ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

RSS

屋久島国立公園 屋久島

163件の記事があります。

2010年08月06日九州いきものリレー ~屋久島の生物多様性(13)ボウズハゼ~

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

みなさん、こんにちは。8月の屋久島は晴天続きで暑さが厳しい毎日です。

今日ご紹介するいきものは、清流に生息する「ボウズハゼ」です。とぼけた表情と目がくりくりしていて、とても可愛らしい魚で、腹びれと口が吸盤状になっており、流れが急な河川にも生息することができます。



【和名】ボウズハゼ
【撮影日】2010年7月31日
【撮影場所】安房川
【備考】頭がのっぺりとしているためボウズハゼと呼ばれています。



透明度が高くとても綺麗な屋久島の河川ですが、実は屋久島の河川は魚の種類があまり多くありません。その理由は頻繁に増水を繰り返すことや、水が綺麗すぎるためだと考えられていますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。今後の研究で明らかにされていくことでしょう。

ボウズハゼは個体数も多く、大小多くの河川に生息しているため屋久島の河川でもっとも見つけやすい魚だと思います。水の中をそっとのぞいてみると、とぼけた顔のボウズハゼが出迎えてくれるでしょう。

※屋久島の河川は、流れが急で周りが切り立った崖になってるので、川に入る場合は十分に気をつけてください。また、雨が降ると一気に増水するので、天候にもご注意ください。

ページ先頭へ↑

2010年08月05日夏の特別展 屋久島の海展 【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

7月17日から屋久島世界遺産センターでは、夏の特別展示として「屋久島の海展」を開催しています。海展では3つの目玉展示があります。その展示とは、
1.屋久島の海岸や海洋に生息するいきものを写真と解説文で紹介している「いきもの展」。島内でも指折りの水中生物の写真を撮影される、原崎森さん(ダイビングショップ森と海経営)の写真を多数お借りしています。
2.屋久島のサバをいろいろな角度から見つめた「サバ展」
3.展示だけでなく夏にピッタリのお土産を作ろう「モビール作り」
です。
それでは、写真の一部をこっそりとご紹介したいと思います。


早朝の一湊漁協の写真です。ここから、お店に新鮮な魚が運ばれていきます。



サバ節を作っている馬場水産さんに工場見学に行ったときの写真です。このサバは、サバ燻製やサバなまり節といった商品になります。燻製室を開けるととても香ばしいにおいが辺りに漂いました。展示ではサバ節ができるまでを詳しく紹介しています。




屋久島の海岸で拾った流木を使い、夏にピッタリのインテリア「モビール」を作ることができます。流木は2つとして同じ形をしていないため、世界でたった1つしかないオリジナルのお土産です。


屋久島にいらした際は、ぜひ屋久島世界遺産センターにお越しください。「屋久島の海展」は9月10日(金)まで開催しています。

ページ先頭へ↑

2010年07月20日九州いきものリレー ~屋久島の生物多様性(11) ツルラン~

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

屋久島は梅雨明けをしてから、快晴の真夏日が続いています。野外で活動される際は、熱中症に十分に気をつけ、こまめに水分をとってください。
さて、今回ご紹介する生き物は、純白の花が美しいツルランです。



【和名】ツルラン
【撮影日】2010年7月19日
【花期】7月いっぱい、次々に花が咲くため、花期は長いです。
【備考】絶滅危惧VU(環境省2007)、絶滅危惧VU(鹿児島県2003)


和名は、ツルが群れで飛ぶ姿からきています。薄暗い林の中で、真っ白な花を咲かせるツルランは、とても目立ちます。


上の写真は、先端をシカに食べられたツルランの葉です。ツルランは、シカに食べられたり盗掘されたりするためでしょうか、屋久島でも見かけることが少なくなってきました。この綺麗で貴重な種が、いつまでも生育できる環境を守って行きたいと思います。

ページ先頭へ↑

2010年07月13日屋久島の登山道は滝 【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

今年の梅雨は全国的に雨が多く、様々な被害が出ています。屋外で活動される際は、細心の注意を払ってください。
さて、7月5日のくじゅうの種村さんの記事の中に、“福留先生がおっしゃった「登山道は川である」という言葉が印象的だった”という文章がありますが、先日そのことを身をもって体験してきました。




普段はちょろちょろと足場の横を流れている沢が足場を飲みこみ、危険な場所へと変貌させました。



普段は足場を利用して濡れずに進める登山道も、くるぶしまで水没しながら進む登山道に変わりました。



そして、トロッコ道の線路の間に水が溜まり、滑りやすい危険な道になりました。

晴れているときは危険な場所が無いような登山道でも、雨が降ると表情が一変します。木道や木の根は大変滑りやすくなり、いつもと違う場所が危険箇所になります。雨の日の危険箇所を知る上でも、雨の日の巡視をこれからも行っていきたいと思います。

