報道発表資料
【通知】沖縄島におけるカエルツボカビ感染調査等の実施
2007.06.19 那覇自然環境事務所
6月10日に開催された「カエルツボカビフォーラム2007」において、飼育下の野生由来両生類においてカエルツボカビ菌が有しているものと同じDNA断片がPCR検査により検出されたという発表が行われました。この中で陽性とされた個体には、ネット販売されていたシリケンイモリと沖縄美ら海水族館で飼育されていたオキナワアオガエルとシリケンイモリが含まれていました。
この発表を踏まえ、環境省那覇自然環境事務所、沖縄県及び財団法人海洋博覧会記念公園管理財団では、沖縄島における野生両生類のカエルツボカビ感染状況について連携・協力して調査を実施していくこととしましたのでお知らせします。
1.調査内容
那覇自然環境事務所では、やんばる地域のうち固有種や絶滅のおそれのある種が生息する国頭、大宜味、東の3村において、財団法人海洋博記念公園管理財団では、やんばる地域のうち本部半島周辺において、沖縄県では、それ以外の地域において、それぞれ試料の採取を行う。試料は、網等により捕獲した両生類の体表面を綿棒で拭うことによって採取する。試料採取後、捕獲した両生類は捕獲地点で放す。採取した試料については、独立行政法人国立環境研究所等に分析を依頼する。海洋博記念公園管理財団では既に調査を始めており、那覇自然環境事務所及び沖縄県においても必要な器具等が整い次第着手する予定。
那覇自然環境事務所では、奄美大島においても同様の調査を実施する。
なお、調査のためにフィールドに入ることにより、感染を広げるおそれもあるので、試料の採取等は消毒等を入念に行って実施する必要がある。関係者において、このためのマニュアルも作成している。
環境省本省では、全国の野外調査を実施することとしているが、沖縄県及び奄美大島については、以上の体制で調査を行う。
2.その他の対策等
那覇自然環境事務所では、固有の両生類が生息し、食物連鎖によりイリオモテヤマネコをはじめとする捕食者にもカエルツボカビの影響が懸念される西表島において、竹富町及び八重山観光フェリー株式会社、石垣島ドリーム観光株式会社、有限会社安栄観光の3社に御協力をいただき、連絡船から西表島に上陸する際に靴等の消毒を実施するための消毒液を浸したマットを、大原港及び上原港の桟橋等に設置した。西表島に行かれる方は、消毒に御協力をお願いしたい。
沖縄美ら海水族館では、沖縄の稀少淡水生物の実態を把握・情報発信することを中期事業計画にもあげており、また水族館及び登録博物館としての学問の場として広く普及啓発を行うため、採集や調査・研究活動を行っており、今回実施する調査の結果についても広く普及啓発し、稀少生物が多数生息している沖縄の保全活動に寄与することとしている。
3.留意事項
先日のフォーラムにおいて発表された調査結果では、沖縄島においては、飼育下の日本在来種からカエルツボカビが疑われるDNAが確認されたということであるが、感染ルートは特定できず、野外でのカエルツボカビの存在が疑われるが確定的ではない。今のところ、沖縄を含め、国内の野外由来の個体でカエルツボカビ症を発症している例はなく、感染し発症する種と発症しない種があると言われており、今後、野外の状況の把握等を進め、対策を検討していく必要がある。沖縄島等における状況については、今後の調査により情報が得られていくと考えられる。
両生類を扱っている方は、今までどおり、飼育下の両生類を野外に放逐しない、水槽内の水や飼育資材は十分に消毒し適正管理を行う、異変を感じたら相談窓口に連絡する等の対策を継続していくことが重要であり、引き続き御協力をお願いしたい。
さらに、やんばる等のフィールドに調査や自然観察等で入る方は、靴や調査器具等の十分な消毒に留意していただき、カエルツボカビの蔓延防止に協力をお願いしたい。一般の方も、西表島の桟橋等、消毒を実施している施設等においては御協力をお願いしたい。
添付資料
連絡先
環境省那覇自然環境事務所
所長 中島 慶二
担当 安田、阿部
TEL:098-858-5824 FAX:098-858-5825
沖縄県文化環境部自然保護課
課長 上原 隆廣
担当 亀島
TEL:098-866-2243 FAX:098-866-2240
沖縄県教育庁文化課
課長 千木良 芳範
担当 濱口
TEL:098-866-2731 FAX:098-867-4350
財団法人海洋博覧会記念公園管理財団
沖縄美ら海水族館
館長 内田 詮三
担当 柳澤(魚類課獣医)
TEL:0980-48-2742 FAX:0980-48-4399