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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2013年02月14日
  • その他

報道発表:今年1件目のヤンバルクイナの交通事故発生及び平成24年の発生件数について

那覇自然環境事務所

 2月7日にヤンバルクイナの交通事故が発生し、発見直後に死亡しました。今年最初の交通事故発生となりました。
 また、昨年(平成24年)のヤンバルクイナ交通事故確認件数は47件と過去最悪の記録となっています。この数は、それまで最多であった37件(平成23年)より10件増と大幅に上回りました。
 ケナガネズミについても、今年すでに2件の交通事故が発生しています。
 沖縄島北部のヤンバルクイナ及びケナガネズミ生息域では、昼夜問わず自動車のスピードを十分落とし、道路周囲にも十分気を配り運転していただきますようお願いします。

ヤンバルクイナ及びケナガネズミ並びに保護個体の治療の様子についての画像を希望される場合は、やんばる野生生物保護センターまでご連絡下さい。

1.昨年(2012年12月31日まで)のヤンバルクイナの交通事故確認件数

1月1件  2月6件  3月2件  4月7件  5月13件  6月6件
7月2件  8月5件  9月1件  10月0件  11月2件  12月2件
計47件(重点区間9件)
 ヤンバルクイナでは、昨年平成24年に47件の交通事故が確認されており、記録の残る平成7年以降最多であった平成23年の37件を大幅に上回りました。

2.昨年(2012年12月31日まで)のケナガネズミの交通事故確認件数

1月6件  2月0件  3月0件  4月0件  5月1件  6月0件
7月0件  8月1件  9月0件  10月0件  11月1件  12月0件
計9件(重点区間5件)
 ケナガネズミの昨年の交通事故発生件数は9件となり、こちらは過去最多であった平成23年の25件から大幅に減少しました。

3.平成25年のヤンバルクイナ及びケナガネズミの交通事故の発生状況(別紙参照)

 平成25年に入り2月7日にヤンバルクイナ交通事故防止のための重点区間内で交通事故が発生しました。発見時はまだ生きていたものの、そのヤンバルクイナはすぐに死亡し、今年1件目の交通事故死亡個体となりました。これから春に向けてヤンバルクイナの繁殖期となり道路付近への多くの個体の出没が見込まれるため、車の運転には注意が必要です。
 ケナガネズミは平成25年に入り既に2個体が交通事故により死亡しています。夜行性で主に樹上で生活するケナガネズミは道路上では動きが鈍く交通事故に遭いやすいと考えられます。冬季は特に事故が多発する期間ですので引き続き車の運転には注意が必要です。

4. 交通事故を防ぐための「ストップ!ロードキル」運動の取り組み

 環境省那覇自然環境事務所では、「やんばる地域ロードキル発生防止に関する連絡会議*1」(以下、「連絡会議」という。)の一員として、平成23年度から交通事故が多発している県道70号(国頭村楚洲地先)にヤンバルクイナ交通事故防止のための重点区間*2を設け、「ストップ!ロードキル」運動の一環として以下の活動を展開しています。

(1)
重点区間での側溝清掃
 重点区間において、連絡会議の他の構成機関*1、地元の方々、ボランティアの協力を得て、ヤンバルクイナの道路への出現を抑え通行者からの見通しを良くするために、道路脇の草刈りと側溝清掃を行っています。平成25年には繁殖期がはじまる前に側溝の腐葉土を取り除くべく、2月4日にマングース防除事業を行っている環境省マングースバスターズの協力を得て側溝清掃を実施しました。
(2)
「クイナと共に」キャンペーンの実施
 平成25年から取り組むこととしている標記キャンペーンの第1弾として重点区間内の所定の時間に着ぐるみが居た場所を当てる「クイちゃんをさがせ!」という取り組みを行っています。参加者は安全運転宣言をしたうえで、場所を当てた数に応じて景品がもらえます(2月15日終了予定)。

3.環境省からのお願い

(1)
制限速度以下で慎重な運転を
 交通事故を防ぐには車のスピードを落とすことが最も肝要です。今後ともやんばる地域(特に国頭村内)での車両の走行時には、十分周囲に注意して急な飛び出しがあっても安全に事故を避けることができるくらいまでスピードを落として運転していただきますようお願いします。
(2)
交通事故に遭遇した場合、至急の通報を
 ヤンバルクイナ等野生動物との交通事故を起こしてしまった場合や、傷ついている個体を発見した場合には、至急の通報をお願いします。迅速な救護により野生復帰の可能性がとても高くなります。万が一、事故の当事者となってしまっても、故意でない限り罪に問われることはありませんので、情報をお寄せ下さいますようお願い致します。頂いた情報から交通事故の場所や時間、死傷個体の状態、道路周辺状況等の情報を分析し、対策に役立てています。

連絡先 :
0980-50-1025、090-6862-9170(環境省やんばる野生生物保護センター(ウフギー自然館))
090-6857-8917(クイナダイヤル、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄)

*1
やんばる地域ロードキル発生防止に関する連絡会議
 近年、ヤンバルクイナ等、希少野生動物の道路周辺における死亡事故(ロードキル)が多発していることを受け、関係機関が連携して対策に取り組むことを目的に、平成16年6月に発足。自然保護、道路管理及び道路利用に関連する行政ならびに関係する機関、計25機関(下記参照)によって構成。事務局は那覇自然環境事務所。
構成機関 : 沖縄総合事務局開発建設部北部国道事務所、沖縄総合事務局北部ダム事務所、沖縄総合事務局北部ダム統合管理事務所、林野庁九州森林管理局沖縄森林管理署、沖縄県環境生活部自然保護課、沖縄県土木建築部道路街路課、沖縄県土木建築部道路管理課、沖縄県農林水産部農村整備課、沖縄県農林水産部森林緑地課、沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課、沖縄県北部土木事務所、沖縄県教育庁文化財課、沖縄県北部農林水産振興センター森林整備保全課、沖縄県警察本部交通企画課、沖縄県名護警察署、国頭村、国頭村教育委員会、大宜味村、大宜味村教育委員会、東村、東村教育委員会、社団法人沖縄県獣医師会、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄、やんばる国頭の森を守り活かす連絡協議会、環境省那覇自然環境事務所
*2
重点区間
 平成23年度は県道70号線楚洲地先の9キロポストから10キロポストの1km区間に、平成24年度は区間を拡張し、8.2キロポストから10キロポストの1.8km区間に設置しています。区間両端には区間を示し事故件数等を表示する看板を設置し、区間内のヤンバルクイナが頻繁に目撃される箇所には移動式看板を設置する他、側溝等の清掃、モニタリング等を実施しています。
 また、平成24年度にはケナガネズミの事故防止重点区間を県道2号線の4.5キロポストから6.0キロポストの1.5km区間に設置しています。

添付資料

別紙(交通事故情報) [DOC 1,376KB]