屋久島は降水量も多くて急峻なため、登山道は「川」というよりも「滝」というイメージに近かったです。屋久島では平野部で雨が観測されずに、山岳部では降っているということは往々にしてあります。登山口は晴れていて目的地の途中で雨に降られた場合、引き返すという判断をすることは難しいと思います。今後の雨の状況が分からないときや、ずぶ濡れになって体力の消耗が激しいときなどは、早めに引き返す勇気をだしてください。

ページ先頭へ↑

2010年07月13日登山道情報 【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

今年の梅雨前線は、南九州に猛烈な雨を降らせています。レジャーなどで野外に出られる際は、気象情報に注意してください。

先週の木曜日(8日)から金曜日(9日)にかけて、梅雨明けにともなう淀川歩道橋の通行止め一時解除(今後の情報提供に留意してください!http://c-kyushu.env.go.jp/emergency/2010/12/85.html)に先立ち、宮之浦岳登山道を確認してきました。
最近の長雨の影響によるものなのか、登山道上に3本の4mを超える大きな枝が落下しており、切断後に除去しました。



①淀川登山口から淀川小屋までのちょうど中間付近に落ちていた枝です。




②淀川小屋から歩いて30分ほどのところの階段に落ちていた枝です。



③淀川小屋から急坂を登り切ったところに落ちていた枝です。

どれも、枝というより幹に近いサイズでした。

今年の梅雨は雨が多いため、枯れ枝や枯れ枝に生えたコケが水分を含み、重みに耐えられなくなった枝が風に吹かれるなどして落下しているという傾向があります。また、大きな枝が落ちているということも特徴的です。いつ、どの枝が落ちるかなかなか判断が難しいので、休憩時や自然観察時などには頭上に注意してください。特に大雨の後や強風時には細心の注意を払ってください。
なお、淀川歩道橋の通行止めの一時解除については、梅雨明けに伴う大雨等の可能性の低下などを総合的に判断して、安全対策検討会での協議をふまえて決定されます。霧島屋久国立公園、九州地方環境事務所のHP上の登山情報に注意してください。6月25日時点での見通しは、次の通りです。http://c-kyushu.env.go.jp/to_2010/0625a.html

ページ先頭へ↑

2010年06月25日九州いきものリレー ~屋久島の生物多様性(10)夜のいきものたち~

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

屋久島は梅雨入りし、ほとんど毎日雨が降っています。屋久島の里部で17日~19日の3日間に490mmを越える降水量を観測しています(気象庁データ)。日本各地で大雨が降っているため、野外に出かける際は、細心の注意をはらってください。
さて、今回は普段あまり観察しない夜のいきものについてのお話です。夜は、私たちが思っている以上にいきものは活発に動いて、昼間の姿からは想像できない姿を見せてくれます。また光によって来る性質を利用すれば、効率よく観察することができます。



【和名】アマミナナフシ
【撮影日】2010年6月23日
【撮影場所】屋久島町安房
【食草】シロザなど
昼間はじっとして枝に擬態しているナナフシもばりばりと食事をしていました。


【和名】アオバハゴロモ
【撮影日】2010年6月23日
【撮影場所】屋久島町安房
【備考】アオバハゴロモの幼虫。学名(Geisha distinctissima
学名のGeishaは成虫の美しい緑色の羽を芸者さんの服に見立てたことによります。このふわふわっとした生き物は、アオバハゴロモの幼虫です。昼間は葉の裏や茎などにくっついてじっとしていることが多いのですが、夜は活発に動き回るようです。


和名】サワガニ
【撮影日】2010年6月23日
【撮影場所】屋久島町安房
屋久島のサワガニは夜になると木に登るようです。湿度が高い屋久島ならではのアクティブさを見せてくれます。

このように夜のいきもの観察は、昼間見られないような種や行動を観察することができます。ただし、安全には十分に気をつけてください、夜は見慣れた道も全く別のものに変えてしまいます。万全の注意を払って、いきものを観察してみてください。

