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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2013年07月03日
  • その他

報道発表:平成24年度奄美大島におけるジャワマングース防除事業について(実施結果等のおしらせ)

那覇自然環境事務所

 環境省那覇自然環境事務所では、奄美野生生物保護センターを拠点として、平成12年度から奄美大島においてジャワマングース(以下「マングース」という。)駆除事業を行っており、平成17年度からは、外来生物法に基づくマングース防除事業(以下「防除事業」という。)を実施しています。
 平成24年度の防除事業では、約226万わな日により179頭を捕獲し、CPUE(捕獲数/1,000わな日)は0.08となりました。平成23年度に比べて捕獲数・CPUEは30~40%程度減少しており、着実にマングースの生息密度が低下していると考えられます。なお、上記のわなによる捕獲の他、探索犬及びハンドラーによって18頭の捕獲がありました。これを加えた平成24年度のマングース捕獲総数は197頭になります。
 また、平成24年度には、これまでの防除事業の成果を踏まえてマングース防除実施計画の見直しを行い、平成25年度から平成34年度までの10年間で奄美大島からの完全排除を目標とする第2期防除実施計画を作成し、平成25年度から始動させています

1.防除事業の実施内容等の概要

 奄美大島におけるマングース防除事業は、平成17年度に編成された「奄美マングースバスターズ」を中心に実施しており、平成24年度は42名体制で捕獲作業等を実施しました。また、特定地域(岩崎産業(株)社有林内のマングース分布域)においては、平成20年度より別途の体制(捕獲従事者6名体制)で捕獲作業等を実施しています。このような体制により、現在はマングース分布域の全域で捕獲作業等を実施することが可能となっています。
 捕獲作業には、生け捕り式のはこわな(以下「カゴわな」という。)と筒型捕殺わな(アマミトゲネズミの混獲を防止するための延長型筒わなを含む)(以下「筒わな」という。)を使用し、アマミトゲネズミ等の在来種の分布状況に応じて、両わなを使い分けています。
 平成20年度から、マングースの生息状況をより確実に把握し、効率的に捕獲するためにマングース探索犬(3頭)を導入し、ハンドラーとともに訓練や探索等を実施しています。

2.捕獲作業等の実施結果

(1)実施期間 :  平成24年4月1日~平成25年3月31日
(2)実施区域 :  奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町
(3)捕獲努力量・捕獲数等(表1~3には探索犬及びハンドラーによる捕獲結果は含まれません)

表1.捕獲努力量・捕獲数・CPUE

表2.平成24年度 月別のマングース捕獲状況

表3.平成24年度 地域別のマングース捕獲状況


図1.平成24年度 奄美大島におけるマングースのわな設置地点と捕獲地点


図2.奄美大島におけるマングースの捕獲頭数及び捕獲努力の経年変化
(注)捕獲数:探索犬及びハンドラーによる捕獲数は含まない


平成19年度

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

図3.マングース捕獲メッシュの経年変化


図4.龍郷町北部(龍郷半島)におけるわなによるマングース捕獲地点の経年変化


図5.探索犬とハンドラーによるマングース捕獲数の経年変化


図6.平成24年度のマングース捕獲方法内訳

(4)結果概説

平成24年度防除事業において投入された捕獲努力量は、平成23年度よりも10%以上増加し約226万わな日となり、過去最高値を記録した(表1)。これは、平成24年度から新たに延長筒わなを導入したことにより、アマミトゲネズミ等の生息域において効率的な捕獲作業を進めることができたことが大きい。
わなによるマングースの捕獲数は179頭で、平成23年度(捕獲数:261頭)よりも30%程度減少し、平成21年度以降4年連続で過去最低値を記録している(表1)。マングースの生息密度を相対的に反映すると考えられるCPUE(1,000わな日あたりのマングース捕獲数)は0.08で、平成23年度(CPUE:0.13)よりも40%程度減少し、防除事業開始以降減少を続け、防除事業を開始した平成17年度(CPUE:4.11)の2%程度になるまでに至った(表1)。
これまでの防除事業の成果により低く押さえられているマングースの生息密度が、さらに低下したものと考えられる。
月別にみると、10月から1月の捕獲数が相対的に多くなり、捕獲数のピークは1月の36頭であった(表2)。
地域別にみると、奄美市名瀬地区(80頭)で最も捕獲数が多く、次いで大和村(41頭)、岩崎産業社有林(24頭)、奄美市住用地区(20頭)となった(表3)。平成23年度と比べて、岩崎産業社有林では増加(16頭(H23年度)→24頭(H24年度))したものの、その他の地域では減少し(ただし宇検村はH23年度と同数の4頭)、特に龍郷町(29頭(H23年度)→6頭(H24年度))や瀬戸内町(13頭(H23年度)→4頭(H24年度))で大きく減少した。
CPUEは、岩崎産業社有林(0.15)で最も高く、次いで奄美市住用地区(0.11)、大和村(0.10)となり、最も低かったのは龍郷町(0.01)であった(捕獲のなかった奄美市笠利を除く)(表3)。平成23年度と比べて、岩崎産業社有林では増加(0.10(H23年度)→0.15(H24年度))したものの、その他の地域では減少し、特に龍郷町(0.08(H23年度)→0.01(H24年度))や瀬戸内町(0.27頭(H23年度)→0.06(H24年度))で大きく減少した。これは捕獲数とほぼ同様の傾向である。
マングース捕獲地点(メッシュ)の経年変化をみると、奄美市名瀬地区の北部や大和村の西部、龍郷町の中南部、宇検半島の西部において捕獲地点の縮小が、奄美市名瀬地区の東部や大和村の東部で捕獲地点の分断化が確認された(図3)。
特に、龍郷町北部(龍郷半島)では、防除事業開始以降初めて捕獲数が0となり、地域的な排除が進んだものと考えられる(図4)。
探索犬がマングースを追い込み、ハンドラーが捕獲する方法で18頭を捕獲し、平成24年度のマングース捕獲数(197頭)全体の9%程度を占めるに至った。導入後の訓練等が実を結び、マングースの生息確認及び捕獲の両面において、探索犬・ハンドラーともに実用レベルに達していると考えられる(図5,6)。
マングースのほか、外来種としてクマネズミ3,691頭、ノネコ20頭が捕獲された。
在来種の混獲は、アマミトゲネズミ1,267頭、ケナガネズミ114頭、アカヒゲ109羽、シロハラ98羽等が確認された。混獲された在来種は、死亡が確認された個体(アマミトゲネズミ48頭、ケナガネズミ52頭、カラス8羽等)を除き、全て捕獲地点で生きたまま放逐した。
アマミトゲネズミ及びケナガネズミについては、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されており、現在、両種の生息に配慮しつつもマングースを早期に完全排除するための方針により作業を進めている。引き続き、両種の生息情報の収集等に努め、両種の生息に配慮したマングース防除事業の順応的な防除の実施を進めていく。

(5)第2期奄美大島におけるマングース防除実施計画

平成25年4月25日の報道発表のとおり、平成25年度から平成34年度までの10年間で奄美大島からの完全排除を目標とする第2期防除実施計画を始動させています。
https://kyushu.env.go.jp/naha/pre_2013/data/0430ca.pdf
https://kyushu.env.go.jp/naha/wildlife/gairai.html

 
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