九州地域のアイコン

沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2014年07月25日
  • その他

報道発表:イリオモテヤマネコの保護個体の死亡と交通事故防止について(お知らせ)

環境省 那覇自然環境事務所
所長 植田 明浩
担当:西表自然保護官事務所
自然保護官 福田 真
電話:0980-84-7130
(携帯:090-5287-6035)
 (西表野生生物保護センター)

 7月23日21時30分に高那の県道上で衰弱したイリオモテヤマネコの仔ネコ(生後約3ヶ月程度)を保護しましたが、治療の甲斐なく翌24日18時00分に死亡しました。結腸に大量の便が詰まる便秘状態で栄養状態も極度に悪く、センターで獣医師の治療を受けたものの死亡しました。
 最近、高那付近は親子3頭のヤマネコが頻繁に路上で目撃されており、死亡した仔ネコはそのうちの1頭と推測されます。今回の仔ネコは道路上で保護されたものの交通事故によるものではありませんが、残る1頭の仔ネコと母ネコが事故に遭う可能性が危惧されています。西表島で車を運転する際には、法定速度を守ってスピードを控えるとともに、野生動物の飛び出しに十分注意して下さい。特にヤマネコの目撃が多発している区間には注意標識を設置してますので、十分にご配慮おねがいします。

1 保護の概要

①保護日時:
平成26年7月23日(水) 午後9時30分頃
②保護場所:
西表島高那の県道路上(別紙1.位置図参照[PDF 242KB])
③死亡個体の状況
体重560g、体長334mm、オス 幼獣

2 保護時の状況

 7月23日午後9時30分頃、西表島高那の県道215号線道路脇で倒れているイリオモテヤマネコの仔ネコを調査中の西表野生生物保護センター職員が発見しました。個体に触れると身体を起こし威嚇するものの立ち上がる元気はなく、ひどく衰弱した状態だったので緊急的に保護しました。すぐにセンターに搬入し獣医師による点滴等の体力回復のための治療を行いました。レントゲン検査から結腸に大量の便が詰まっている状態が確認できました。また栄養状態も極度に悪いことから、しばらく餌が食べられない状況が続いていたものと思われます。一時は自らの力で立ち上がり座り込む様子も見られましたが、翌24日の日中に容態が悪化し、回復することなく午後18時00分に死亡しました。
 死体はセンターにて、計測、一次検査等を行った後、専門家による死因究明のための病理検査、寄生虫検査等を実施するため、鹿児島大学農学部獣医学科に搬送しました。

3 高那で仔ネコの目撃情報が頻発

 県道215号白浜-南風見線の高那付近では現在仔ネコの目撃情報が相次いでおり、保護した仔ネコは同一個体と推測されます。ただ、高那の県道上では母ネコと仔ネコ2頭の計3頭が確認されています。この区間は竹富町のヤマネコ交通事故防止フェンス設置予定箇所でもあり、フェンス設置前モニタリング調査でも自動撮影カメラで親子3頭が撮影されています。当仔ネコを保護する直前にも、道路を横断する別個体と思われる仔ネコを職員が確認しています。今後も残る仔ネコが路上に出てくる可能性が高く、交通事故が懸念されます。これまで、夏の交通安全県民運動に合わせて大原駐在所とともに7月18日には当地点で夜間注意喚起を行っています。

4 傷病及び死亡個体発見時の連絡

 4~8月は子育て期にあたり母ネコが仔ネコを連れて歩き回るため、交通事故に遭いやすくなる時期ですので、夜間の運転には十分な注意をお願いします。
 イリオモテヤマネコを目撃した、衝突してしまった、死体を発見した、などの場合は、365日24時間いつでも対応できる体制を取っていますので、西表野生生物保護センター(Tel:0980-85-5581)に至急の通報をお願いします。万が一、交通事故の当事者となってしまっても、故意でない限り罪に問われることはありませんので、情報をお寄せ下さいますようお願い致します。頂いた情報から交通事故の場所や時間、死傷個体の状態、道路周辺状況等の情報を分析し、対策に役立てています。
 また、西表島での車両の走行時には、特に夜間は十分周囲に注意して急な飛び出しがあっても安全に事故を避けることができるくらいまでスピードを落として運転していただきますようお願いします。

【傷病及び死亡個体発見時の連絡先】

Tel:0980-85-5581(環境省西表野生生物保護センター)24時間連絡可

保護個体写真
 
Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。