ページ先頭へ↑

2010年06月25日屋久島山岳部の問題⑤「山岳部のゴミ問題」

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

近年、屋久島の山岳部には10万人を越える人が入山しています「H21 登山者数データ」。街中にある遊園地やテーマパークとは異なり、山の中に10万人を超す登山者が入山すると様々な問題が生じます。屋久島山岳部の問題①~④を参考にしてください。今回は数ある問題の中でも、登山者のマナー意識を変えるだけで解決する問題です。
屋久島には、高塚小屋、新高塚小屋、鹿之沢小屋、石塚小屋、淀川小屋、白谷小屋の計6つの避難小屋があります。避難小屋は管理人のいない山小屋のため、宿泊者のマナー・心がけできれいに保たれています。屋久島にある避難小屋のなかでも新高塚小屋は、縄文杉と宮之浦岳をの両方を通る荒川登山口と淀川登山口間の縦走ルートの途中にあるため、もっとも多くの縦走者が宿泊する避難小屋です。先日巡視を行った際に新高塚小屋の様子を確認したところ、小屋の周囲で食べ物の容器や空き缶が、小屋の中で登山靴を乾かせるために使用した丸めた新聞紙などが多数見つかりました。





少なくとも自分で出したゴミは必ず里まで持ち帰るようにしてください。そして、次の利用者が嫌な思いをしないように、少しでもきれいに避難小屋を利用しましょう。
また、避難小屋以外にも登山道沿いで目を疑うようなものが放置されていることがあります。


上の写真は、今年の4月に宮之浦岳歩道を巡視しているときに見つけた放置テントです。中を確認したところ、数日前の雨で濡れていることが確認できたため、放置テントと判断しました。自分の体力が限界に近くなったために放置したのでしょうか。
屋久島の幻想的な雰囲気を味わう時にゴミが視界に入ったら誰でも興ざめすると思います。自分が、そして次に登る人がそうならないためにも、山に残すのは思い出と足跡だけにしてください。

ページ先頭へ↑

2010年05月24日九州いきものリレー 屋久島の生物多様性(8) ルリナガボソタマムシ

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

今日の屋久島は昨日までの大荒れの天気が嘘のように快晴に恵まれました。
本日ご紹介するいきものは、ルリナガボソタマムシです。
【科名】タマムシ科
【和名】ルリナガボソタマムシ
【撮影日】2010年5月24日
【撮影場所】遺産センター周辺
【食草】ホウロクイチゴやヤクシマキイチゴなど



体長は1cmほどの小さなタマムシです。タマムシの仲間らしく、光沢のある綺麗な体色をしています。この個体はホウロクイチゴを食べ、たくさん糞をしていました。



こっちの個体は、ヤクシマキイチゴを食べていました。食跡がはっきりと観察できます。

ルリナガボソタマムシのように食べるものが決まっている種を「スペシャリスト」、食べるものが決まっておらず多くのものを食べる種を「ジェネラリスト」といいます。食べる植物が分かっている昆虫を探す場合には、植物を見つけてから昆虫を探すと効率よく発見することができます。

ページ先頭へ↑

2010年05月13日九州いきものリレー ~屋久島の生物多様性(7) ナナカマド~

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

みなさん、ゴールデンウィークはいかが過ごされましたか?連休中の屋久島は天気がよく、絶好の行楽日和でした。
今日ご紹介するいきものは、連休中に見られたナナカマドです。
【科名】バラ科
【和名】ナナカマド
【撮影日】2010年5月5日
【撮影場所】トロッコ道
【見頃】5月中



ナナカマドは北海道から九州にかけて広く分布しており、屋久島ではヤクスギなどに着生しているのをよく見かけます。雨が多い屋久島ならではの生態です。


花を拡大してみると、どことなくサクラに似ていてバラ科であることがよく分かります。


天気の良い日には、昆虫が訪花している様子も観察できます。この写真に写っているのは黄色いおしりがかわいい、コマルハナバチです。蜜と花粉をせっせと集めていました。働いている様子を観察していると、自分もまだまだ頑張らないといけないなと感じてきます。

ページ先頭へ↑

2010年04月29日九州いきものリレー ~屋久島の生物多様性(5)テッポウユリ~

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 田川

今日みなさまにご紹介するいきものは、屋久島を北限とするテッポウユリです。
【科名】ユリ科
【和名】テッポウユリ
【撮影日】2010年4月18日
【撮影場所】屋久島の海岸
【見頃】5月半ば頃まで



風向きに合わせて同じ方向に咲いていました。



青空のバックがよく似合います。



香りもよく、風が穏やかなときは遠くまで匂ってきます。

テッポウユリに非常によく似ているタカサゴユリという種があります。タカサゴユリは繁殖力がとても強い帰化植物です。テッポウユリとタカサゴユリは雑種を作りやすいため、テッポウユリの自生地の近くでは栽培しないようにしてください。

これからも北限のテッポウユリ個体群を大事に見守っていきたいと思います。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