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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2011年10月21日
  • その他

特定外来生物オオヒキガエルの浦添市での確認について

那覇自然環境事務所

 沖縄島キャンプキンザー及びその周辺で、本年8月に初めて発見された特定外来生物オオヒキガエルが、かなりの頻度で確認・捕獲されていますのでお知らせします。本種はこれまで県内では南北大東島、石垣島において定着しています。本種の発見と排除について、地域にお住まいの方々へ注意と協力をお願いいたします。

 オオヒキガエルは中南米原産の体長8~20cmの大型のカエルです。わが国では生態系への影響を与える恐れがあることから、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づき、特定外来生物に指定されています。
 オオヒキガエルはこれまで沖縄島には定着していませんでしたが、今年8月上旬に浦添市のキャンプキンザー内で発見され、8月下旬には浦添市字港川などでも発見されるようになりました。これまでに発見・捕獲されているのは、主に国道58号線の西側(海側)に限定されていますが、これまでにキャンプキンザー内で約550個体、浦添市字港川などで約50個体が捕獲されています。キャンプキンザーを中心に広がっているようですが、どのようにして侵入したか明らかな原因は特定できていません。また、捕獲個体の多くは11cm以下とやや小型で、多くが未成熟個体と考えられることなど、これらの個体が繁殖しているかどうかは不明です(卵及びオタマジャクシは確認されていません)。捕獲された個体の体サイズが一定の範囲にあることから、今、浦添市にいるものは、最初に持ち込まれた少数の成体が繁殖した結果としての第1代の子達ではないかと考えられますが、それらは来春にも繁殖を始めることが予想されるため、今後、爆発的に増えてしまう危険性があります。
 現在はまだ分布が限定されていることなどから、在沖米海兵隊では自主的な防除に取り組んでいる一方、浦添市でも住民からの情報により種の同定依頼や注意喚起のチラシ配布などを実施してきており、これから防除体制を整えていく予定です。
 環境省と沖縄県では、琉球大学の専門家らとも連携し、これらの活動を支援する形で沖縄島からの完全排除を目指していきます。地域にお住まいの方々には、目撃情報などをお寄せいただくとともに、捕獲と排除にご協力をお願いいたします。なお、特定外来生物は飼育することや生きたまま移動することについては法律で禁止されています。捕獲個体はビニール袋に入れるなどして逃げないように保管の上、那覇自然環境事務所(098-858-5824)又は浦添市環境保全課(098-876-1234 内線3216)へ連絡をお願いします。

 なお、那覇自然環境事務所ではこれまでに、読谷村古堅(平成22年10月)やうるま市海邦町(平成23年5月)でも、本種と思われるヒキガエルの確認情報の提供を受けていましたが、いずれも1例のみの観察で、定着していないと判断してきました。このように、その他の地域でも発見される可能性がありますので、キャンプキンザー周辺以外についても、沖縄島内でのヒキガエルの情報がありましたら同事務所(098-858-5824 阿部)までご連絡いただきますようお願いいたします。
 外来生物が一旦、定着してしまうと、その排除は簡単ではありません。万一、オオヒキガエルの侵入が発見された場合、その地域から根絶できるかどうかは、いかに早期に手を打てるかが大きな鍵となります。早期発見と排除にご協力をお願いします。

 注意:オオヒキガエルは目の後ろにある耳腺から強い毒を出します。捕まえられたりして身に危険を感じると、白い毒液が出てきます。毒液は手に触れる程度なら問題はありませんが、素手では触らないで下さい。もし素手で触った時には手をよく洗って下さい。

浦添市キャンプキンザー周辺での確認状況の概要
図.浦添市キャンプキンザー周辺での確認状況の概要. Google mapにより作成
浦添市港川で発見・捕獲されたオオヒキガエル1 浦添市港川で発見・捕獲されたオオヒキガエル2
写真.浦添市港川で発見・捕獲されたオオヒキガエル.

 オオヒキガエルの定着と那覇自然環境事務所の取り組みについて

 オオヒキガエルの原産地は米テキサス州南部からメキシコ、中米、南米の北半分ほどまで分布するヒキガエル科の1種です。サトウキビなどの害虫駆除の目的で世界の熱帯地方の島々を中心に40以上の島・地域に定着し(http://g.co/maps/bhbcx)、在来生物の捕食など様々な影響を及ぼしています。
 日本で定着が確認されているのは小笠原諸島、大東諸島及び石垣島です。日本への導入の目的も海外の事例と同様に害虫駆除で、戦前にハワイから台湾経由で南大東島に持ち込まれたのが最初で、その後、この南大東島の個体が1978年に石垣島の南部へ10頭ほど持ち込まれ、さらに石垣島から鳩間島へと導入されました。また、戦後のアメリカ占領下の小笠原諸島では、米軍によってサイパンから父島に1949年に移入され、1975年には父島から母島へと持ち込まれています。西表島、与那国島等でも確認事例がありますが、これは石垣島から運ばれる建築資材などとともにオオヒキガエルが混入し、移動したと考えられています。

 那覇自然環境事務所では、これまで石垣島から西表島や与那国島などへの侵入を阻止するために、平成15年以降、西表島での監視などの取り組みを続けています。西表島ではこれまで10頭の発見と排除を行ってきており、西表島には定着していません。また波照間島や与那国島でも持ち込まれた情報がありましたが、定着していません。
 平成20年以降、石垣島での低密度化を目指した捕獲キャンペーン「石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦」などを石垣市及び石垣市民の協力により実施してきており、今年度も8月に実施された第4回捕獲大作戦では6,438頭を捕獲するなど、平成20年以降、2万頭以上の個体を捕獲・排除しています。しかし、これらの捕獲では石垣島から根絶することは容易ではありません。
 一方で、鳩間島では繁殖水場を侵入防止ネットで囲い込むなどにより繁殖を阻止するほか、島民の協力も得て排除を行ってきた結果、平成16年に捕獲された5頭を最後に鳩間島では確認されておらず、鳩間島の根絶はほぼ成功したと考えられます。

 ※オオヒキガエルについては、那覇自然環境事務所の以下のページもご覧下さい。
 卵塊やオタマジャクシ、鳴き声などの情報を見ることができます。
 https://kyushu..env.go.jp/naha/wildlife/mat/m_2_2.html