、南西部におけるマングースの生息密度は極めて低い可能性が高い事が示唆される(図1、3)。

○ 探索犬がマングースを追い込みハンドラーが捕獲する方法で18頭を捕獲し、平成27年度のマングース捕獲数(40頭)全体の45%程度を占めた。わなによる捕獲圧が十分にかかった状態のもとで、残存個体の消滅に対して有効性が高いことが示されている(図4、5)。平成26年度より新たな糞探索犬候補犬を1頭確保し、訓練等を実施中である。

○ アマミトゲネズミ及びケナガネズミ等の在来種は、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されている。引き続き、モニタリングを行いながら両種の生息に配慮した事業の実施に努める。

○ 地形や土地利用状況等の理由により、わなや探索犬による防除が不可能(不十分)な場所では、少数残存個体への対策が課題である。

○ マングースの生息数が少なくなっていくにつれ、捕獲はますます困難になってくるが、完全排除のために十分な作業量が投じられないと残存個体から再び増加に転じる可能性もあり、綿密な作業を続けることが重要である

3.平成28年度防除事業計画

第2期計画に基づき、平成27年度とほぼ同規模での防除事業を実施しており、平成34年度までに奄美大島からの完全排除を目指します。

環境省 那覇自然環境事務所

    所長 西村 学

担 当:奄美自然保護官事務所

    (奄美野生生物保護センター)

    自然保護官 岩本 千鶴

       電話:0997-55-8620

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